今回は『プレデター:ザ・プレイ』の紹介です。

しばらく「スン…」な続編しか出なかったプレデターシリーズが、突然の反撃よ。
あらすじ

制作:2022年
監督:ダン・トラクテンバーグ
主演:アンバー・ミッドサンダー、ダコタ・ビーバース、デイン・ディリエグロ
1719年、北アメリカ。
コマンチ族の若き女性ナルは屈強な兄にあこがれつつ、自身の研鑽のため日々狩猟に挑んでいた。
しかし部族はある日、未知の存在「プレデター」と遭遇する。
圧倒的な科学技術と武力を誇る宇宙の狩人に仲間が次々と倒される中、ナルは知恵と勇気を武器に立ち向かう。自然と部族の誇りを背負い、彼女は人類とプレデターの最初の死闘を繰り広げることになる。
ピンチはチャンス!
弱さは強さ!
戦うことで己の価値を敵にも自分にも証明するヒロインの姿は、視聴者の胸に立ち向かう勇気を呼び覚ます。…と書くとちょっと陳腐な表現だが、我ながらしっくりくる。
その“戦い”は銃弾と爆発ではなく、罠と知恵と執念の積み重ね。リアルな手触りのあるゲリラ戦だ。
つまりおバカ系SFアクションの代名詞であるプレデターシリーズにしては、本作はかなりリアル寄りなのだ。むしろ映像美が冴えわたっており、格調高くさえある。
腕力や科学力では圧倒的に劣るが、ナルには“侮られることの強み”がある。
プレデターは当初、彼女を殺さない。もちろん優しさからではない。ナルが「狩る価値なし」と判断されたからだ。
しかしその瞬間こそが彼女の逆襲の起点になる。
静かに”心で勝つ”
ナルの戦い方は、力ではなく“読み”と“仕掛け”に満ちている。
罠を張り、敵の技術を盗み、地形を利用し、最後には“狩りの哲学”そのものを逆手に取る。シュワちゃんから連綿と続く歴代シリーズ主人公に劣らない不屈さだ。
そしてネイティブアメリカンらしく…と言うべきか、ナルは寡黙だ。
女の子だけど泣いたりしない。静かに確実に、反撃のチャンスをうかがう。その姿がコマンチ族の矜持を叩きつける。きわめて痛快。
戦いこそ生きるすべ!生きるために”狩る”のだ!
そして何より、本作が描く“戦い=生存”という価値観が強烈。これは現代の“共存=正義”という思想とは真逆だ。
しかしだからこそナルの物語は胸を打つ。
彼女は平和を求めていない。ただ自分が“狩る者”であることを証明したいだけだ。その純粋さが、プレデターの趣味的殺戮を逆転させる。
『ザ・プレイ』は女子主人公というシリーズの中でも異色の一作。血と泥と知恵で構成された、静かな逆襲劇だ。
プレデターはナルに懲りて、次回はもう少し相手を見てから狩りを始めたほうがいい。地球には、侮れない“弱さ”が潜んでいる。
と言うかそもそも別の星でやってくれ。

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