映画

『帰ってきたヒトラー』感想 鋭くビターな社会風刺 日本人にも効くワァ…

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■□□ 8点
2015年 ドイツ
監督:ダーヴィト・ヴネント
出演:オリヴァー・マスッチ、ファビアン・ブッシュ

【あらすじ】
あのアドルフ・ヒトラーが何故か時空を超えて現代に復活する。
ドイツでテレビ出演するや否や気鋭の不謹慎芸人としてブレイク。さらに人気はエスカレートし徐々に熱狂的な支持を集めていくが…。

過激な不謹慎ネタで話題を集めた『帰ってきたヒトラー』を観てみました。噂に違わぬ攻め攻めの映画でした。メルケル首相をも「陰気な雌鶏」とバッサリ。抗議・クレームばっち来い!的な男気が頼もしいです。
しかし笑い話で済まされないのが本作のキモ。ドイツのみならず我々日本人にとっても考えさせられるビターな内容でした。

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1990年代のヨーロッパ戦争映画の界隈ではナチスの悪行を鮮烈に伝える作品が主流でした。最たるものは『シンドラーのリスト』でしょう。
ゼロ年代に入るとそれらへのカウンターからか、罪は罪だがナチス党員やヒトラーもまた人間だったという側面にスポットが当たります。この方針を体現した究極の傑作が『ヒトラー最後の12日間』だったと思います。

ヒトラー ~最期の12日間~ (字幕版)
そして2010年代。ギリシャ危機や難民などの問題噴出でEUは激震。そんなEUを支えるため主に経済面でめっちゃ頑張ってるドイツですが、その内側には負のオーラが溜まりに溜まっています。この世相を反映した怪作が本作『帰ってきたヒトラー』と言えるでしょう。

なので話題はもっぱら時事ネタです。
最も冴えているのはかつてのユダヤ人虐殺と現代の難民問題を相似形に描いたところです。1940年代の経済の困窮をユダヤ人のせいにしたように、現在の社会の閉塞感を難民のせいにして鬱屈しているドイツ国民の姿が浮き彫りにされています。
さらに面白いのは「だから難民を受け入れよう」とは一切言っていないこと。この状況をあくまでも巧みにヒトラーが煽っていくというストーリーに落とし込み、今1940年代と同じことが起ころうとしているという警鐘に徹しています。
ナチス党は民主的な選挙でドイツ国民自身が選出したという歴史的事実の怖さが明確に立ち上がってきます。

しかしギャグも冴えてる

こう書くと説教臭い教育テレビみたいに思えてきますが、そうはなっていないのが凄い。普通に笑えます
チョビ髭ヒトラーが子犬と戯れたりコンピューターのマウス操作に苦戦したりと絵的なバカバカしさが楽しく、「こんな番組ゲッペルスが見たら墓の下でのたうち回るわ!」などのナチスネタも豊富です。
そしてちょいネタバレになりますが『ヒトラー最後の12日間』のあのシーンの完全トレースは抱腹絶倒!オパイプル-ンプルン!!

帰ってきたヒトラー(字幕版)
とにかくこの軽妙さのおかげで押しつけがましさが無く、クオリティの高い風刺コメディとして完成されています。
なお本作の愛されおじさんことヒトラーを演じたのはオリヴァー・マスッチ。誰かと思ったら『ダーク/DARK』のウルリッヒでした。雰囲気違い過ぎィ!!

日本人にとっても他人事じゃない

と言う訳でドイツ歴史ネタコメディとして秀逸な本作ですが、日本人としても笑ってスルー出来ないビターさがあります。
理由は二つ。
一つ目は問題山積のときほど極端な政権が生まれやすいのは万国共通だという点です。ここで安倍内閣や憲法解釈の是非を問うつもりはありませんが、ときの政府が後世どう評価されるかは現在進行形の世代には分からないというのは中々怖い話だと思います。
そして二つ目は難民問題
日本は中東こそ陸続きではありませんが、朝鮮半島という爆弾を隣に抱えています。臭いものにフタは通用しません。
ドイツは努力と工夫で多額の赤字財政を克服した国であり、日本は超絶債務国として見習う点が多いです。そして難民受け入れの先輩としても得難い存在です。
ケルン大晦日集団性的暴行事件を見て「ジャーマンポテトどもが難民受け容れたばっかりに散々な目に遭っとるwww自業自得wwwウェウェwww」と他人事としてバカにするのではなく、どう言う態度が何を生むのかもっと真剣に考えるべきだと思いました。
なんてなことを柄にもなく考えましたよ、という話でした。以上!



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