Netflixのオリジナル作品って、数は多いが当たりは少ない。特にアクションは。
という訳で今回は、ひと味違うアクション映画を三本厳選しました。脳筋一辺倒じゃない、妙な深みを持つやつらです。ではどうぞ。

スカッとしたいときに。
タイラーレイク 命の奪還
– 制作年:2020年
– 監督:サム・ハーグレイヴ
– 主演:クリス・ヘムズワース
心に傷を抱える傭兵タイラーは、誘拐された大物ギャングの息子を救うミッションに赴く。しかし功を焦る味方の裏切りに遭い自体は急転。タイラーと少年は敵だらけの街で孤立してしまうのだった…!
主演のヘムスワースは普段のマッチョギャグを封印し、終始“戦場の筋肉イケメン”として画面を支配する。
特筆すべきは中盤の長回しシーン。元スタントマンである監督サム・ハーグレイヴの体力と狂気が混ざった死に物狂いの演出だ。カメラが戦闘の脈動と一体化し、路地を駆け、壁を跳び、弾丸の隙間を泳ぐ。もはや撮影自体が戦闘行為だ。
全体として話は平坦で展開も起伏に乏しい。だが画面に漂う命の重さと痛みの美学が、本作を単調さから救済している。間違いなくNetflixを代表する、筋肉と銃弾が織りなす戦場の叙事詩。
同じコンセプトをさらにスケールアップした『タイラー・レイク 命の奪還2』も必見だ。

一段と常軌を逸した長回しが炸裂よ。
グレイマン
– 制作年:2022年
– 監督:ジョー・ルッソ、アンソニー・ルッソ
– 主演:ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス、アナ・デ・アルマス
CIAの殺し屋・シックスは、組織に裏切られ逃亡者となる。彼を追うため雇われたのは、狂犬のような残忍野郎ロイドだった。
陰謀と銃弾が飛び交うなか、二人の魂が激突する!
ライアン・ゴズリングが圧倒的戦闘力のスーパーエージェントを筋肉で熱演。色気とマッチョがパイルダーオンだ。
一方クリス・エヴァンスはキャプテン・アメリカのイメージを自ら粉砕するかのような卑劣ヴィランを熱演。あの口髭と不快なニヤけ顔だけで既にこの映画を観る価値はある。
中盤の市街地カーチェイスは、アベンジャーズを伝説の傑作に押し上げたルッソ兄弟の底力が炸裂。まさに鉄と爆炎の交響曲。これだよ、アクション映画はこうじゃなくっちゃ!
だが超売れっ子女優アナ・デ・アルマスはというと…高級ワインを洗車に使うような贅沢な無駄遣い。存在感が希薄すぎてほぼ背景。パロマを返して…。もしくは某バレリーナを連れてきてくれ…。
これはNetflixが2億ドルを投じて作った「筋肉祭」である。ストーリーの薄さをキャストの熱量で殴り倒す力技が目に付くが、続編も進行中でそこは素直に期待しかない。“観ておくべきプロローグ”としても必見だ。
トリプルフロンティア
– 制作年:2019年
– 監督:J・C・チャンダー
– 主演:ベン・アフレック、オスカー・アイザック、チャーリー・ハナム
退役軍人たちが麻薬カルテルの大金を強奪する計画に手を染める。しかし計画は頓挫し男たちは窮地へ。
まるで世界のイケオジ番付上位5強をぶち込んだような豪華キャストに目眩がする。
ベン・アフレック、チャーリー・ハナム、オスカー・アイザック、ギャレット・ヘドランド、そしてペドロ・パスカル――この面子、まるでハリウッドのテストステロンを煮詰めた濃縮還元汁だ。
だがこの映画、単なるマッチョ祭りではない。欲と絆の狭間で揺れる男たちの愚かさが、渋い苦みを帯びて響く。
金に目が眩んだ彼らの動機は、貪欲でありながらどこか純朴。結局彼らが拾い集めていくのは札束ではなく“かつての絆”なのだ。
いい歳したおっさんたちが戦場での仲間との一体感を追い求める姿は、まるで『スタンド・バイ・ミー』の少年達がそのまま年取って銃を携えたよう。
ド派手アクションを期待すると若干の肩透かしだが、男臭い魂の挽歌は観る者の胸をざわつかせる。イケオジたちの愚直な一撃、隠れた傑作と呼ぶのにふさわしい一品だ。
アクションとは暴力じゃない、覚悟だ。
そしてNetflixの玉石混交の荒野には、発掘されるのを待つ一品がゴロゴロ埋まっている。

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