Netflixにはホラー作品が数多くありますが、今回は“怖さ”だけにフォーカスして選びました。
心霊、スプラッター、心理的恐怖――ジャンルは違えど、どれも観たあとに静かに心を蝕んでくる作品ばかりです。
怖い映画を探している方にこそ、ぜひチェックしていただきたい3本です。

『呪詛』はヤバい。
それしか言葉がみつからない。
呪詛(映画)
- 制作:2022年
- 監督:ケヴィン・コー
- 主演:ツァイ・ガンイエン、ホアン・シンティン、ガオ・インシュアン
山間の集落で起きた禁忌の儀式。
そこに足を踏み入れてしまった女性リ・ローナは、呪いを背負ったまま都市部へ逃げ延びる。その後、娘ドゥオドゥオを出産するのだった。
しかしその後、娘の周囲で不可解な現象が頻発。周囲の人間が次々と命を落とし、やがて危険は娘自身にも迫る。
呪いを解くため、母娘は再び“あの場所”へと引き戻される…。
台湾からやって来たホラーの超新星爆発
全編POV形式(ビデオの録画という設定)で語られる心霊系ホラー。POV自体がもうずいぶん手垢のついた手法なので、一見すると『呪詛』はひと昔前に流行った平凡なホラー映画だ。
だが本作はそんなもんじゃねぇ。ひと昔前どころか、むしろ最先端のホラーだ。
とにかく人間が何を恐れるのか研究し尽くされている。
人間の恐怖を喚起するありとらゆる存在―具体的には死・虫・血・病気・霊そしてカルト宗教など―を、盛るだけ盛った恐怖の欲張りセット映画なのだ。
そしてトドメとばかりに終盤に叩き込まれる配信作品ならではの「あの演出」は、観る者の安全圏を容赦なく踏み越えてくる。視聴者はこの映画を観てしまった自分も、もう無事ではいられないという事実に戦慄することになる。
あまりに怖すぎてエンタメ性を自ら削ってしまっているが、その事実にすら「本気の呪いは娯楽じゃない」と言われているようで強い説得力がある。
これはもうホラー映画というより呪術的体験。観るのには覚悟が要る。閲覧注意。
呪怨 呪いの家(ドラマシリーズ)
制作:2020
監督:三宅隆太
主演:荒川良々、黒島結菜、倉悠貴
ある心霊研究家が、過去の未解決事件を追ううちに“呪われた家”の存在に辿り着く。そこから始まるのは、時系列をシャッフルされた断片的な悪夢の連続。
過去と現在が交錯し、観る者の時間感覚をじわじわと侵食してくる。
時系列シャッフル×ド直球心霊ホラー
心霊ホラー日本代表のあの映画を、設定を大幅に刷新してドラマシリーズ化した一作。
心霊ホラーのはずだが、とあるエピソードではホラー史に残るレベルの残虐流血祭りが突然開幕。
怨霊もドン引きの超絶惨劇に、観客の精神は軽くバグる。制作陣の本気度の高さに脱帽だ。
だがそのショッキング描写さえも、全体構成を解き明かした後では一連の巨大な呪いの一部だったと気づかされる。
時系列シャッフルという難解な手法がただの混乱ではなく、恐怖の深度を増す装置として機能しているのが素晴らしい。
フェイクドキュメンタリー全盛の今日のJホラー界に対して、本作はひと昔前の美学に準じた「叩きつけ型」心霊ホラーの頂点。
血と怨念と構成美が三位一体となった骨太な一作だ。
ものすごく怖いがそれだけじゃない。観る価値がある。
ホーンティング・オブ・ヒルハウス(ドラマシリーズ)
制作:2018
監督:マイク・フラナガン
主演:ヴィクトリア・ペドレッティ、オリヴァー・ジャクソン=コーエン、ミキール・ハースマン
1992年、ヒルハウスと呼ばれる屋敷に引っ越したクレイン一家。
しかし屋敷に潜む「何か」により家庭は崩壊。母親の急死をきっかけに一家は離散してしまう。
時は流れ現代。
家族らはとある事件をきっかけに、それぞれが心の傷を抱えながら再び「家」と向き合うことになる。
幽霊屋敷ホラーと家族の再生
心霊系ホラーでありつつ、それを軸に家族のドラマがじわじわと浮かび上がる構成。この雰囲気はホラーというより心理劇のおもむきだ。
とはいえ幽霊の出方は容赦なし。ドッキリ系で心臓を叩き、あとに残る系で精神を削る。
二段構えの恐怖が、観る者の防御力を確実に崩してくる。
ショック描写も含めて演出は全話通して鋭く、特に一話まるごと長回しで撮ったあのエピソードの緊張感は異常。空間と時間がねじれるような映像体験に、思わず息を呑む。
そして本作の真価は、恐怖の果てに希望を香らせる最終話にある。
生ぬるいと感じるか、救いと捉えるかは人それぞれ。ただ恐怖で縮んだバネが解放されるあの瞬間には、確かなカタルシスがある。
怖さに振り切った3本、いかがでしたか?
他にもNetflixには、語りたくなるホラーがまだまだ眠っています。
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