Netflixの最終兵器『ストレンジャー・シングス』、ついにファイナルシーズン。
鼻血と電飾のSF青春絵巻はどこへ着地するのか──今回はこれまでの伏線を整理しつつ、最終章への予想を語ってみる!

シーズン4までのネタバレが盛大なので注意してね。
カーリー(8号)と蜘蛛の符合

シーズン2で登場したカーリーこと8号。
主人公イレブンの“姉ポジション”という超おいしい設定でありながら、物語からはあっさりフェードアウト。
シーズン3でも4でもまるで最初から居なかったかのような扱いなので、再登場の可能性は正直低いだろう。
だが彼女の能力──幻覚を見せる力──は、ヴェクナの“蜘蛛”モチーフと妙に符合する。
ヴェクナは蜘蛛に執着している。
カーリーは幻覚で蜘蛛を見せる。
そして「裏側」の最終ボス、マインドフレイヤは巨大な蜘蛛のような姿をしている。
全てが蜘蛛で繋がっているのだ。
もちろん偶々かもしれない。
完全に忘れられたキャラを、最終シーズンに無理やりねじ込む作劇上のメリットも小さい気がする。
だが再登場の可能性もゼロではない。
登場するならイレブンたちの敵か。味方か。
そのどちらだったとしても、もしカーリーが再び活躍するならそれは「若干スベッたシーズン2」さえも伝説の一部として併せ飲むという意義の大きな試みになるだろう。
マックスの“虚無”と時計
シーズン4の終盤、マックスはヴェクナに襲われ意識を失う。
一命をとりとめたマックスだったが、その意識にダイブしたイレブンは完全なる虚無を見るのだった。
マックスは死んだ。
いわゆる脳死状態だ。
死んだ者は戻ってこない。イレブンの能力をもってしてもそれは抗えない摂理だ。
だがここで登場するのが時計。
シーズン4では、それこそしつこいほど「時計」が繰り返しモチーフとして登場した。
時計は時間の象徴。
つまり今後、イレブンが時間を操る能力を得ることはないだろうか。
マックスを生き返らせるのではなく、脳死する前の状態に「戻す」のだ。
もしくはイレブンだけの力ではなく、ヴェクナとの死闘を経て時間構造に何らかの変化がもたらされるのかも知れない。
また、そもそも現実世界と裏側の世界の時間の流れの違いにもいくつか伏線がある。
ヴェクナは裏側の世界で長い時を過ごしたと言うが、その「時」が何故か「ウィルが裏側の世界に落ちた時点」で止まっている可能性があるのだ。裏側世界でのバイヤーズ家の状態やカレンダーの日付が、シーズン1当初のまま時が止まっている証拠だ。
いずれにせよ、あれほど擦ってきた「時計」が無意味に終わるとは考えにくい。
シーズン4は「時間」がキーワードになる可能性が大と見た。
ルーカスの静かな勇気

最近ルーカスの影が薄い。
マイクの正義感、ダスティンのユーモア、ウィルの苦悩──物語は常に彼の外側で回っている。
シーズン4では特に、マイクたちと意図的に距離を置こうとする彼の葛藤がルーカス自身の「物語の孤立」を生んでいた。
せっかく主人公の一人なのにかなり哀しい扱いだ。
だがシーズン4終盤、マックスを守るために戦う彼の姿は確かに主人公だった。
最後の最後に男気を見せた形だ。
ファイナルで感情の爆発があるなら、それの中心はルーカスだろう。って言うかそうあってほしい。
前述通りマックスの運命が悲劇的な方向で固まりつつある今こそ、ルーカスの頑張りが物語全体のトーンを左右し得る。
ナンシーの恋の行方
ジョナサンか、スティーブか──。ナンシーはいっつも揺れている。
ファイナルシーズン…ということで、シーズン1以来ゆらゆらしっ放しだった彼女の恋にも決着がつくかも知れない。
だがファイナルで彼女が選ぶのは、恋ではなく“自立”である予想。
ナンシーは常に“誰かの隣”にいた。
だが彼女が物語の中心に立つとき、それは“誰かの恋人”としてではなく自分自身の選択をしたときだろう。
例えるならバットマンに出てくるハーレイ・クインが「ジョーカーの恋人」ポジションから主人公に昇格したようなイメージだ。
そしてそれは90年台に至る時代における女性の自立をも意味し得る。
「恋愛要素だけが女性キャラのパンチじゃねぇ!」そう叫ぶのがナンシーの最終形態かもしれない。
ウィルの言えない愛

諸々の解釈が入る余地があろうが、我がブログの見解はこうだ。
ウィルはマイクに恋愛感情を抱いている。
その恋がどんな顛末を迎えるかもファイナルシーズンの予想見どころの一つだ。
マイクへの想いが報われない恋で終わるのか。
それとも、相思相愛以外の何らかの形を目指すのか。
現代よりはるかに同性愛者への偏見が強かった80~90年台を舞台に、ウィルがどんな決断を下すのかは興味深い。
そして忘れちゃいけないのが、ウィルとマインドフレイヤのリンクがまだ生きているという事実。
このリンクは『シーズン2』当時はウィルを通じての現実世界への攻撃に利用された。
だがウィルも成長している。それこそウィルとマイクの絆がなんかこう…イイ感じに作用して、とにかく現実世界側からの攻撃の起点になり得るのではないか?
もしくは直接的な攻撃はできなくても、マインドフレイヤの動向を感じることが出来る「生きセンサー」として活躍する場は十分あると見た。
その力でマイクを守ってくれウィル!あとそろそろ髪型変えてもいいんだぜ!
語りの終着点へ──磁場の崩壊と再構築
長きに渡ってNetflixを牽引してきた『ストレンジャー・シングス』がついに完結を迎える。
この10年でNetflixが映画界に与えてきた影響は絶大だ。
配信限定公開というプラットフォームの一般化。
劇場公開作でない映画が受賞することの当前化。
そんなNetflixを強く引っ張ってきたのが『ストレンジャー・シングス』だと思えば、ストシンが映画史に与えた影響もまた絶大だと言えよう。
ストシンの完結は一つの時代の終焉と形容しても大げさではない。
鼻血と電飾で始まったこの神話は、最後に我々に何を見せてくれるのか。
今は待つしかない。

ストシン以外にもNetflixにはおすすめ作品がいっぱい。
いろいろ紹介してるからぜひ覗いていって。

当ブログのストシンまとめ記事はこちらです。





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