今回は旧ネトフリマーベルの一作『ジェシカ・ジョーンズ』を紹介します。

キャラの魅力は高いけど、どうにもテンポが…。
やさぐれ女探偵
常に不機嫌

Netflixマーベルの一角を担う『ジェシカ・ジョーンズ』は、前作『デアデビル』の肉弾アクション路線から一転、サイコサスペンスという変化球で勝負してきた。
ヒーローものと言うより、“やさぐれ探偵の苦労譚”である。
ジェシカ・ジョーンズは常人離れした怪力を持つ特殊能力者。
かつてはその力を人助けに使っていたが、ある事件で心に深い傷を負って以来はすっかりニヒルに。今は下町で探偵業を細々と営んでいる。
そんな彼女のもとに死んだはずの宿敵が再び現れる。
…というのが話の縦糸だ。
可愛すぎるのに、眉間にシワ
主演はクリステン・リッター。
『ブレイキング・バッド』で嘔吐窒息系ヒロインを演じたあの人だ。
元モデルらしい華やかさを漂わせつつ、本作では終始眉間にシワ。笑顔も無し。
誰に対しても態度はトゲトゲしく、口調は塩対応。
だがそれがいい。
ひねくれた美貌の探偵が、嫌々ながら宿敵に立ち向かうという構図が、ヒーローものとしては異端であり、魅力でもある。
リッター自身も「生涯最高の当たり役」と語っているが、確かにこの役は彼女にぴったりだ。
可愛いのに不機嫌。美しいのにやさぐれている。このギャップが本作の空気を作っている。
キルグレイブ──キモさと強さの二刀流
無敵すぎる能力
敵役はキルグレイブ。名前からしてヤバい。
演じるのはデヴィッド・テナント。元ドクター・フーの人だ。
彼の能力は「相手を意のままに操る」という、ギアスも真っ青なチートスキル。
しかも回数無制限。あげく再使用で効果延長。つまりほぼ無敵だ。
やろうと思えば世界征服だって比較的簡単に出来ちゃいそうなヤベー力だが…キルグレイブにはそう言う権力欲は無し。
彼は欲望のままに人を操り、自分の快楽だけを追求するタイプだ。ジョジョで言えば吉良吉影。
前作『デアデビル』のフィスクとは対照的な、“小さな凶悪”の化身である。
キモすぎる性根
問題はその欲望が、周囲の人生を破壊しまくっていること。
ジェシカはかつて正統派ヒーローとして活躍していた時期に彼に見初められ、その“所有物”として長年にわたり支配されていた。
正気に戻った彼女は心身ともにズタボロ。そりゃやさぐれる訳だよ。
そのキルグレイブが再びジェシカの前に現れたところから物語は動き出す。
しかも今回は能力を使わずジェシカが自ら寄ってくるよう仕向けるという、ねちっこい手法で迫ってくる。
中学生男子なら一度は妄想する「美女を意のままに操る」願望を、ほんとに実行してしまう男のキモさが全開。
見てるこっちが腹立つ。キモいぞキルグレイブ!
要領悪すぎない!?
物語はジェシカとキルグレイブの心理戦が主軸。
だが敵は彼一人。中ボス的な存在もおらず、展開に変化が乏しいのが作劇上の大きな難点だ…。
しかも話が
「キルグレイブの弱点を調べる→追い詰める→逃げられる」
この流れを延々繰り返す。13話かけてほぼ同じことのリピート。
あげく逃げられる理由が毎回「ジェシカ以外の誰かが余計なことをしたせい」。
特にホガース!お前だよ!
この繰り返しを息詰まる心理戦と好意的に捉えることもできるが、正直要領の悪さの博覧会にしか見えず中だるみがキツかったッス。
やさぐれヒロインの魅力
とは言え、楽しめる
とにかくジェシカの魅力が全編を支えている。報われない系ヒロインとして、毎回失敗しては不機嫌になる姿が可愛い。
リッターの演技がそれを絶妙に支えており、構成のユルさを補って余りある。
次回作の主人公ルーク・ケイジも一応登場するが、まあ顔見せくらい。だが彼との関係性が、ジェシカの“やさぐれ”に一筋の光を差し込む要素になっている。
そして今はディズニー
ちなみに本作はNetflixオリジナルとして生まれたが、2025年現在ではディズニープラスで配信中。
権利の都合で、故郷を離れてしまったジェシカ。そのゴタゴタもあってほぼ存在ごと忘れられたキャラと化していたが、仲間のデアデビルが頑張って旧ネトフリマーベルの遺産を盛り立て、ついに『デアデビル/ボーンアゲイン シーズン2(実質デアデビルのシーズン5)』でめでたく復活するに至った。
やさぐれ探偵のオフビートな活躍を見逃すな!

Netflixで観る作品を探してるなら、この記事がおすすめよ。

こらちの記事もおすすめです。





コメント