
サウンドバー。
種類多すぎよね。
散財から始まるサウンドバー比較の旅
2台買った。JBLとDENON、それぞれの役割
アマゾンプライムデー。
それは年に一度、理性がセール価格に敗北する祭典。
「絶対欲しい」も「まあ、あってもいいかも」も、すべてが“今だけ”の魔力に包まれ、カートへと吸い込まれていく。
そんな中、私は決めていた。このプライムデーでアレを買うと。
そう、アレ。サウンドバーである。
映画を観るのが三度の飯より好きな人間にとって、「音」はもはや空気と同義。
聞こえない爆発シーンはただの画面のピカピカにすぎない。
だからこそ音響環境のアップグレードは、もはや生活改善の一環なのだ。
で、悩みに悩んだ末に残ったのがこの二機種。
ハイエンドのJBL BAR800と、コスパ番長DENON S218だ。
どちらもレビューは上々。スペックも申し分なし。あとは己の欲望と向き合うだけ。
そして私は、向き合った。悩んだ。さらに悩んだ。悩みすぎて脳内会議が開催された。
その結果──
両方買っちゃおう。
シアタールームにはJBL。リビングにはDENON。
そんな結論に至った。
こうして散財伝説は静かに幕を開けたのだった。
JBL BAR800 vs DENON S218:スペック比較
価格・サイズ・機能をざっくり比較して表にまとめたよ。
項目 | JBL BAR800 | DENON S218 |
---|---|---|
価格帯(参考) | 約12〜14万円(セール時10万円台前半) | 約3万円前後(セール時2万円台) |
サイズ感 | 大型(サブウーファー+分離型リアスピーカー) | スリム(一体型、サブウーファーなし) |
チャンネル構成 | 5.1.2ch(リアスピーカー分離式) | 2.1ch(仮想サラウンド) |
Dolby Atmos対応 | 対応(物理リアスピーカー+天井反響) | 対応(バーチャル処理) |
サブウーファー構成 | ワイヤレス独立型 | 非搭載 |
音声強調機能 | セリフ強調モードあり | Pureモード/Nightモードなど複数あり |
Bluetooth規格 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
HDMI端子 | eARC対応×1、入力×1 | ARC対応×1 |
設置性 | 要スペース+リアスピーカー設置の工夫必要 | 薄型で設置自由度高 |
モード切替 | 映画・音楽・セリフ強調など | 映画・音楽・夜間モードなど柔軟に対応 |
とてもシンプルに言えば「JBLは高くて高性能、DENONはコスパ重視」だ。
設置してみてわかったサイズ感と存在感
JBLの箱のデカさとリアスピーカーの設置
JBL BAR800の外箱のデカさはもう“箱”というより“家具”だ。
L字型の巨大外装は、持ちにくさと重さの二重苦。
特に底面に潜むサブウーファーが、重力の存在を再確認させてくれる。
だが、いざ開封してみると本体は意外とシャープ。
サブウーファーも箱の形が悪いだけで実物はそこまで重くない。
まあデカいことはデカいが、それはウーファーの宿命。
本体のデザインは洗練されていて、左右のスピーカーが「パコッ」と外れるギミックは実に快感だ。
この“パコッ感”は、もはやJBLのアイデンティティと言ってもいい。
つけるときも「パコッ」。外すときも「パコッ」。
この手応えだけで、ちょっと得した気分になる。
なお公式では「普段は合体→充電、映画鑑賞時は分離→臨場感」という二刀流を推していたが、私が結局選んだのは分離固定。
座席後方の本棚に左右スピーカーを設置し、USB-Cで常時充電している。
着脱は…手軽とはいえ、さすがに毎回やるのは面倒くさい。「パコッ」は時々でいい。
常時充電によるバッテリー負荷も、有線給電なら関係ない。
合理性より快適性。これが我が家の流儀だ。
DENON S218のスリムさと一体型の省スペース性
一方のDENON S218。こちらは“シュッとしてる”の一言に尽きる。
サブウーファー非搭載ゆえに箱もスリム。長細いだけで、持ち運びも苦にならない。
本体も機能美に満ちていて、上下左右のスピーカーが静かに存在感を放つ。
薄型ゆえに設置の自由度は高いが、我が家ではテレビの形状が邪魔をして、王道の「テレビ前設置」ができなかった。
このあたりの設置トラブルは、別記事で語るとしよう。
それでも、DENONの“控えめな優秀さ”は、日常使いにおいて非常にありがたい。
実際に使ってみた感想
JBL BAR800の強みと惜しい点
映画館のような臨場感、重低音の迫力
巨大なサブウーファーとリアスピーカー。見た目からして「俺が音だ」と言わんばかりの威圧感だが、実際その効果は絶大。
