転がる真相 止まらない心理戦 Netflixで観るミステリー3選

Netflixで何を観るか迷っている方へ。
今回は、ミステリーやサスペンスの中でも特に“誰かに教えたくなる”3作品を厳選してご紹介します。
派手な演出よりも、じわじわと心を侵食するような脚本と演技に注目。静かに始まり、気づけば沼。そんな作品を探している方にこそ届いてほしいです。

 

ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(映画)

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出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2022
監督:ライアン・ジョンソン
主演:ダニエル・クレイグ、エドワード・ノートン、ジャネール・モネイ

熟年パリピの巣窟で本格ミステリ

前作の陰鬱な屋敷から一転、今回の舞台はギラついた地中海のリゾート島。
太陽と金と自己顕示欲が降り注ぐ中、またしても名探偵ベノワ・ブランが謎を解く。

登場人物は全員、SNSのフォロワー数で脳みそが埋まってるような連中ばかり。だがそんな熟年パリピの巣窟でこそ、ミステリは冴える。

ライアン・ジョンソンは今回も観客の目に正面から挑む。伏線は派手に撒かれ、回収は静かに行われる。
豪華キャストがそれぞれ怪しさの演技合戦を繰り広げる様は、もはや推理劇というより水面下のマウント応酬。IQよりも承認欲求が火花を散らす、そんな“社交界の戦場”でこそブランの冷静さが際立つ。

結局ミステリとは「見えているものをどう見るか」の芸術だ。グラス・オニオンはその名の通り、何層にも重なった透明な嘘を剥がしていく快感をくれる。太陽の下でこそ、影は濃くなる。

 

ザ ギルティ(映画)

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出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2021年
監督:アントワン・フークア
主演:ジェイク・ギレンホール、イーライ・パターソン、クリスティーナ・ヴィダル

電話越しの地獄を顔芸で乗り切る男

通報電話を受けるだけの仕事――と聞けば、緊張感ゼロのデスクワークを想像するかもしれないが、本作はその“音声だけ”の空間をまるで密室劇のように仕立て上げてくる。「音だけ映画?つまんなそう…」みたいな先入観は秒で吹き飛ぶこと請け合いだ。

舞台はロサンゼルスの緊急通報センター。主人公ジョー(ギレンホール)は、電話の向こうにいる“誰か”を救うため、受話器片手に孤軍奮闘する。

画面に映るのはほぼ彼の顔だけ。にもかかわらず、観客の脳内には、車、家、森、そして人間の闇が次々と立ち上がる。これはもはや聴覚型シネマとでも呼ぶべき異色の体験。

ギレンホールの顔芸はもはや表情筋の一人芝居。罪悪感、焦燥、怒り、そして微かな希望まで、すべてが眉間と顎の動きで語られる。
リメイク元の北欧版も良作だが、このアメリカ版は情緒のジェットコースターと化している。

静かなのに騒がしい、閉じているのに広がっていく。電話一本でここまで引き込まれるとは、もはや詐欺に近い。

 

汚れなき子(ドラマシリーズ)

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出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2023年
監督:イザベル・クラウフ
主演:キム・リム、ナイラ・シュナイダー、ハンス・ローヴィッツ

本物の「二転三転」が見たいか?

森の中で保護された女性と少女。そこから始まるのは、失踪事件の“終わり”ではなく、“始まり”だった。
警察が動き、家族が再会を喜ぶ。物語は一見、感動の方向へ転がりそうになるが…本作はその期待を容赦なく裏切る。

真相が見えたと思った瞬間に別の謎が顔を出し、観客の推理力を嘲笑うかのように物語は転がり続ける。しかもその転がり方が脚本の精度と心理描写の深さでガッチリ支えられているから白ける暇がない。

登場人物たちは皆、何かを隠している。だがその“隠し方”が絶妙で、観ている側も「この人、怪しいけど怪しくないかも…」と疑心暗鬼に陥る。
映像は静かで地味。だがその静けさが、逆に不穏さを増幅させる。まるで沈黙が叫んでいるような演出だ。

日本での知名度は限りなくゼロに近いが、これは紛れもなく「見つけた者勝ち」の傑作。ミステリ好きなら黙って踏んでほしい地雷だ。

 

 

どれも“観たあとに語りたくなる”作品ばかりです。
Netflixにはまだまだ隠れた名作が眠っています。
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