
「戦う女性キャラ」の到達点ね。
めちゃくちゃ憧れるわ。
SFホラーというジャンルを確立した名作『エイリアン』。
その続編『エイリアン2』はホラー要素をかなぐり捨て、アクションに全振りした異種進化型だ。
若き日のジェームズ・キャメロンが熱量たっぷりに手掛けたこの作品は、制作から40年近くが経過する今なお映画娯楽の頂点に君臨している。
そしてその頂点の片隅で、静かに、しかし確実に輝いているのが――バスケス二等兵だ。
これがバスケス二等兵だ!
連絡を絶った(もちろんゼノモーフに蹂躙済みの)植民惑星へと降り立つ宇宙海兵隊。
その中にあって、紅一点にして最強の筋肉戦士がバスケスだ。リプリーは民間人なのでノーカウント。
セリフは少ないが戦闘描写は濃密。ゼノモーフを血祭り…いや酸祭りにあげるその姿はまさしくタンクトップを纏った戦場の女神。筋肉で語る黙示録だ。
目覚めて5秒で筋トレ
物語冒頭、コールドスリープから目覚める海兵隊たち。
カプセルが開き、冷気が漏れ、素足の兵士たちが「床が冷たい…」と泣き言を漏らす中、バスケスはいきなり懸垂を開始。
目覚めて5秒で筋トレ。筋肉アピールというより筋肉自己紹介である。
しかも例の床冷たい男・ハドソンに「男に間違われたことないの?」とイジられても、「ないよ。お前は?」と即答。筋肉だけじゃなく、ウィットにも富む。
この時点で観客の心は、彼女の100kgの握力で鷲掴みにされている。
実戦でも頼りになるぜ
植民惑星に降り立った海兵隊たちは、ゼノモーフの熱烈歓迎を受けて即座に壊滅。
バスケスはM56スマートガンで応戦。
ハドソンが「もう無理!ゲームオーバーだ!」と泣き言発信基地と化しても、バスケスは一切ブレずに撃ち続ける。
仲間は救えなかったが絶望の中で唯一ブレない銃声として、彼女の存在は際立っていた。
ゴーマン大嫌い
さて、ここで一人の男を紹介しておこう。ゴーマン中尉だ。
海兵隊の指揮官…のはずが、戦闘経験38回はすべてシミュレーター。今回が実戦セカンド童貞というペーパー中尉。つまり階級だけ高いヘタレ。
判断ミスを連発して部下を危険にさらし、あげくゼノモーフとは関係なく荷物の角で頭をぶつけて気絶するという戦場のコント要員である。
当然、バスケスはこの男が大嫌い。
だがゼノモーフの大群に襲われて重傷を負った彼女のもとに、命を賭して戻ってくるのがこのゴーマンなのだ。
そして再び包囲され絶体絶命の中で手榴弾を取り出すゴーマンに、バスケスが手を重ねる。
その瞬間、彼女は言う。
“You always were an asshole,Gorman.(「お前ほんとしょうもない奴だな、ゴーマン」)”。
命がけで戻ってきた男に、感謝と覚悟をジョークで返すバスケス。
そしてゼノモーフごと爆発四散。
80年代マッチョイズムの美学、ここに極まれり。
バスケスよ永遠なれ
セリフも出番も少ないのに、圧倒的な印象を残すバスケス。
『エイリアン2』が母性と戦闘本能を融合させたリプリーを主役に据えるなら、バスケスは姉…いや、アネキ枠だ。
その“戦う女性のマッチョイズム”は後世に多大な影響を与えた――と言いたいところだが、正直そこまで浸透していない。
リプリーもサラ・コナーもタンクトップで戦うし、知名度では圧倒的に彼女たちが上だ。
だが、バスケスの魂は確実に生きている。主人公オーラをまとわず、ただ戦うために存在する“筋肉女戦士”の系譜として。
『アバター』のミシェル・ロドリゲス。
『マンダロリアン』のジーナ・カラーノ。
『ターミネーター:ニューフェイト』のマッケンジー・デイビス。彼女のベリショは、サラ・コナーとバスケスの両方の血を引いている。
バスケスよ、永遠なれ。
タンクトップの中に宿る、戦場の神話として。

ブログ主の、めんどくさいエイリアン愛が火を噴いてるみたい。
良かったら見てってあげて。

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