2018年――世界では平昌五輪が開催され、Facebookの個人情報流出問題が浮上。現実の不安が濃くなる中、Netflixオリジナル作品は感情の濃度と余韻を急激に深めました。
今回はそんな2018年の中でも、当ブログが心を震わせたTOP5を厳選してお届けします。
何かを感じたい夜に、そっと差し込む一本が見つかるかもしれません。
🥇 1位 デビルマンクライベイビー
制作:2018
監督:湯浅政明
主演:内山昂輝、村瀬歩
血と愛と絶望とカオス
平凡な高校生・不動アキラは、頭脳明晰な親友・リョウの提案により悪魔の力と融合し、涙もろい心を持つ超人“デビルマン”となって人間と悪魔の闘争に身を投じていく。
物語が進むにつれて善悪は溶け合い、友情は狂気に変質し、愛は災厄を連れてくる。
湯浅監督特有の抽象的かつハイスピードな演出が、よそ見する暇を与えない。
特に第9話の展開は視聴者に「耐えられるかどうか」より「どこまで壊れるか」を突き付けるレベルの激震。
原作へのリスペクトと現代的アレンジが鬼気迫るバランスで融合しており、暴力と悲哀の密度は圧倒的。こんなアニメが存在してくれたこと自体が祝福に近い。サンキューNetflix。
🥈2位 ROMA
制作:2018年
監督:アルフォンソ・キュアロン
主演:ヤリッツァ・アパリシオ、マリナ・デ・タビラ
女性賛歌、その静かな爆発
70年代メキシコシティ、上流家庭に雇われた家政婦クレオの日常を軸に、政治のうねりや家族崩壊の余波が静かに彼女を包み込む。
ジャンルは一応ドラマだが、展開は限りなく日常に潜む叙事詩。色彩はモノクロ、音響は生音、会話は極限まで抑えられ、しかしその静けさが逆に印象的。
中盤に唐突に現れるチンポブンブン男には、思わず「この作品にそんな自由枠あったっけ?」とツッコミたくなるが、その脈絡のなさも逆にメキシコのカオスな空気感を醸すエッセンス。
砂浜を歩いて泣いてまた戻る…という終盤の映像詩は、まさに静謐な爆発と呼ぶにふさわしい名シーン。魂が一瞬立ち止まって振り返る感覚すら覚える。
🥉3位 ホーンティング・オブ・ヒルハウス
制作:2018年
監督:マイク・フラナガン
主演:ヴィクトリア・ペドレッティ、オリヴァー・ジャクソン=コーエン、カーラ・グギーノ
ド直球の幽霊屋敷ホラー。
1992年、ヒルハウスと呼ばれる屋敷に引っ越したクレイン一家。
しかし屋敷に潜む「何か」により家庭は崩壊。母親の急死をきっかけに一家は離散し、現代パートではそれぞれが心の傷を抱えながら再び「家」と向き合うことになる。
過去と現在が交錯しながら、家族の記憶と怪異の正体が少しずつ明かされていく。
直球幽霊屋敷ホラー。
しかしただビビらせるだけにあらず、時系列をまたいだ立体的なストーリー構成と家族ドラマの深さが秀逸。
シリーズ完結型で観やすく、それでいて余韻は長く静かに刺さる。
4位 このサイテーな世界の終わり(シーズン1)
制作:2017年
監督:ジョナサン・エントウィスル
主演:アレックス・ロウザー、ジェシカ・バーデン
厨二病、旅に出る
殺人願望を抱える少年と家庭崩壊気味の少女が、衝動的に家出して二人旅。
最初は逃避、途中から事件、最後は破滅にまっしぐら。
二人の内面は“痛さ”と“イタさ”が混在してて、まるで思春期の不安定な精神がそのまま血を流しているようだ。演出も過剰じゃないのが逆に刺さる。
青春のダークサイドを真正面から描いた暗黒ロードムービー。
笑えないのに笑える。痛々しいのに美しい。
バスターのバラード
制作:2018年
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
主演:ティム・ブレイク・ネルソン、ゾーイ・カザン、リーアム・ニーソン
巨匠、ありったけの「らしさ」を込める
西部開拓時代を舞台に、6つの短編が連なるオムニバス形式。
歌って撃って死ぬガンマン、旅芸人と興行主の奇妙な関係、早とちりで人生を棒に振る娘など、各話が“死”を軸にしながらもジャンルもテンションもバラバラ。
物語は基本的に「始まって、ちょっと希望が見えて、やっぱり死ぬ」で統一されており、コーエン兄弟の人生ってそういうもんだろ精神が全開。
全体としては死を茶化しながらもどこか敬意を払っているような、不思議な余韻が残る。
作家性に振り切りすぎて観る人を選ぶが、栄養価の高い一本。
2018年のNetflixは、語りかけてくる系作品に存在感があった年でした。
他の年でも同様に観るべき作品が目白押し。
年別TOP5シリーズ、ぜひ他の記事も覗いてみてくださいね。
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