今回は旧Netflixマーベルの一作『ディフェンダーズ』を紹介します。
『アベンジャーズ』のように、それぞれが単独作を持つヒーロー達が大集合するアッセンブルな大作になる筈でしたが…。

「どんな話がやりたいのか」が全然見えてこないユルい作品だったわ…。
下町ヒーロー、全員集合!

『デアデビル』『ジェシカ・ジョーンズ』『ルーク・ケイジ』『アイアンフィスト』ら下町系ヒーローが強引に一作にブチ込まれた、(当時としては)前代未聞のビッグプロジェクト…それが『ディフェンダーズ』だ。
長回しを多用し、背景の情報量を多く伝える演出はグッド。
彼らがアイアンマンのような超越者ではなく、飽くまでこの街(NY)の一人の住人であることが浮き彫りにされる。
そして主役ごとに画面の色調を変える手法も良き。
マットは赤、ジェシカは青、ルークは黄、ダニーは緑……。
ソダーバーグ監督の『トラフィック』のマネっこと言えばそうだが、この戦隊モノの基本に忠実なカラーコーディングは問答無用で美しい。
静かに合流する4つの物語
デアデビル
夜の自警団は引退し、弁護士業に精を出すマット。
喧嘩別れみたいになっていたフォギーとは仲直りし、カレンとは元カノ改め友達に。
いったん落ち着きました、みたいな雰囲気からのスタートだ。
デアデビルと言えばキレのある格闘シーン!…という訳で今回も体捌きは冴える。
マットのスタントマンには金一封を贈るべきだろう。サマーソルトキックが出るたびに「デアデビルが帰ってきた!」と心の中でスタンディングオベーション。
ただ…今に始まったことではないが、チャーリー・コックスの「全盲演技」がどうにも鼻につく…。
先代デアデビルのベン・アフレックがラジー賞最低演技賞を戴冠した難役とはいえ、もうちょっと『セントオブウーマン』のアル・パチーノとかを見習ってもらえんじゃろか。
「俺、目ぇ見えてねーんだぜ?」アピールがわざとらしすぎてもう…。
あと顔を隠すのに使ったジェシカのストール!
礼儀としてクリーニングに出してから返却しろよ!
ジェシカ・ジョーンズ
夜通し酔いつぶれ、目覚めの一杯がウィスキーという見事なアル中ぶりを冒頭から披露するジェシカ・ジョーンズ。
何をしても「面倒くせえ…」という態度を崩さない彼女が、成り行きで悪と対峙していく姿はいかにもジェシカらしい。
クリステン・リッターはモデルのみならず女優としてのキャリアも長い。あの常に不愉快そうなのに、観客に嫌われないギリギリ感を攻めるやさぐれ演技は頭一つ抜けている。
超スキニーでピッチピチのジーンズも着こなし100点満点。
ルーク・ケイジ
ルーク・ケイジはフォギーとホガースの裏口工作のおかげで、刑期短縮でまさかのスピード出所。脱獄ってそんな軽い罪じゃねえだろ!?
脱獄囚設定のままだと今後のストーリー展開に支障をきたすからって、この大人の事情全開はちょっと興醒めだ。
ジェシカとは気まずい再会。
原作で夫婦である二人の間にNetflix版では全くそんな気配は無い。寂しいと言えば寂しい。
そして、彼が登場するシーンで抜かりなくブラックミュージックがかかるのは、もはや一種のお約束である。
アイアン・フィスト
単独作ではチビッ子レベルの知能しかなかったアイアンフィストことダニー・ランド。崑崙が滅びた責任を感じて大人になったのか、すぐに手がかりに飛びつかず「罠かも…」とワンクッション置いたり、尾行に気を付けたりと成長が見られる。
しかし初対面のスティックに「どうしようもないバカ者」とあっさり見抜かれるところがランド社クオリティ。
通常のカンフーでは歯が立たないルーク・ケイジ相手に、アイアンフィストの力をぶつけるシーンは本作の数少ない激熱シーンだ。
ルークの顔芸も、殴られて鋭い痛みがゆっくりやって来るブチャラティみたいでベネ(良し)。
シガニー・ウィーバーの無駄遣い
小学生並の作戦

