
アウトロー。
痺れる響きね。
スターウォーズといえばジェダイと帝国──ですが、物語の深みはその“外”にこそあります。
今回はディズニープラスで観られる、無法者の主人公に焦点を当てた3作品をご紹介。
正史の裏で生きる者たちの選択と葛藤は、銀河の広さを実感させてくれます。作品選びに迷っている方にも、きっと刺さるはずです。
ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリーズ
制作:2018年
監督:ロン・ハワード
主演:オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク
ケッセルランを12パーセクだ!
銀河の片隅で、若き日のハン・ソロが“正義のアウトロー”としての第一歩を踏み出す物語。
帝国の支配が色濃く残る時代、彼は恋人キイラとの再会を夢見て密輸業界へと足を踏み入れる。
クセ強めの師匠ベケットや毛むくじゃらの相棒チューバッカと出会いが、彼を危険な冒険へと駆り立てる!
「ケッセルランを12パーセク」
本編で意味不明とされてきたこのセリフに、まさかの物理的解釈をぶち込んだ一作。脚本陣のスターウォーズ愛はもはや執念の域だ。
しかもそのシーン、重力井戸だのナビゲーションだのと理屈を並べつつ、結局は勢いと運で突破するあたりソロのキャラ造形と見事に一致していて笑うしかない。
なおドロイドの人権問題に踏み込むあたりは急に思想がかった展開で、観客の脳内に「えっ急に政治?」という字幕が浮かぶ。
とはいえ若きソロの”痛快さと苦み“を両立させた本作は、スピンオフとしては上出来。
あのセリフに意味を与えたという一点だけでも、観る価値は十二分にある。
ローグ・ワン
制作:2016年
監督:ギャレス・エドワーズ
主演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、マッツ・ミケルセン
銀河戦争は綺麗ごとじゃねンだわ
帝国の究極兵器“デス・スター”の設計図を盗み出すため、反乱軍は寄せ集めのアウトロー部隊を結成。
ジン・アーソは父が帝国の技術者という業を背負いながら、キャシアン・アンドーらと共に命知らずの潜入作戦に挑む。
主人公の片割れキャシアン。味方を撃つわ任務のためなら情も切るわでスターウォーズ界の“冷徹担当”を過剰なまでに一手に引き受ける。あの目の死にっぷりは後日スピンオフ化されたのも納得。
前半は正直言って銀河系の時差ボケかと思うほど眠いが、決戦の地スカリフ到着後の展開はまさに爆発的。
死闘、犠牲、そして希望。これぞ戦争映画の美学、スペースオペラ+反戦詩。
ラストの数分でエピソード4への橋渡しが完了する瞬間、銀河の歴史が一本の線で繋がる。
綺麗ごと抜きの犠牲と信念が“新たなる希望”を照らし出す、泥まみれの英雄譚だ。
マンダロリアン
制作:2019年
監督:デイヴ・フィローニ
主演:ペドロ・パスカル、ジーナ・カラーノ、カール・ウェザース
子連れ狼、銀河を往く
部隊は帝国崩壊後の荒廃した銀河。孤高の賞金稼ぎマンダロリアンは、謎の幼児“ザ・チャイルド”を拾ったことで運命が一変。任務と忠誠に生きてきた男が、銀河の裏路地を転々としながら追っ手をかわし育児(?)に奔走する。
顔は見せない、感情も見せない、そして戦闘は凄腕。
そんな銀河系最硬のツンデレが、フォースの幼児に骨抜きにされていく様はもはや育児ドキュメンタリーの域。
賞金首を冷徹に処理した直後にベビーヨーダの離乳食をそっと見守る姿は尊みが深すぎる。「我らの道」とか言ってる割に道なき道を突っ走る展開ばかりで、もはや道とは何なのか。
とはいえシリーズ全体を通しての完成度は驚異的。
スターウォーズの神話性と西部劇の乾いた美学が、ベビーヨーダのでっかい瞳の中で完璧に融合している。
今日のスターウォーズの看板を背負う、鉄板中の鉄板タイトルだ。
アウトローたちの物語は、銀河の余白にこそ輝きます。
当ブログでは他にもディズニープラスで観るべき作品を紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。

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