Amazonプライムビデオには、血と暴力で練り上げたような看板作があります。今回はそれらの紹介記事です。
いずれも見逃すことのできない圧倒的な傑作。
こんな尖った作品を自社看板コンテンツに掲げるアマプラのイカレた経営方針(誉め言葉)に脱帽です。

私は『ザ・ボーイズ』ではディープ推しね。
カス過ぎて大好き。
フォールアウト
制作:2024-
監督:ジョナサン・ノーラン
主演:エラ・パーネル/アーロン・モーテン/ウォルトン・ゴギンズ
核戦争で荒廃したアメリカ。
地下シェルターで育ったルーシーは、ある事件をきっかけに外の世界へ足を踏み出す。そこは放射能で歪んだ生態系と、崩壊前の文明の残骸が悪趣味に混ざり合う無法地帯だった。
彼女は旅路の中でヘタレ兵士のマクシマスや過去の影を背負ったガンマンらと出会い、やがて権力と生存を巡る争いに巻き込まれていく。
爆風が親指より大きかったら…
『ラストオブアス』や『スーパーマリオ』などなど、近年のゲーム原作映像作品は良作ないしヒット作にめぐまれている。
だがその中にあって一際異彩を放つのがこの『フォールアウト』だ。
何が凄いって原作ゲームへの解像度の高さが半端じゃない。
マリオのように顔面力で押し切る主人公キャラがいない『フォールアウト』は、世界観こそが主役だ。文明崩壊前の陽気なマスコットが、腐乱死体と錆びた冷蔵庫の横でニッコリ親指を立てる――この悪趣味さが『フォールアウト』の真骨頂。
このドラマ版はそんな「悪趣味なユーモア」に対する理解が盤石なのだ。
だから主役をゲーム未登場のオリキャラ三人組にしても、まったくブレずに『フォールアウト』している。普通なら“原作改変”と言う名の地雷原だが、これを逆に世界観の歪みを増幅させるスパイスにしているのが凄い。
主役三人勢の中で、特にマクシマスは出色。
名前はグラディエーター並みに勇ましいのに、心は豆粒サイズ。決断力はコンビニでおにぎりの具を選ぶのにもいちいち迷うレベル。だがそのヘタレっぷりこそが終末世界におけるリアルな人間らしさを描き出しており、つい応援させられてしまう。
良キャラである。
文明の残骸と人間の滑稽さを、レトロフューチャー×ポストアポカリプスで魅せる秀作。
続編企画も進行中であり、ぜひ見逃せない逸品だ。
ザ・ボーイズ
制作:2019-
監督:エリック・クリプキ
主演:カール・アーバン/ジャック・クエイド/アントニー・スター
現代アメリカ。スーパーヒーローが企業の広告塔として君臨し、犯罪退治も株価と好感度のために行われる世界。
一般人ヒューイは恋人を“ヒーロー事故”で失ったことをきっかけに、謎めいた男ブッチャーに導かれてアンチヒーローチーム「ザ・ボーイズ」に加わる。
一方、最強ヒーロー集団〈セブン〉のリーダー・ホームランダーは、表では救世主、裏では暴君として君臨していた。
両陣営の暗闘は、メディア戦略と血の匂いを撒き散らしながら加速していく。
正義の味は血と牛乳
ヒーロー映画全盛の今日において、そのパロディ作品は枚挙にいとまが無い。
だが人気・完成度・色んな意味でのヤバさを兼ね揃えた点で『ザ・ボーイズ』は他とは一線を画す。画しまくる。
主役にしてヴィランのホームランダーがとにかく濃い。
神の如き圧倒的パワーと太陽のようなカリスマ性を持つが、その裏に潜むのはブラックホール級の自己愛と支配欲。しかも母乳フェチという、脚本会議で誰も止めなかったのかと問い詰めたくなる設定まで完備。
人間の「人間らしい醜い本性」を1000倍に濃縮したような前代未聞の特濃キャラだ。
そのホームランダーを筆頭に、登場人物はどいつもこいつも凄まじい存在感。
清廉そうな新人スターライトから、薬物漬けのスピードスター、タコと致す異常性癖の持ち主など全員に触れるのは紙面が足りなさすぎる。
映像はポップでテンポも軽快なのに、飛び散る血と臓物はR指定の限界突破。それでいて爽快。この世界では偽善も悪徳も、すべてが等しくエンタメとして消費されるのだ。
ヒーロー映画の黄金時代に、これほど黒く輝く一作が生まれたことが最高にロックンロール。
インビンシブル -無敵のヒーロー-
制作:2021-
監督:ジェフ・アレン
主演:スティーヴン・ユァン/サンドラ・オー/J・K・シモンズ
17歳の高校生マーク・グレイソンは、最強ヒーロー・オムニマンを父に持つごく普通の青年だった。
しかし彼はやがて超人的な力に覚醒し、ヒーロー「インビンシブル」として活動を始めることに。
学業・恋愛・そしてヒーローを両立させようと奮闘する、マークの愉快でハチャメチャな日々が描かれる。
…と思いきや、ある事件を境に世界は一変。
都市規模の惨劇や異星からの侵略、そして衝撃的な現実が、彼の青春を血と臓物で染め上げていく。
青春映画×残虐ヒーロー
本作の魅力は、アニメという媒体を最大限に活かした“やりすぎ”のスケール感だ。
実写なら倫理委員会が即日解散しそうなレベルのゴア描写を、鮮やかな色彩と神作画アクションで梱包して視聴者に叩きつけてくる。
都市一面が血と臓物のスプラッタ絵巻になる様には、アニメでこそ可能な絶望的な美しさがある。
そして皮肉なことに、この物語は“ヒーロー神話の解体”をやりながら、同時に“ヒーロー成長譚の王道”を成立させている。
否定の土壌から芽吹く肯定。
その逆説が、インビンシブルというキャラクターをただの被害者や復讐者ではなく「立ち上がる者」として輝かせる。
この逆説的な説得力こそ、『インビンシブル』の真骨頂だ。
という訳でアマプラの「血と暴力の看板作」3選でした。
当ブログでは他にも注目作を紹介中。よかったら他記事もご覧下さい。

アマプラで観る作品を探してるならこっちの記事がおすすめ。

コメント