ついに待望の『エイリアン:アース』が配信開始された。
一作目『エイリアン』の2年前を舞台にした前日譚。
エイリアン満載の深宇宙探査船「マジノ号」が地球の大都市に墜落してさあ大変!
ゼノモーフが解き放たれたら人類滅亡待った無しだ! こいつはみなぎる。
さっそく視聴だ! そしていつも通り感想記事でもアップすんべ~!
…と思っていたのだが。無理だった。
情報量が規格外過ぎた。
これはSF侵略ホラーの皮をかぶった、人間存在を問う哲学系SFだ。
四種族構造:見た目は人間、中身はバラバラ
『エイリアン:アース』の哲学的深みを支えている最大の仕掛け。
それは「見た目では判別不能な」4種族の人間が登場するという点だ。
人種の話ではない。存在の根本が違うのだ。にもかかわらず、見た目はみな同じ――人間にしか見えない。
この見た目の同一性と本質の差異が作品の核にある。
(私自身の頭の整理も兼ねて)順番に見ていきたい。
ヒューマン(人間 100%/機械 0%)
いわゆる人間。肉体的には最も脆弱。
だが他の3種族の創造主であり、破壊者にもなり得る。
リプリー的爆発力を秘めた、人間性の源泉。
ヒューマンの登場人物
・キャバリエ:イーロン・マスクの嫌なところを100倍濃縮したような傲慢サイコ青年。「自分より賢いやつが見てみたい」という不遜極まる理由で新人類“ハイブリッド”を生み出す。
・ハーミット:主役の一人。妹の治療費のために医者を諦めて衛生兵に。
妹は病死したはずだったが、マジノ号墜落の混乱の中で──まさかの再会?
サイボーグ(人間 50%/機械 50%)
たぶんシリーズ初?
生身の体の一部をサイバネティクス化した強化人間。
だが冷酷さは機械以上。これは人間性の喪失がテーマなのか。
サイボーグの登場人物
・マジノ号船長(仮):名前忘れた(出てない?)。屈強にして冷酷な黒人男性。
マジノ号の乗組員がゼノモーフに八つ裂きにされても眉一つ動かさない。
でも恐怖は感じており、つまり脳は人間。「人間性を失った人間は、機械と何が違うのか?」という問いを背負う存在と見た。
シンセ(人間 0%/機械 100%)
シリーズおなじみのAI搭載アンドロイド。
従順で身体能力が高く、個性豊か。
時々神になりたがるイカれポンチも輩出する。
シンセの登場人物
・カーシュ:ちびっこ軍団を率いる歴戦のアンドロイド。
厳しさと優しさを兼ね備えた父性をにじませるイケオジ。
たぶん視聴者の偏愛を一身に集めるタイプ。
ハイブリッド(人間??%/機械??%)
今回初登場。そして恐らく『アース』のテーマの中核。
キャバリエが「自分より賢い存在」を求めて作った新人類。
シンセの体に、病気で死ぬはずだった子供の“意識”を移植してできあがる。
• 脳はない。体は完全に機械。
• だが、記憶も個性も人間のまま。
• 成長の伸び代を確保するため、意識を移植されるのは必ず子供。
• シンセは大人の体型しかないので、体は大人!頭脳は子供!の逆コナン状態。
ハイブリッドの登場人物
・ウェンディ:主人公。ハイブリッド試作第一号。
名前はもちろんピーターパンからの引用。
「永遠の子供」なのか、それとも“神を超える存在”なのか──。
・ハイブリッド試作機のみなさん:屈強な体に子供の魂。
ウェンディとともにちびっこ軍団を結成し、果敢にもマジノ号に突入する。
敢えて分かりにくくしてる それがSFの流儀
第1話時点では、ストーリーを追うというより世界観に追いつくのが精一杯だった。
でもそれが楽しい。この難解さ、この哲学的深さ。
本気で視聴者に挑みかかってくる熱意を感じる。
これはエイリアンサーガの一幕というより、設定を流用した別作品。
あまりにも独自色が強すぎる。
だからたぶん「デヴィッドのその後」や「若きリプリー登場」みたいなマーベル的ファンサにはならないと思う。
ひとまず今回はここまで。
『アース』今後の展開は予測不能だが、“人間とは何か”を問い続けるレビューは続けていきたい。です!
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