
今のチョルノービリね。
あらすじ
制作:2019年
監督:ヨハン・レンク
主演:ジャレッド・ハリス、ステラン・スカルスガルド、エミリー・ワトソン
1986年4月、ソビエト連邦ウクライナ共和国プリピャチ近郊。
原子力発電所の4号炉が爆発するという、物理法則ドン引きの大惨事が発生。
科学者レガソフは政府の命令で現地調査に赴くが、そこに待っていたのは「放射能?なにそれおいしいの?」とばかりに無知と傲慢が支配する地獄絵図。
政治家シチェルビナとともに、彼らは事態の収拾と真実の解明に奔走する。
実話ベースという事実が観る者の胃袋を直撃する、政治スリラー+災害パニック。
ソ連おそロシア
原子炉の設計ミス、安全対策の不備、そして現場の人間のポンコツさ。
これらがソ連という全体主義国家の土壌で悪魔合体を果たし人類史上最悪の人災へと突き進む様は、もはやホラー映画の域。ソ連おそロシア、ここに極まれり。
そんなホラーに説得力を与えているのが、制作陣の狂気じみた事実考証だ。リトアニアの廃原発で実際にロケを敢行するという、もはや命懸けの再現芸。その妥協なきリアリズムが「真実に迫るフィクション」という本作のコンセプトを唯一無二の領域に押し上げている。
放射線被曝の描写なども「それやっちゃう!?」の連続。
特に、汚染された家畜や野良犬を殺処分する番外編エピソードは観客を倫理観の奈落へと誘う。
バリー・コーガン演じる処分係の迷いと葛藤と人間への失望が混ざった視線は、観る者の良心を容赦なく貫いてくる。
だからコーガン嫌いなんだよ、奴が出てくるとロクなことが起きない(誉め言葉)。
おっさん同士の熱い友情
重厚な史実モノでありながら、ただ説教くさいだけの大河ドラマにならないエンタメ性の高さも本作の魅力。
特に科学者レガソフと政治家シチェルビナの友情は、激熱の王道展開だ。
最初は「お前とは口もききたくない」レベルの仲の悪さから始まり、共通の脅威に立ち向かうため渋々協力。
やがて互いの立場への理解が芽生え、最後には揺るぎなき友情へと昇華する。
まるで『リーサル・ウェポン』を放射能で煮込んだようなバディっぷりだ。最高。
史実通り、二人には厳しい末路が待っている。
しかしだからこそ、真実と人間の尊厳のために全てを捧げた二人の魂が胸を打つ。
ロシアの蛮行が世界の秩序を揺るがす現代において、これはただの「そんなことあったね」話ではない。むしろ今こそ観るべき作品だ。
これを日本で配信してるU-NEXTは、もっと褒められていい。マジで。
↓こちらもどうぞ。

コメント