ディズニープラスには“大人の涙”を誘う作品が静かに並んでいます。
今回はそんな映画を3本ご紹介。

「泣ける映画」って薄っぺらい言い回しだけど…でも凄い作品ばかりよ。

ソウルフルワールド

制作:2020年
監督:ピート・ドクター
主演:ジェイミー・フォックス、ティナ・フェイ、グラハム・ノートン
ジャズピアニスト志望の中年教師ジョーが、念願のステージ目前で事故に遭いあっさり死ぬ。
そして降り立つ死後の世界。彼は「生まれる前の魂」22番と結託し、現世へのリスポーンを目指す!
CGアニメでまさかの『中年の危機』
ピクサー印のCGアニメでありながら、堂々たる中年の危機映画。
人生こんなはずじゃなかった、もっと違う人生があったはず。そんな意識に囚われていくジョーは、従来のファミリー向け映画の主人公像からは威勢よくかけ離れためんどくさいおっさんだ。
スティーブ・カレルが実写でやってたら「またか」って感じだが、ピクサーがやると「え、お前がそれやるの?」である。
そしてジャズをテーマにした映画にふさわしく、音楽への力の入れようは異次元レベル。
映画音楽の巨人トレント・レズナーによる静謐な電子音は、同氏のロックバンド”ナインインチネイルズ”とはまた異なる深い哲学性を表現。
一方、現役ジャズマンの頂点ジョン・バティステの歌声がそれにエモーショナルな魂を付加していく。
レズナーとジョンの合体攻撃は「ナインインチネイルズって何?」な人にも必ず刺さる。映画自体が凄まじい音楽体験だ。
誰もが一度は抱く「あの時ああしていれば、今頃こうだったかもしれない」なグチグチ。それを真っ向から受け止め、それに対するアンサーを音楽で返す。
ピクサーが「大人の悩み」にここまで踏み込んだのは初めてだろう。同スタジオ的には異色作だが、映画史全体を見ても最高傑作レベルの作品。
トイ・ストーリー3

制作:2010年
監督:リー・アンクリッチ
主演:トム・ハンクス、ティム・アレン、ジョーン・キューザック
大学進学を控えたアンディが、幼少期を共に過ごしたオモチャたちを手放す決断を迫られる。
ウッディやバズたちは“捨てられた”という誤解から脱出劇を繰り広げる。そこで出会うのが見た目はピンク、性格は地獄のロッツォ。彼の支配するサニーサイド保育園は、まさかのオモチャ刑務所だった!
別れの美学
奇跡のラストシーンを誇る珠玉の傑作。あの最後の数分間に人生の縮図が詰まってる。
別れ、そして次代への希望。
ピクサーが本気で“大人に刺す”とこうなるのかと思い知らされる。涙腺が大決壊警報だ。
だがロッツォ。
あれだけ悪役ムーブかましたクズ中のクズなのに、イオンのクレーンゲームでは何故かずっと人気者。社会の闇だろこれ。
三部作の締めとして、これ以上ない完成度。
ただの子供向けアニメじゃない、優しくて切ない別れの物語だ。
『4』なんか無い。
インサイド・ヘッド2

制作:2024年
監督:ケルシー・マン
主演:エイミー・ポーラー、フィリス・スミス、マヤ・ホーク
利発少女ライリーも成長し、今回ついに思春期という名のアイデンティティ地獄に突入。
その脳内では前作でおなじみの感情チーム—ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリに加え「不安」「恥」「退屈」「羨望」ら、いかにも中学生の脳内会議にふさわしいメンバーたちが新たに出現。
ライリーのホッケー合宿をきっかけに、感情たちは自己イメージの再構築という思春期最大の難題に挑むことになる。
子供と大人のはざまで
脚本がとにかく巧妙で、感情たちの会話が哲学とギャグの絶妙な中間を突いてくる。
自分もあの頃こうだった…という共感と、親目線で「がんばれ…!」と見守りたくなる応援が、脳内で見事に融合するのだ。
この脚本の見事さが、本作を思春期あるあるアルバムで終わらせない。
新キャラたちの個性もしっかり立っている。今回の第二の主役である”不安”も素晴らしいが、個人的には“退屈”のキャラに惹かれる。退屈…って言うか「めんどくさい」だろアイツ。
ときどき奥から出てくる謎の婆さんも大いに笑わせてくれる。
子供は子供の視点で楽しめて、大人は大人の傷を思い出す。そんな二面性を持った奇跡のバランス感覚の一作だ。
なお2024年のアカデミー賞アニメ部門をめぐって『野生の島のロズ』と死闘を繰り広げたが、両方とも落選してなぜか謎の猫映画が受賞。感情チーム全員で抗議していいレベルじゃなかろーか。

泣ける映画以外も、ディズニープラスで観られるお勧め作品を紹介中よ。是非見て行ってね。

感動作をお探しならこちらの記事がおすすめです。





コメント