IMAX級…とまでは言わないが、少なくとも下町のミニシアターを軽く蹴散らすくらいの迫力はある。
我が家の“シアタールーム”は、名前こそ立派だが実態はただの賃貸の一室。だが、その狭さが逆に音響の密度を高めてくれる。
例えば『プレデター/最凶頂上決戦』を初視聴したとき、異星人と戦国ニンジャが入り乱れるカオスな空間を天井反響+壁反響+リアスピーカーが見事に立体化。
「音で位置関係がわかる」という、映画音響の理想形がそこにあった。
さらに敵戦闘機の登場シーンではサブウーファーが唸りを上げ、エンジン音に“圧”が宿る。音が空気を殴ってくる感覚。これぞホームシアターの醍醐味だ。
日常使いにはやや過剰? セリフが埋もれる場面も
ただしこのサブウーファー、やりすぎである。
出力は5段階で調整可能だが、4と5はもはや騒音兵器。狭い部屋では“音の暴力”と化す。
セリフは一応聞こえる。聞こえるが、ノイズにまみれて逆に没入感が削られる。
結局「3」固定運用が最適解。つまり、実力の半分でちょうどいい。
そうなると、あの図体のデカさは何だったのか…という疑問が頭をよぎる。
DENON S218の“コスパ異常”な実力
セリフの明瞭さ、PureモードのHi-Fi感
まず驚くのは音の粒立ち。テレビスピーカーでもそれなりに聞こえていたはずなのに、S218に替えた途端、音が“立つ”。Pureと自称するのはダテじゃない。
試しに『アナと雪の女王』を流してみたら、あの「ありの〜♪ままの〜♪」が雪山での生演奏レベルの音質に変貌した。
エルサがティアラを投げ捨て氷のドレスを生成するシーンでは存在感ある魔法音が大迫力で響いたが、これがミュージカルを邪魔せずむしろ引き立てている。
何度も観たシーンのはずなのに「え、こんな音入ってたの?」と素で驚いた。
音響の再発見という体験は、なかなか得難い。
3万円でこの音
そして低音。
DENON S218はレビュー界隈では「低音が弱い」と言われがちのようだが、断言しよう──それ、嘘です。
いや、語弊はある。
だが少なくとも“貧弱”ではない。
低音はマスターボリュームとは別扱いで段階調整できるが、4分の3くらいで十分な迫力だ。MAXにすると、むしろ例によってうるさい。
つまりDENONの低音は必要十分なのだ。
さらに地味に嬉しいのがモード切替。
「MOVIE」モードでは迫力重視、「NIGHT」モードではクリアさ重視。
時間帯やコンテンツに応じてボタン一つで音の性格を変えられるのは、使ってみて判る実用性の高さだ。
この柔軟性はJBLにはない。価格は3分の1なのに部分的には勝っている。
“安いけど侮れない”ではなく、“安いのに強すぎる”。それがS218なのだ。
どっちが誰に向いてる?選び方のヒント
映画派 vs 日常派、あなたはどっち?
JBL BAR800は、映画・ゲーム・没入型体験に特化した音の要塞だ。
DENON S218も疑似立体音響を搭載しているが、リアスピーカーとサブウーファーの物理的な存在感には敵わない。
音量を出せる環境があるなら、JBLは間違いなく“買い”と言えるだろう。
一方DENONは日常使いにおいて無類の強さを発揮する。
ニュース、音楽、軽めの映画──どれもクリアに響く。
しかもモード切替で重量級の『映画モード』にも化ける。
リビングに置くなら、もうこれ以外は必要ないレベル。
2台買ってわかった“音の真実”
高い方が勝つとは限らない
「で結局どっちがいいの?」と聞かれたら、私はDENON S218と答える。
理由はシンプル。価格差3倍で体験差ほぼゼロだからだ。
“コスパ”という言葉はあまり好きじゃないが、ここまで来ると使わざるを得ない。DENON、圧倒的である。
買う前は「迫力=低音」だと思っていたが、今は違う。
迫力とはバランスだ。
その意味でJBL BAR800の低音は一般家庭にはやや過剰。
逆に言えば、もっとリッチな視聴空間があるなら上位機種のBAR1000やBAR1300も視野に入る。JBLの立体音響への執念は本物だ。
でも過去の自分に一言だけ言えるなら、その言葉はこうだ。──「DENONで十分やで」。
迷ってる人へ
「まずDENONから試すのもアリ」──それが私の結論だ。
JBLが悪いわけじゃない。むしろ素晴らしい。
ただ“人に勧めるならどっち?”と聞かれたら、迷わずDENONである。
なにしろ価格、性能、使い勝手──すべてがちょうどいいのだ。
“ちょうどいい”というのは、実は最高の褒め言葉だと判る。そんな事例だった。

「音に包まれる」感じがとにかく凄いの。

音楽用のスピーカーとしても素敵な性能よ。
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