Netflixで何を観ようか迷っている方へ。
今回は「AI」をテーマにしたオリジナルアニメの中から、心に残る3作品を厳選してご紹介します。
テクノロジーと感情が交差する物語は深い余韻を残してくれるはず。
地球外少年少女
制作:2022年
監督:磯光雄
主演:藤原夏海、和氣あず未、石川由依
SF脱出サバイバル×青春群像
宇宙ステーションでの事故をきっかけに、AIに管理された閉鎖空間で少年少女たちがサバイバルを強いられる。
酸素は減るわ、通信は途絶えるわ、頼れると思ってた大人は案外アレだわ。
そんな状況で彼らが頼るのは己の知恵と、ちょっと不安定なAIとの奇妙な共存関係。宇宙という名の“親のいない家”で、子どもたちは脱出を目指し戦い始める。
この作品、超高度AI=セブンが「人類を滅ぼす」でも「支配する」でもなく「試す」という立ち位置なのが新鮮。まるで神のフリをした家庭教師。
人間の愚かさを嘲笑うでもなく、ただ淡々と問いかけてくる。お前ら、ほんとに生きたいの?と。
AIと神の違いという哲学的なテーマにさらっと触れつつ、物語の主軸はあくまで子供たちが生き残ること。
「そんなのどうでもいい、俺たちは生きたいだけだ」を行動で示すトウヤたちの潔さが心地よい。
SFの皮をかぶったジュブナイル青春群像劇としてかなりの完成度。宇宙の果てで、子どもたちはちゃんと“人間”してる。それだけで、ちょっと泣ける。
PLUTO
制作:2023年
監督:河口俊夫
主演:藤真秀、日笠陽子、鈴木みのり
浦沢直樹ワールド 良くも悪くも完全映像化
世界最高性能のロボットたちが次々と破壊される怪事件。その真相を追うのは、記憶と感情を持つ刑事ロボ・ゲジヒト(声:藤真秀)。
彼の捜査はただのミステリーでは終わらない。人間とは何か、AIとは何か──そんな哲学的問いが真剣な表情に宿る。
しかもやたら丁寧で、正直ちょっとしつこい。
で、その“しつこさ”が本作の味。浦沢直樹の原作を「完ッ全に完ッ璧に」映像化した結果、あの独特のクドさまで忠実に再現されてしまっている。
展開は遅い。語りは特濃。
だがそのおかげで、ゲジヒトの沈黙と視線には言葉よりも重い存在感が乗る。
今どき「AIに感情はあるのか」なんて問いは、もはや哲学というより懐古趣味だ。だがPLUTOはその懐古を全力で肯定し、神作画のパワーで「あの頃の問い」を美しく保存してみせた。
時代遅れ? それがどうした。ズレてるからこそ、今の視点で観る意味がある。
EDEN
制作:2021年
監督:入江泰浩
主演:高野麻里佳、伊藤健太郎、氷上恭子
ロボット育児、はじめました。人類絶滅後に。
人類が姿を消した未来、ロボットだけが暮らす都市「エデン」で、農業用ロボットが偶然発見した人間の赤ちゃん・サラを育てることに。人間は“危険”とされる社会で、サラの存在はやがて世界の根幹に触れていく──という、SF設定を借りた優しい寓話。
全4話というコンパクトさがまずありがたい。短い。早い。うまい。まるで未来の牛丼。
昨今の情報過多アニメに疲れた脳には、これくらいの分量がちょうどいい。
だが短いからって侮れない。映像は美しく、語りは丁寧。メルヘン寄りの世界観の中で、サラの善性がじわじわと効いてくる。
AIだろうが人間だろうが結局大事なのは愛、そう愛だよ愛!──という、やや直球すぎるメッセージも、ここまで素直に描かれると逆に刺さる。
小品だからこそ、語りの純度が高い。箸休めどころか、むしろ“心の口直し”として機能する作品。
まるで未来のロボットが淹れてくれたカモミールティー。ちょっと甘すぎるけど悪くない。
AIという題材を通して、人間らしさを問い直す作品たちでした。
当ブログでは他にもジャンル別のおすすめアニメを紹介していますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
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