Amazonプライムビデオでは見逃せない最新作がしれっと配信されたりしています。
今回はそんな中から、涙腺を痛めかねない感動作アニメを3本に厳選してご紹介します。
※当記事の上方は2025年9月現在の配信状況に準拠しています。

厳選と言うか、『ロズ』はもう生涯ベスト級の名作ね。
野生の島のロズ
制作:2024年
監督:クリス・サンダース
主演:ルピタ・ニョンゴ(吹き替えは綾瀬はるか)、ペドロ・パスカル、キット・コナー
嵐に巻き込まれた輸送機から、無人島に漂着した最新型アシストロボット「ロッザム7134」、通称ロズ。
彼女は野生動物たちとのぎこちない交流を経て、孤児の雁キラリを育てることになる。
キラリの成長とともにロズは“愛する”という行為に目覚めていくが、やがて企業の商品であるという運命が彼女に追いついてくるのだった。
野生のロボット、母になる。
ロズの愛情が、魂を震わせるほどの感動を呼ぶ。
いかにも現代のSFらしく、消費社会の末路や環境問題への警鐘(一瞬だけ映るゴールデンゲートブリッジは水没しており、橋の「上」をクジラが泳いでいる)にも触れてはいる。
だがそれらは背景にとどめ、ロズとキラリの親子愛にフォーカスを絞った物語にただただ胸を打たれる。
Niziuの主題歌も素晴らしいが、劇中挿入歌のKiss the skyは更に最高。
この曲がかかる劇中シーンは現代の“はみ出し者”たちへのエールが凝縮されており、もはや涙腺拷問タイムである。
圧倒的完成度ながら同年のアカデミー賞は後述の『flow』に譲ってしまった。『flow』も良作だが正直納得いかない。たぶん審査員が泣きすぎて判断力を失ったからだろう。
ロズの献身とキラリの飛翔が、観る者の魂に直接語りかけてくる。
厳しい大自然の中で生きる厳しさと、ただ愛する者のために生きる優しさ。
そのどちらも肯定し抱きしめる物語は、末永く語り継がれるであろう究極の完成度だ。
flow
制作:2024年
監督:ギンツ・ジルバロディス
主演:出演者はすべて動物(猫、カピバラ、ラブラドール・レトリバー、ワオキツネザル、ヘビクイワシ)
人類が姿を消した世界。
森で暮らしていた一匹の黒猫が、突如の洪水に流され小さなボートで漂流の旅へと突入する。
道中、イヌ、カピバラ、サル、そして空から舞い降りるワシといった動物たちと出会い、ぎこちない共同生活が始まるのだった。
文明ゼロ、セリフもゼロ
3DCG作成ソフトの定番blender。
ギンツ・ジルバロディス監督はそれを駆使し、あろうことかたった一人で本作を完成させてしまった。
誰にも邪魔されず、個人のイマジネーションを直接映画に出力できる時代がついに来た。
ネコが生存をかけて他の動物たちとしゃーなしで協力関係を築いていく様子は、人間社会の縮図を表しているようにも見える。
だが終盤はトーンが変わり、突然の重力消失シーンをはじめ哲学的で神話的な要素が強調されていく。
観る者の「考察欲」を刺激する知的なアプローチだ。映像の節々に「この物語は既に何度も繰り返されている」ことを示唆するヒントがちりばめられているのもニクい。
爆発的な感動は無い。『野生の島のロズ』が感情の津波なら、『flow』は静かな深海と言った雰囲気だ。
だが観終わった後に残るのは、静かな余韻と「もう一度観たい」という奇妙な渇望。
これはアニメーションの未来が個人の手に委ねられたことを告げる、時代の転流点だ。
ネッコ、よくぞ流れてくれた。
ルックバック
制作:2024年
監督:押山清高
主演:河合優実、吉田美月喜
秋田の片田舎。
小学4年生のフジノは、学年新聞に4コマ漫画を連載する“地元の天才”ポジションを満喫していた。
だがある日、教師から「不登校のキョウモトの漫画を載せたい」と告げられ、彼女の枠が一部奪われる。
嫉妬と屈辱にまみれたフジノは、キョウモトの圧倒的画力に打ちのめされながらも、己を磨く決意を固める。
才能と孤独が交差する、静かなる衝撃
規格外の才能を持つマンガ家にして時代の寵児、藤本タツキの自伝”風”青春物語。
だが正直本作の雰囲気は「青春」なんて甘ったるい言葉では括れない。これは創作という名の地獄巡りである。
フジノの嫉妬は、まるで自分の才能が他人の才能に殴られたような痛み。
キョウモトの沈黙は、孤独を絵に変換する一種の自傷行為。
そして2人は互いの才能に依存し、傷つけ合い、それでも描くことに収束する。
解釈の分かれる「SF(すこし・ふしぎ)要素」がマンガの持つ創造の自由度を象徴し、そして観客に「マンガ家とは何者か?」という問いを突きつけてくる。
この点でクリエイター、つまり「作り手側」にこそ深々と刺さる話ともっぱらの評判だが…その魂は私のようなマンガを1ミリも描いたこと無い「受け手側」専にも十分届いたよ。
描くことの苦しみ、描かずにはいられない衝動、それを共有できる相手の尊さ。
それらが58分という短尺にぎゅうぎゅうに詰め込まれており、まるで原稿用紙に人生を押し込めたような濃密さだ。
という訳でアマプラの感動アニメ3選でした。
当ブログでは他にも名作を紹介中。良かったら他記事もぜひご覧下さい。

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