
お下品なのに泣けるの。
あらすじ
制作:2024年
監督:ジェームズ・ガン
主演:フランク・グリロ、デヴィッド・ハーバー、インディラ・ヴァルマ
舞台は架空の国家、ポコリスタン。
そこへフェミニズム大っ嫌い筋肉集団「セミッシラの息子たち」が侵攻する。
事態を収拾すべくアメリカ政府は、極秘に編成した非人間特殊部隊「タスクフォースM」を送り込む。
メンバーは死体人間、半魚人、放射能スケルトン、軍用ロボット、人狼。そしてリーダーのリック・フラッグSr.。
彼らは王女イラーナの護衛任務を皮切りに、国家の陰謀と個々の過去に巻き込まれていく。
ジェームズ・ガン印のド真ん中
ジェームズ・ガン。「負け犬が力を合わせて一念発起」映画を作らせたら、おそらく彼の右に出る者はいない。
『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』では超マイナーヒーローをMCUの中心に押し上げた。
『ザ・スーサイド・スクワッド 極悪党、集結』では人生をしくじった負け犬たちが地球を救う、痛快極まりない世界観を描き切った。
『スーパー!』や『スリザー』など、初期の毒めっちゃ強め作品にさえ「はみ出し者への愛」が通底している。

『スーパー!』はほんと毒強めね。
シャラップクライム!…なんちゃって。
そんな彼が(たぶん)思う存分好きな話を描いたのが、この『クリーチャーコマンドーズ』だ。
なにしろ主人公らは今回もはみ出し者ばかり。はみ出し過ぎて人間ですらない連中である。
しかもDC原作つきとは言え、揃いも揃ってマイナーキャラ。スーパーマンやバットマンの宿命である「既存のイメージとどうすり合わせるか」という難題とは無縁の身軽さだ。
そんな条件がそろった『クリーチャーコマンドーズ』は、ガンが楽しんで作ってるのがヒシヒシと伝わる。楽しみ過ぎてオープニングにさえ出演する始末。
ご機嫌な音楽に合わせて人体が爆裂するいつものノリは今回もキレッキレ。
キャラクターのデザインも秀逸で、各クリーチャーのビジュアルがどこか愛嬌のある造形に仕上がってる。なお当ブログの推しはDrフォスフォラス。
ここまで純度の高い「ジェームズ・ガン印作品」は史上初ではなかろうか。
血と暴力と「こんなはずじゃなかった」
物語は王国をめぐる陰謀に縦軸を置きつつ「1話で1人」ずつ登場人物の過去を掘り下げていくスタイル。
その過去がみんな重い。そしてみんな何かを失っている。名誉だったり、肉体だったり、呼吸器官だったり、色々なものを。
ガンの「人生」に対するシニカルな捉え方が出ていると言えるだろう。
その一方でウジウジしないのもいかにもガン流。むしろウジウジする暇があったら人体を爆散させていくスタイル。
人生という深淵なテーマをオゲレツさで包み、説教くささを中和する。これこそまさに、ジェームズ・ガン芸の真骨頂だ。
新DCユニバースの幕開けともなる本作は『スーパーマン(2025)』や『ピースメイカー シーズン2』とも設定が連続している。
とは言っても現状、前後のつながりはリックフラッグ(パパ)の存在ぐらいに留まっており、ほぼ独立した作品として楽しめる点でも安心。予備知識は不要だよ!
『流血シーン』と『負け犬大逆転』。
もしその両方が好きなら、絶対に刺さる傑作だ。
↓こちらもどうぞ。

コメント