第3話で面々が一堂に会するシーンは素晴らしい出来。
オフィスで小綺麗な会社役員たちがシガニー・ウィーバーの合図で一斉に特殊警棒を抜き放つ、という最高にクールな合流シーンだ。
しかしそこから先は耐え難いもっさり展開へと突入する。
「敵の狙いはダニーだ!→じゃあダニーを閉じ込めとけばいんじゃね?」という、小学生でも思いつきそうな安直な作戦が完璧に裏目に出て窮地に追い込まれるという、このマヌケな展開には心底辟易させられる。
よくよく考えれば全話通して2日くらいの出来事なのにテンポが悪く、尺稼ぎとしか思えない無意味エピソードが多くてダル長い。
あまりにダルくて何の話なのか入ってこなくなるレベル。
敵の目的が意味不明すぎて盛り上がらない…
悪役組織「闇の手」が、目的から全容まですべてがフワッとしてるのも良くない。
一応、最終目的は永遠の命だとはアナウンスされる。
そしてNYの地下に埋まっている永遠の命を実現するキーアイテム「神龍の化石」を発掘しようとしている、と。
ここまでは、まあ良しとしよう。
しかし化石を発掘すると地脈が乱れてNYが滅ぶ、という設定の意義が全くわからん。
ニューヨークが滅ぶのは単なる採掘の副作用ってこと?
だったら周囲に被害を出さない掘削技術があれば、「闇の手」は単に長生き志向の無害な老人会ってこと?
なら何で麻薬撒いたり暗殺したり、悪いことばっかりするんだ…。そっちの目的はなんなの?
って言うか多分、そのへん考えてないでしょコレ…。
首魁のアレクサンドラ(シガニー・ウィーバー)は、立っているだけで存在感が凄いだけにその退場の仕方は尻すぼみ感丸出しで落胆もひとしお。
悪の女帝に見えて実態は孤独に怯えるただのおばちゃんだった…という設定は悪くない。だが周囲の掘り下げが浅すぎて、あっさり暗殺される顛末にしても「はぁ…?」以外に何も残らない。
大御所の無駄遣いだ。まあ最近のシガニー・ウィーバーこんな感じばっかりだけど。
欠陥だらけの構造でも、やっぱり最高のチーム
構造的な欠陥は多かったものの、頑張って良い点を拾うことは出来る。
アクションシーンが全体的にクオリティアップしており、大乱闘長回しは素直に「カッコいい!」と叫びたくなる。
ダニーも崑崙体操第一を披露しなくなったのでカンフーに張りが出たし、黄金の右拳がザコ的を一網打尽にしたことで彼がディフェンダーズの中で実は一番強いかのような雰囲気を醸し出しているのもグッド。
最初は犬猿の仲だった主人公たちが徐々に結束していく王道展開も、やはり胸が熱くなる。特に人間嫌いのジェシカが仲間想いの熱い言動を見せるラストは、ツンデレのテンプレートに忠実で非常に良き。
この四人がついに一つの画面に収まった点は素直に肯定したい気持ち。
…だがスティックの切断された右手!手をすぼめて包帯巻いてるだけじゃん!全然切断されたように見えないよ!
そういう細かい所のチープさが、地味に観客を苛立たせるんだよ!

Netflixで観る作品を探してるなら、この記事がおすすめよ。

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コメント
グダグダだったけど~この4人が同じ画面に収まってるの見れただけでも満足しました
>村上さん
ほんと想像以上にグダグダでしたよね(;^ω^)
でも4人が一堂に会しただけで満足って点は全面的に同意です!
くぅ疲乙
パニッシャー始まりましたが、ディフェンダーズを見るのがめんどくさいのでここでネタバレ読んで補完しましたw
>あ さん
コメントありがとうございます。
パニッシャーにはディフェンダーズからの伏線は一切含まれてないので、デアデビルしか観てないご家庭でも安心してお楽しみ頂けると思う。