2023年はChatGPT旋風やジャニーズ問題が、社会の空気を揺らした一年でした。
本記事ではジャンルも国境も超えて輝いたNetflixオリジナル作品の中から選ぶ2023年TOP5をご紹介します。
観るべき一本が、きっと見つかります。
🥇1位 ザ・キラー(映画)
制作:2023
監督:デヴィッド・フィンチャー
主演:マイケル・ファスベンダー、ティルダ・スウィントン、アーリス・ハワード
フィンチャー節炸裂の「殺しの哲学」
任務に失敗した暗殺者が、自らの雇い主を相手に復讐の旅へ。舞台はパリからドミニカ、ニューオーリンズ、ニューヨークと世界を股にかけた追跡劇。だが彼は、感情を排し、ルーティンを守り、ただ“仕事”として殺しを遂行する。
デヴィッド・フィンチャー「らしさ」が大爆発する本作は、復讐の殺し屋映画と見せかけて人間存在の問い直し映画。
ファスベンダーの無表情と謎モノローグが、観る者の思考をじわじわ侵食する。
銃声より静寂、爆発よりルール。殺しの美学がストイックに描かれるが、そこには矛盾がいっぱい。プロの殺し屋のあまりに不完全で人間らしい姿が浮き彫りになる。
なんだこの映画、地味過ぎ! ジョン・ウィック連れてこい!
そんな意見ももっともだろう。だがこれは「人間って何?」を突き詰めた映画的体験の極北だ。堂々の1位。
🥈2位 ニモーナ(映画)
制作:2023
監督:ニック・ブルーノ、トロイ・クエイン
主演:クロエ・グレース・モレッツ、リズ・アーメッド、ユージン・リー・ヤン
ポリコレアレルギーに鉄槌!
ぬれぎぬを着せられた騎士バリスターは、変身能力を持つ破天荒な少女ニモーナと手を組み真犯人を追う旅へ。
舞台はありそうで無かったサイバーパンク中世王国。剣と魔法と監視カメラが共存する世界で、大冒険の幕開けだ!
ファミリー向けアニメの皮をかぶった人間讃歌。
主人公(の一人)ニモーナは変身しまくるわ暴れまくるわで、ルールも城壁もぶっ壊しながら「自分であるゆえの孤独」に真正面から突っ込んでいく。テンション高めの毒濃いめ、でも芯はやたら熱い。
「主役がホモじゃん! キモ! ポリコレ!」
みたいな幼稚な拒否反応を叩き潰すエンタメの鉄槌。
多様性とか受容とか、そんな言葉を使わずに“それでも生きていい”を描き切った、モンスター映画の皮をかぶった魂の救済譚だ。
🥉3位 終わらない週末(映画)
制作:2023
監督:サム・エスマイル
主演:ジュリア・ロバーツ、マハーシャラ・アリ、イーサン・ホーク
新ジャンル「プレ」ポストアプカリプス
ロングアイランドの別荘にやってきた一家が、原因不明のサイバー不調で文明の恩恵を一気に剥奪される。スマホは沈黙、Wi-Fiは死に、玄関には見知らぬ男女が立っている。
隕石もゾンビも出ない。代わりに出るのは、テスラの誤作動と人間不信。
原因不明の世界崩壊に右往左往する登場人物たちを眺めながら、観客は“情報のない恐怖”という現代病に感染していく。ラストシーンで持たらされる「救済」のあまりに皮肉なことよ。
ディザスター映画の姿を借りた、現代社会の不安の鏡像。
崩壊の“前夜”を描いたことで、むしろ終末自体よりも怖い何かが浮かび上がる。何が起きてるのか結局分からず終いのモヤっとする不快さこそが、この映画の真骨頂だ。
4位 ブルーアイ・サムライ(アニメシリーズ シーズン1)
制作:2023
監督:ジェーン・ウー
主演:マヤ・アースキン、マシ・オカ、ケネス・ブラナー
反逆の碧眼サムライ
17世紀・鎖国下の日本。白人との混血児として生まれた剣士ミズは、差別と迫害の果てに、父かもしれない4人の白人密輸業者を探して旅に出る。自分をこの世に送り出した落とし前をつけさせるためだ。
道中で出会うのは、知的にも身体的にもハンディキャップのある料理人、傲慢な剣士、姫とその摂政。誰もが“自分の宿命”に抗いながら、血と誇りを賭けて生きている。
アニメとは思えぬ殺陣のキレ、絵柄の濃さ、そしてセリフの重さ。
どこを切っても“濃い”のに、物語は驚くほど繊細。
ミズの青い瞳が映すのは、ただの復讐ではなく存在の証明だ。
日本での知名度は2ミリくらいだが、埋もれさせるには惜しすぎる魂の叛逆譚。
5位 タイラー・レイク -命の奪還-2(映画)
制作:2023
監督:サム・ハーグレイブ
主演:クリス・ヘムズワース、ゴルシフテ・ファラハニ、イドリス・エルバ
伝説の長回しが帰って来た!
死の淵から生還した元傭兵タイラー・レイクが、今度はギャングの妻子を刑務所から救い出すという無理ゲーに挑む。仲間とともに潜入した刑務所は、当然のように地獄絵図へと変貌する!
前作で話題をさらった“ワンカット超絶長回し”は、今回はさらに進化。刑務所脱出からカーチェイス、列車バトルまでをまさかの一本撮りでぶち抜く。
ヘムズワースは筋肉ギャグを封印し、無表情で敵を粉砕。イドリス・エルバやオルガ・キュリレンコといった“出番一瞬の大物”も画面を引き締める。
もはやアクション映画というより、肉体とカメラの限界に挑む映像格闘技。ストーリーは爆発の合間に一瞬思い出せば十分だ。
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次の夜更かしの相棒が、きっとそこにいます。
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