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『ミスミソウ』感想 いじめの報復で血の惨劇!激痛描写が冴えわたる暗黒の青春劇

押切蓮介の同名マンガの実写化作『ミスミソウ』を紹介します。

めちゃくちゃ良かったです
グロくて残酷だけど、若者たちのアレがしっかり描かれているので非常に味わい深く仕上がっています。

アレとは…。
ティーンエイジャーの短絡的さ。残酷さ。自分の行動の結果がまったく予測できない浅はかさ。
そして二度と戻らない青春の日々の眩しさ。
そんな感じだと思います。

とにかく素晴らしかった!

 

 

ミスミソウ

2017年 日本
監督:内藤瑛亮
出演:山田杏奈、大谷凛香

ミスミソウ

平凡な中学生の野咲春花は、学校で悪質なイジメに遭っていた。
上靴を隠される。泥をかけられる。暴言を吐かれる…。
しかし彼女は家族を心の支えに、けなげにもツライ日々を耐え忍ぶのだった。

その家族がある日、イジメっ子グループの手によって放火され焼死してしまう。
堪忍袋の緒が盛大にはじけ飛んだ野咲は、復讐のためにその手を血で汚していく…!

 

評価 A

 

監督は、『先生を流産させる会』から最新作の『許された子どもたち』まで、アブナイ10代を繰り返しモチーフにしてきた内藤瑛亮。
今世紀最強の適材適所(;^ω^)

内藤監督は原作の残酷描写を真っ向から生々しく実写化。
押切蓮介のデフォルメの強い絵柄から、一切妥協のない実写表現へ。
それこそアキレス腱切断からの傷口フルオープンなど、印象深かったアノ描写もまごころ込めて再現しています。
見事と言うほかありません。

 

「雪と鮮血」が「牛丼とベニショウガ」に匹敵するくらいのベストマッチであることは『ファーゴ』の例を待たずとも自明なのですが、本作はその王道を一切ためらうことなく爆走。
雪原に飛び散る血ヘドがもう美しいったらありゃしない!
野咲の赤コートが超クールったらありゃしない!!

 

あざいといと言えばあざといけど、白+赤のコントラストは抜群のインパクト!

 

いじめっ子たちの心底イラつかせる不快な演技も、後半に報復パートが控えていると知っていればこそ甘美。
こんなの見せられたら
「ああっ早くこいつらが自分の血ヘドの海で命乞いするところが見たい…ッ!」
と無垢な欲求がとめどなくあふれちゃうよ。

 

しかし、いざ野咲が復讐に走る後半になるとイメージは一転。
憎ったらしいイジメっ子が次々に惨死していくさまは胸がスッとする一方、暴力描写はとことん生々しく、
・目とまぶたの間にクギをブッ刺す
・指の股を切り裂く
・腹かっさばいて腸がポロリ
などなど、見る者の痛覚を刺激する激痛描写の連続。
イジメっ子に振り下ろされる "正義の" 鉄槌にしては凄惨過ぎます。

 

恐らくここが本作のミソなのでしょう。
イジメは最低だけど、それに暴力で対抗するのもまた最低。
する側にとってもされる側にとっても、暴力はただただ忌まわしいのだ…。そんな主張を映像で表現している気がします。

現にイジメっ子らを血祭りに上げる野咲に「復讐果たせてうれぴー(・∀・)イイ!!」みたいな表情はいっさいなく、むしろますます暗い。地獄のさらなる深淵にはまりこんでいくかのような不吉さがみなぎる。

原作のテイストを誠心誠意をもって再現したこの完成度は、ほんと見事と言うほかありません。

 

 

以下の記事 ネタバレ注意!!

 

 

ただ…原作から改変された "小黒生存エンド" は正直どうなのって思ってしまいました。
いや分かってますよ、こう言いたいんでしょう?

惨劇が終わり、重傷を負うもかろうじて生存した小黒。
彼女はひとり、誰もいない教室で幸せだったあの頃を思い出す。

長い冬が終わり、少女は咲く――。
そう、本当のミスミソウは小黒だったのだ…。

と。そう言いたいんでしょう?
んなこたー100も200も承知のすけよー。

 

それでも納得いかない。
小黒の歪んだ愛がすべての元凶なのに、一人生き残るだなんてお前にそんな資格はねーよ!
右手はダメになったかも知れないけど社会的にはおとがめナシっぽいし、そこも納得しかねる。まったく同意できない。
何が言いたいかと言うと「野咲が許しても俺は許さねーぞ!」ってことです。
フンッ

 

ほんとは野咲のこと大好きだったんだ…ってやかましいわ!
それが免罪符になると思ったら大間違いだからな!!

 

あとクラス担任の南先生の陰が薄い…。
原作で絶大なインパクトがあった生爪剥がしシーンも割愛されちゃってます。

アブナイ10代を描きたい内藤監督にとってオトナで社会人の南先生はレンジ外ってことなのでしょうが、他のキャラに比べて明らかに掘り下げが浅く存在感が希薄…。

これじゃ原作未見組は「ゲロ吐くだけ吐いて盛大に自爆したモブ」みたいに見えちゃうのではと要らぬ心配をしてみたり。

 

とまあ言いたいことは無くはないですが、類まれなる完成度の大傑作であることは間違いありません。
原作リスペクトがこんなに利いた実写化作も珍しい気がします。ステキ!
良い映画体験でした。

 






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