振り返るな、そこにいるぞ Netflixホラー映画 絶望の3選

ネトフリを開いては、何を観るか決めきれずにスクロールだけで夜が更ける──そんな経験、ありませんか?
この記事ではただ怖いだけじゃない、余韻の残るホラー作品を3本厳選しました。

台湾発の呪術ホラーから、密室での心理系、そして社会派系。
ジャンルの枠を超えて心に爪痕を残す作品たちです。
いつもより少しだけ静かな夜に、ぜひ。

 

呪詛

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出展:httpswww.themoviedb.org

  • 制作:2022年
  • 監督:ケヴィン・コー
  • 主演:ツァイ・ガンイエン、ホアン・シンティン、ガオ・インシュアン

ホラー映画の歴史に打ち込まれた、呪いの鉄杭

禁忌の宗教儀式に関わった女性が、娘に迫る呪いを断ち切ろうとする物語。
映像記録を通じて語られる構成が、観る者を物語の内側へと引きずり込む。

POV形式という一見“ちょっと時代遅れな手法”で語られる『呪詛』は、虫・血・霊、そしてカルト宗教まで恐怖のフルコースを惜しげもなく盛りつけてくるとんでもない怪作だ。終盤に叩き込まれる配信作品ならではの「あの演出」は、観る者の安全圏を容赦なく踏み越えてくる。

あまりに怖すぎてエンタメ性を自ら削ってしまっているが、それすらも「本気の呪いは娯楽じゃない」と言われているようで妙な説得力がある。
これはもう、ホラー映画というより呪術的体験。観るのには覚悟が要る。閲覧注意

 

 

ジェラルドのゲーム

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出展:httpswww.themoviedb.org

  • 制作:2017年
  • 監督:マイク・フラナガン
  • 主演:カーラ・グギノ、ブルース・グリーンウッド、ヘンリー・トーマス

極限状態で問い直す「私って何者?」

手錠でベッドに繋がれたまま夫が急死。そこから始まるのは、脱出劇というより“自我の再構築”だ。

SAW風の閉じ込め系ホラーかと思いきや、血と幻覚の中で主人公が向き合うのは過去のトラウマと自分自身。
おばちゃんが身動きとれない話の何が面白いのかと訝しんでいたら、気づけばこちらの心が画面の前に拘束されていた。現実と虚構の境界が曖昧になる演出は、ホラーというより哲学的な味わいすらある。

女性の自立をテーマに据えながらも、説教臭さは皆無。むしろ痛快。観終わったあとに残るのは、恐怖よりも「よくぞここまでやったな…」という拍手だ。
密室劇の限界を軽々と飛び越えた、静かなる傑作。

 

 

獣の棲む家

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出展:httpswww.themoviedb.org

・制作年:2020年
・監督:レミ・ウィークス
・主演:ショペ・ディリス、ウンミ・モサク、マット・スミス

トラウマが、壁の向こうからこちらを見ている

タイトルだけで“家系ホラー”を想像した人は、たぶん途中で置いていかれる。
南スーダンから逃れてきた難民夫婦が、イギリスで与えられた一軒家に住み始める。しかし壁の中には何かの気配。そこにいるのは幽霊か、それとも別の何かか…。

恐怖描写は真綿で首を絞める系、じわじわと精神を削ってくる。なのにラスボスは意外とあっさり退場。拍子抜け?いや、むしろこの映画の主役は“恐怖”じゃない。

難民という存在が、かわいそう枠でも迷惑枠でもなく、“生き残ってしまった者”として描かれる斬新な切り口がこの作品最大の魅力。
罪悪感と記憶が家の中に染みつき、ホラー演出がそれをなぞる。ジャンル映画でありながら、社会の見方を更新する力を持った一本だ。怖いのは幽霊じゃなくて、過去と向き合うことなのかもしれない。

 

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