Netflixで観る女性主人公ホラー3選 ― 彼女たちは止まらない【2025年版】

今回紹介するのはNetflixオリジナル映画の女性主人公ホラー。
薄着で逃げ惑うスクリームクイーンとは一線を画す、力強い女性像。そんな映画を探している方にこそ届いてほしい記事です。

憧れるわ、強い女性。

 

オキシジェン

出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2021年
監督:アレクサンドル・アジャ
主演:メラニー・ロラン、マチュー・アマルリック、マリック・ジディ

目覚めると、そこは狭いカプセル装置の中。ここがどこなのか。なぜ自分はこんな場所に閉じ込められているのか。何もわからない。
リズ(メラニー・ロラン)は記憶も曖昧なまま、酸素残量が刻一刻と減っていく閉鎖空間でサバイバルを強いられる。

アジャ、流血を封印──でも恐怖は血より濃かった

アレクサンドル・アジャといえば血みどろ映画『ハイテンション』で世界を戦慄させた男だが、本作では血飛沫を封印(ちょっとは出てくる)。
代わりに閉所恐怖症をフルスロットルで刺激する心理戦にシフトしている。
舞台となるカプセルはまるで視聴者の肺まで圧迫してくるような息苦しさだ。彼女を助けるAI“ミロ”の冷静すぎる声(マチュー・アマルリック)も絶妙に不安を煽る。

アジャの「恐怖は生きる力」という信念が、流血描写の代わりに知性とサスペンスで炸裂。女性が極限状態で己の力を取り戻す姿はどこか現代的なメッセージにも見えるが、押しつけがましさは皆無。
閉塞感の中で輝く人間の執念と、アジャの新境地に驚かされる一品だ。

  

 

アナイアレイション

出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2018年
監督:アレックス・ガーランド
主演:ナタリー・ポートマン、ジェニファー・ジェイソン・リー、オスカー・アイザック

行方不明だった夫がある日突然、瀕死で帰還。
夫に何があったのか…その原因が眠る謎の領域“シマー”の調査に志願した生物学者レナは、女性だけのチームでその異空間に足を踏み入れる。

侵略SFの皮をかぶった“自己分解ホラー”

虹色の霧に包まれた謎の森。その中で見つかる先行探査チームの死体は、まるで「人間以外の何かになろうとして途中で力尽きた」かのような異形と化している。
一見、古き良き『遊星からの物体X』路線のスタンダードな侵略系SF。
だが本作の真骨頂は、侵略SFと見せかけて実は“自分とは何か”を問う哲学的ホラーに仕上がっている点にある。

アレックス・ガーランド監督の振り切った理屈っぽさは今回も健在。『エクスマキナ』でAIとは何かを語りつくした男が、今度は人間とは何かに真っ向から挑んでいる。
そのくせただの屁理屈映画に終わらず、グロいモンスター描写も抜かりなし。熊のようで熊じゃない“何か”は、その鳴き声からして異色の発想かつユニークだ。

こんな難解なSF、誰が観るんだ」とスポンサーに言われて劇場公開を見送られた経緯を持つのも、正直納得できてしまう気難しい作品。だが美しくも不気味な映像と静かな狂気には確かな見ごたえがある。
これは観る者の細胞に「お前って結局何?」を問いかけてくる映画だ。隠れた傑作。

 

 

パーフェクション

出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2018年
監督:リチャード・シェパード
主演:アリソン・ウィリアムズ、ローガン・ブラウニング、スティーヴン・ウェバー

かつて天才チェリストとして将来を嘱望されたシャーロット。彼女は老いた母親の介護のため夢を断念したが、その母の死を機に音楽界へ復帰。かつての恩師のもとで出会った新星チェリストのリジーと意気投合し、二人で女子旅に出るのだった。
が──バスの中でリジーが突如体調不良。ここから先は、観る者の胃袋が試される地獄の始まりだ。

虫とゲロと切断と──それでも美しい狂気

監督であるリチャード・シェパードの演出は、遠慮という言葉を知らない。
セクハラやパワハラをホラーの文法で描く社会派映画の意図は分かるが、容赦なきショック描写の連打がそれを押し流す。
虫! ゲロ! 切断! これでもかと畳み掛ける過激さは、一周回って「よくこんな映画作ったな…」と冷静に感心してしまう。Netflixの「何でもアリ」な土壌がなければ、こんなバグった作品は生まれなかっただろう。

ハラスメントの寓意がやや直球すぎるきらいはある。だがラストのあの象徴的なシーンは、女性の強さと反逆の精神を刻みつける。
名作と呼ぶには粗削りだが、完璧を追い求める狂気とそれをぶち壊す痛快さが共存する構成はユニーク。Netflixの尖った個性が光る怪作だ。

  

  

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Netflix好きなら是非見て行ってね。

  

  

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