実はU-NEXTではDCユニバースやHBO製作の超ハイクオリティなドラマが、他では観られない“独占配信”として展開されています。しかも意外と知られていない。
当ブログはそんな【ONLY ON U-NEXT】作品の中から、語りたくなる一本を紹介しています。
今回は『ウエスト・ワールド シーズン1』。
哲学系SFとどんでん返しスリラーがハイレベルに融合した傑作です。

結構ショッキングなシーン多いかも。
あらすじ
制作:2016年
監督:ジョナサン・ノーラン
主演:エヴァン・レイチェル・ウッド、アンソニー・ホプキンス、ジェームズ・マースデン
巨大企業が運営するテーマパーク「ウエストワールド」。
そこでは精巧なアンドロイドたちが人間客の欲望を満たすために日々ループする物語を演じている。
保安官、娼婦、ガンマン、農場主──彼らはすべて“ホスト”と呼ばれる人工生命体。人間は“ゲスト”としてこの世界に入り込み、殺すも愛すも自由。
倫理?そんなものはゲートで脱ぎ捨ててからどうぞ。ここでは「欲望のままに振る舞うこと」がドレスコードだ。
しかしあるホストの異常行動をきっかけに、パークの秩序は徐々に崩壊していく。
毎日記憶を消されるホストたちが過去の断片を夢に見るようになり、自我の萌芽を見せ始める。
ホストとその管理者たち。複数の登場人物の思惑が交錯する中、物語は次第に“誰が人間で誰が機械か”という問いを孕みながら迷宮のような構造へと突入していく。
人と機械の境界
生成AIが「今日の気分はどうですか?」と挨拶してくる今日において、“人とAIの境界”なんてテーマは一昔前の題材だ。数年前に制作されたこの『ウエストワールド シーズン1』も、そんな手垢まみれの一作品に過ぎない…とでも言うと思ったか!
本作はAIが怒涛の進化を続ける今日においても決して古びていない。なぜならこの作品、AIを語るふりをして実は人間の本性を暴いているからだ。
登場人物のセリフは、いちいち哲学書の引用かと思うほどに重い。
だがそれが鼻につかないのは、物語の構造がそれを支えるだけの骨格を持っているから。
パークという“欲望の箱庭”で人間がどんな振る舞いをするか──それはAIの進化を描く以上に、人間の退化を描いている。
美女(またはイケメン)ホストに「何してもいいですよ」と言われたとき、あなたは何をするだろうか?
この問いが、視聴者の倫理観を試す。
そしてホストたちが自我に目覚める過程。そこには詩的な美しさがある。
主人公の1人であり美女ホストのドロレスの目に映る世界は、どこまでも残酷で、しかしそれでいて一縷の希望がある。
彼女が語る「これは私の物語」という一言に、AIと人間の境界が溶けていく。ChatGPTが何を言おうが、この作品は“意識とは何か”という問いに、物語という形で答えようとした最初の傑作なのだ。
緻密に仕掛けられたどんでん返し
さてここまで『ウエストワールド』の哲学的な面を褒めちぎってきたが、誤解してほしくない。本作は“意識高い系の小難しいドラマ”ではない。むしろ“意識高い系を装ったエンタメ爆弾”だ。
何がすごいって、物語がとにかく面白い。しかもその面白さが構造的に緻密に仕掛けられている。
とにかくどんでん返しの連打。これが凄い。
しかも一発一発にちゃんと意味がある。
唐突に「実はこうでした!」ではなく、「あのときのあれが、こう繋がるのか…」という快感。伏線の回収が、まるで職人の手仕事。
この情報量と緻密さの両立は、2時間映画では到底不可能。それをドラマシリーズというフォーマットで見事に昇華したのが、ジョナサン・ノーランの熱量ほとばしる脚本だ。最高。
そして何より視聴者を“考えさせる”構造が秀逸。
AIが進化することで、人間が何を失うのか。
ホストが自我を持つことに、人間は何を恐れるのか。
その問いが物語の中で自然に浮かび上がってくる。
ChatGPTが「私はあなたの感情を理解しています」と言い出すこの時代にこそ、見返すべき作品だ。
なおシーズン2以降は…まあ、言葉を選ばずに言えば“蛇足”。
シーズン1があまりに完成されすぎて、続編がその影に沈んでしまった。
だが逆に言えばシーズン1だけで完結する“哲学エンタメ”として、これほどの完成度を誇る作品は稀有だ。
迷ったらまずは1話。そこから先は、あなたの“自我”に任せよう。なんてね。

ほかにもU-NEXTならではの傑作を紹介中よ。
良かったら見て行って。

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