Netflix2022年ベスト――疾走と異形のTOP5

2022年は、安倍元首相の銃撃事件、ロシアのウクライナ侵攻、そして“エンタメの多様性”が加速した年でもありました。
この記事では当ブログが選ぶ2022年のTOP5を紹介します。
今こそ観るべき作品が、ここにあります。

 

 

🥇1位 ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(映画)

出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2022
監督:ギレルモ・デル・トロ
主演:グレゴリー・マン、ユアン・マクレガー、デヴィッド・ブラッドリー

鬼気迫る人間賛歌

第二次世界大戦下のイタリア。
息子を亡くした老人が松の木から人形を彫り、命を吹き込む。
そうして生まれたピノッキオは無邪気に世界を駆け回るが、ファシズムと戦争の影が容赦なく彼を飲み込んでいく。

ピノッキオの無垢さは世界の残酷さを照らす鏡であり、観る者の良心を試す踏み絵でもある。
空爆で子供が木っ端みじん。死神との契約。徴兵。
ダークな世界観は児童文学の枠を威勢よく踏み越えており、ディズニー版の妖精ちゃんが見たら泡吹いて白目剥くレベル。

ストップモーションの緻密さはもはや狂気の域
10年越しの執念が生んだこの作品、もはや“人形劇”などという言葉では片づけられない。
これは死にゆく者たちへの賛歌であり、生きることの痛みと美しさを刻み込んだ血と木屑の傑作だ。文句なしの1位。

 

 

🥈2位 ストレンジャー・シングス(ドラマシリーズ シーズン4)

出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2022
監督:ダファー兄弟
主演:ミリー・ボビー・ブラウン、フィン・ウルフハード、ジョセフ・クイン

突然のシリアス全振り そして伝説へ

ホーキンスの町に再び異変が起きる。
仲間たちはそれぞれの場所で新生活を始めるが、謎の連続殺人とともに“裏側の世界”が再び口を開ける。
新たな敵ヴェクナの登場により、物語は一気に黙示録的様相へ。

前シーズンまでのポップさを封印し、青春群像劇から神話へと進化した今作。
キャストの成長がそのまま物語の重みとなり、視聴者はもはや傍観者ではいられない。そんな「観客一体型サーガ」として伝説の域に入ろうとしている。

ヴェクナの造形もホラーの文法を踏襲しつつ、心理的恐怖を巧みに織り込んでくる。
メインキャラもマジで死にかねない緊張感はダブルで鼻血が出るレベル。

“終わりの始まり”にして、シリーズ最高傑作のシーズン。
完結編への助走として、これ以上ないほどの熱量と覚悟が詰まっている。

 

 

🥉3位 西部戦線異状なし(映画)

出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2022
監督:エドワード・ベルガー
主演:フェリックス・カマラー、アルブレヒト・シュッフ、ダニエル・ブリュール

どう言い飾ろうが、戦争は無意味

第一次世界大戦末期、理想に燃える若者パウルは仲間とともにドイツ軍に志願。
だが塹壕の泥と血は、彼らの夢を容赦なく踏みにじる。
戦場の現実、休戦交渉の裏側、そして仲間との別れが、彼の“英雄譚”を“虚無”へと塗り替えていく。

映像は美しいが、内容は地獄
火炎放射器が唸り、戦車が轟き、人体がボロきれの様に破壊される。

そして何より不穏すぎるBGMが観る者の正気をじわじわ削る。音楽担当フォルカー・バーテルマンの仕事は、もはや戦争犯罪級の精神攻撃だ。

反戦映画の枠を超えた戦争体験装置として、これほど冷徹で詩的な作品は稀有。
美化ゼロ、余韻100。観た者の中に、戦争の無意味さだけが静かに残る。

 

 

サイバーパンク エッジランナーズ(アニメシリーズ)

出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2022
監督:今石洋之
主演:KENN、悠木碧

ネオン輝く滅びの美学

ナイトシティ。
貧困層の少年デイビッドは、母の死をきっかけに軍用サイバーウェアを自らに埋め込み、アウトローの世界へと足を踏み入れる。
出会ったネットランナーの少女ルーシーと共にエッジランナーとしての頭角を現していくが、その先に待つのは加速する破滅と、抗えぬ運命だった。

TRIGGERが手がけたとは思えないほど、明るさゼロの疾走劇
近未来版『狂い咲きサンダーロード』とでも呼びたくなる、痛々しい若さと暴走の美学だ。

ネオンの海を駆け抜けるデイビッドの姿は“諦めの美しさ”を体現している。BGMも映像も、すべてが“死に向かうエネルギー”で満ちている。
ルーシーも見た目に反しての重い女っぷりで物語にヘビーさを付与。

コンパクトな10話構成が逆に完璧。観終わったあと、ナイトシティの空気が肺に残る。
これは“生き急ぐ者たち”への鎮魂歌だ。

 

 

ウェンズデー(ドラマシリーズ シーズン1)

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出典:https://www.themoviedb.org/

制作:2022
監督:ティム・バートン(ほか)
主演:ジェナ・オルテガ、エマ・マイヤーズ、グウェンドリン・クリスティー

ゴスの極み乙女

アダムス家の長女ウェンズデーは、ピラニアをプールに放って退学。怪異と異能がうごめくネヴァーモア学園へ転校する。
そこで出会ったルームメイトや謎の怪物事件を通じて、彼女は“孤高の観察者”から“運命に抗う探偵”へと成長していく。

ティム・バートンが手掛けた世界観は、ゴスと思春期あるあるが絶妙にブレンドされた闇鍋青春譚。
ジェナ・オルテガの無表情芸も見事だが、真のMVPはエマ・マイヤーズ演じるイーニッドだ。あの笑顔、あの色彩、あの爪。ゴスの海に差し込む唯一の太陽光。至高と言わざるを得ない

TikTokでバズったのも納得の完成度。
これは“闇を愛する者たち”のための祝祭であり、新たなNetflixの顔でもある。

 

 

次点

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出典:https://www.themoviedb.org/

『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』は、映像の叙述トリックをこれでもかと駆使したミステリーであり、キレッキレのコメディでもある。つまり最高
だがしかし、あの“ほぼ双子オチ”みたいな強引さだけがどうにも喉に引っかかり泣く泣く選外。いや、面白さは保証済みだよ?

アクション大作『グレイマン』も、銃弾とセリフが飛び交う痛快作だった。
が、キャストとスタッフの豪華さが逆に「もっとやれたはず感」を煽ってしまい、選外。ルッソ兄弟、次は期待してます!

他にも『ジェイコブと海の怪物』『エノーラ・ホームズ2』『ダーマー』など、粒ぞろいの傑作が目白押し。2022年は、Netflix史に残る“当たり年”だったと断言できよう。

 

 

2022年のNetflixは、時代のざわめきを映す鏡でした。
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