通勤中でも家事中でも、本の世界に浸れるのがオーディブルの魅力。 本屋で「ぶ厚い…」と尻込みする大作も耳ならすっと入れるし、定額だから普段読まないジャンルにも挑戦できる。 耳から届く物語は、日常のすき間時間を小さな読書空間に変えてくれます。 今回紹介するのは2025年末の映画公開が待たれる『プロジェクト・ヘイル・メアリー』です。

あらすじ
制作:2021年 著者:アンディ・ウィアー 主人公はごく普通…に見える中年男性。
物語は彼が見知らぬ場所で目を覚ますところから始まる。 周囲には無機質な機械音と、やけに整然とした計器類。 記憶は断片的で、自分がなぜここにいるのかもわからない。
やがて彼は、自分がとんでもない任務のただ中にいることが明らかになっていく。
何を言ってもネタバレになる特異な小説
えー、せっかく紹介しようと思いましたがこの作品、めっちゃ触りにくい。
映画の予告編で「SF」だってことはもうバレてるのでそこは伏せなくてもいいだろうが、個人的にはそのジャンルすら本来はネタバレ枠に入れたいくらいだ。
なにせ、この物語の醍醐味は「謎めいた状況でおっさんが一人目覚める」その一点から、どうやって「宇宙で大冒険」にたどり着くのかを追う過程にある。 だから細部を語ると途端に面白さの芽を摘んでしまう。
言えるのは科学的ディテールがやたらリアルで、しかもそれが理屈っぽくならずにエンタメとして機能していること。 そして主人公のキャラクターが、真空の宇宙空間でもちゃんと息づいていることだ。
一言だけ許されるなら「前向きな気持ちになれる物語」ってことだけだ。
まずは読め。もしくは聴け。それしか言葉が見つからない。 下手に予習するより、真っ白な状態でページ(あるいは再生ボタン)を開くのが、この作品への最適な触り方だ。
オーディブルとの相性抜群
そうは言ってもそれでは紹介にならないので、ここでは本作とオーディブルの親和性について触れたい。
冒頭でも申し上げたが、分厚い本にチャレンジする心理的ハードルを下げてくれるのがオーディブルの最大の美点だ。
本屋で『プロジェクトヘイルメアリー』を手に取ると、その厚みにまず驚く。持てばさらにずっしりとした重量感。
読書筋が鍛えられている人ならその重さに心が躍るだろうが、私はどちらかといえば尻込みするタイプだ。「これ読むの…?え、読み切れるかな…?」と。
そんな読書ビビリにとって、オーディブルは福音だ。 なにしろ聴けばいい。洗濯物を畳みながら、料理をしながら、仕事帰りの電車に揺られながら、いつでも宇宙の冒険の続きを味わえる。
しかもナレーターが非常に上手い。 ユーモアあふれる主人公のセリフを生き生きと演じ、耳から入る情報がそのまま映像として脳内に立ち上がる。
この物語を予備知識なしで体験できるのは、人生で一度きりの贅沢だ。 その幸運を逃さないうちに、今すぐ読むんだ。もしくは聴くんだ!

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