Netflixには、理屈をすっ飛ばして心拍数だけを上げにくる作品があります。
今回紹介するのは、そんな痛快さ(だけ)重視なド派手アクション映画3本。
忙しさも憂鬱もいったん脇に置いて、純度100%の爆裂エンタメに身を投げてみませんか。
アーミー・オブ・ザ・デッド
制作:2021
監督:ザック・スナイダー
主演:デイヴ・バウティスタ、エラ・パーネル、マティアス・シュヴァイクホファー
ゾンビほっといたら王国できちゃった件
ラスベガス、ゾンビの楽園と化したカジノの街。
傭兵スコット(デイヴ・バウティスタ)が率いるチームは、大金目当てにゾンビだらけの地獄に突入する。
泥棒とゾンビ退治の二重奏、時間制限付きで命がけのミッションが幕を開ける。
だが、王ゾンビに姫ゾンビ、果ては虎ゾンビまで登場して計画は秒でカオスに突入だ!
ザック・スナイダーが『ドーン・オブ・ザ・デッド』の痛快ホラーアクション路線をさらに突き詰め「社会派? 知るか!」とばかりにゾンビ映画を脳みそ空っぽの「観るエナジードリンク」に変えた本作。
もうね、頭空っぽでいいんですよ。全編に渡って「考えるな、撃て!」の美学が炸裂。
いい奴も悪い奴もバタバタ死ぬけど悪い奴は特にグチャグチャに死ぬ!
これぞスナイダーの「やりすぎ上等」哲学。これだ! これが見たかったんだ!
王ゾンビのマント翻しっぷりとか、姫ゾンビの「私、モデル契約あるから」みたいな気品も無駄に笑える。
深みとかテーマとかを鼻で笑いながら純粋な破壊の快楽を届けるエンターテイメント。ポテチ並みにに罪悪感ゼロで楽しめる、ゾンビ映画のシン・不真面目金字塔だ。
ザ・ハーダー・ゼイ・フォール
制作:2021
監督:ジェイムズ・サミュエル
主演:ジョナサン・メジャーズ、イドリス・エルバ、ザジー・ビーツ
荒野の常識を黒い弾丸がブチ抜く
時は19世紀、荒々しいアメリカ西部。
復讐に燃える”ギャング狩りギャング”ナット・ラヴ(ジョナサン・メジャーズ)が、宿敵ルーファス・バック(イドリス・エルバ)を追う。
銃と絆で突き進む彼らの物語は、黒人だらけの西部劇という大胆なキャンバスに描かれる。血と硝煙の香りが漂う中、レゲエからヒップホップまでブラックミュージックがビートを刻む異色の世界だ。
伝統的なカウボーイ像をぶち壊し「これが俺たちの西部だ」とばかりに叩きつけるこの不敵さよ。
ルール無用の荒野で「全員黒人」のキャストが暴れ回るのがとにかく痛快。主役二人も冴えわたるが、レジーナ・キングの冷徹な目つきやザジー・ビーツのタフな魅力もまた物語にスパイスを鋭く効かせる
ガンアクションはまるでゲームのボス戦さながらのキレッキレ具合で、敵味方のキャラ配置がRPGみたいに分かりやすいのもどこか微笑ましい。
言葉の意味も分からず「ポリコレだァー!」とやたら叫ぶ輩を黙らせるには、こんなスタイリッシュな一撃が一番効く。
6アンダーグラウンド
制作:2019
監督:マイケル・ベイ
主演:ライアン・レイノルズ、メラニー・ロラン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ
ベイ史上最もベイベイしい映画
リーダー「ワン」(ライアン・レイノルズ)を筆頭に、元スパイの「ツー」(メラニー・ロラン)やスナイパーの「スリー」(デイヴ・フランコ)ら、死を偽装した6人のエキスパートが、独裁国家の転覆を目論む。
マイケル・ベイが「ストーリー? 知るか!」とばかりに爆破スイッチを連打した本作は、理性のタガを外したアクションの狂宴だ。
冒頭から車が宙を舞い、常に何かが爆発し、唐突にシモネタが挟まる。
まるでベイが自分のフィルモグラフィーをミキサーにぶち込み、濃度1000倍で注ぎ出したカクテルだ。
ここまでマイケル・ベイらしさを濃縮すると、観客の理性さえ吹き飛ばされる。ストーリーが脇役にされる潔さも逆に痛快。
結果的に「やりすぎて続編企画がポシャる」という伝説を刻んだ本作は、アクション映画を「崇高な騒音」として再定義する怪作。
痛快さ以外の要素を威勢よくかなぐり捨てた、ある種の清々しさがここにある。
今回は“痛快さ”に全振りした3作をご紹介しました。
もし次は少しクセ強めスリラーや、感情爆発型ヒューマンドラマが気になる方は、別記事もぜひ覗いてみてください。
エンタメの熱量を浴びる準備は、Netflixさえあればいつでも整います。
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