今回の記事はエイリアンサーガ後半戦!
いよいよ物語は、リプリーという“人間”を中心に回り始めます。

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シリーズ後半の4作品を作中時系列順に追いながら、リプリーがいかにして“神話の担い手”となったのか…。
その軌跡を辿っていきます。
エイリアン:ロムルス
制作:2025年
監督:フェデ・アルバレス
主演:ケイリー・スピーニー、デヴィッド・ジョンソン、アーチー・ルノー
シリーズ集大成にして新たな幕開け
作中設定年: 2142年
宇宙コロニー“ロムルス”へ若者たちが、お宝探しの廃墟探索のつもりで足を踏み入れる。
しかし待っていたのはお馴染みの地獄絵図。若者たちの生き残り力が試される。
過去作の名場面をリスペクトしつつ、単なる懐メロで終わらないのが本作の強み。
「恐怖、それは生の原動力」というアルバレス流の映画哲学が、シリーズに新たな血を通わせている。
懐かしさと新しさが同居する、まさに“ロムルス=新たなローマ”の名にふさわしい快作。
エイリアン2
制作:1986年
監督:ジェームズ・キャメロン
主演:シガニー・ウィーバー、マイケル・ビーン、ビル・パクストン
アクション全振り痛快バトル!
作中設定年: 2179年
宇宙貨物船での惨劇から57年。
冷凍睡眠から目覚めたリプリーは、植民地LV-426で通信が途絶えたことを受け海兵隊と共に現地調査へ向かう。
ホラー映画だったはずの1作目から一転、バトル要素全振りのSFアクションと化した2作目。
リプリーは恐怖を攻撃力に転化し、ありとあらゆる武器で異星生物をぶん殴る。
バスケス二等兵に至っては筋肉と火力で性別の概念すら吹き飛ばす勢い。
その一方で、リプリーと少女ニュートの関係性には母性と戦闘の奇跡的な融合が宿る。
SFバトルアクションの金字塔というより、“映画という娯楽の限界突破”を感じさせる一作。
シリーズ最高傑作? いや、映画史そのものの頂点候補。
エイリアン3
制作:1992年
監督:デヴィッド・フィンチャー
主演:シガニー・ウィーバー、チャールズ・ダットン、チャールズ・ダンス
若き日のフィンチャーの頑張り
作中設定年: 2179年(前作直後)
脱出艇が不時着したのは、薄毛の囚人たちが集う流刑惑星フューリー161。
鉄と油と絶望にまみれた閉鎖空間で、リプリーは見分けがつきにくい囚人たちと共に再びエイリアンに立ち向かう。
脚本は迷走、撮影現場は阿鼻叫喚。
若かりしデヴィッド・フィンチャーは当時新人だったのに、この「約束された失敗作」を押し付けられるハメに。
にもかかわらず画面は重厚。
陰影の使い方にはすでにフィンチャー節が滲み出ていて、リプリーとモーフが顔を寄せ合うあの名シーンはシリーズ屈指のポスター映えを誇る。イヌモーフもキュート。
完成度はさておき確かな作家性が刻まれる、失敗作の皮をかぶった“若きフィンチャーの実験場”だ。
エイリアン4
制作:1997年
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
主演:シガニー・ウィーバー、ウィノナ・ライダー、ロン・パールマン
無理筋続編の境地
作中設定年: 2379年
舞台は地球から遠く離れた宇宙船ベティ号。
死んだはずのリプリーが、200年後にクローン技術で“8号”として復活。しかもエイリアンのDNA混入済みという、観客の「えー…」を置き去りにした設定で再びバトル開始!
ゴア描写は過去作のチラ見せ路線を完全に捨て去り、血と粘液が威勢よく飛び散る。
ウィノナ・ライダー演じるアンドロイドとリプリー8号の“ちょっとエロい”絆も、シリーズでは異端の要素だ。
とはいえ、シリーズの終着点としては妙に納得感がある。
最後に現れるアイツの造形はグロテスクでありながら哀愁が漂い、リプリーとの、引いては人類との関係性に一抹の切なさを残す。
珍作にして、ある意味で潔い完結編。
と言う訳でエイリアンサーガの振り返りでした。
こうしてみると、なかなか個性強い作品の連なりですね。
当ブログでは様々なシリーズを掘り下げて紹介中。よかったら他記事もどうぞ!


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