『エイリアン:アース』最終話感想 彼女は人間以上の存在として君臨する…だが完結せず!おい!!

『エイリアン:アース』最終話の感想です。
残虐度もホラー度も高くてヨシ。展開の意外性もあってヨシ。
だが完結しないのはどうか!!

親子ゼノモーフかわいい。

 

↑前話感想はこちら。

 

大カオス祭り

出典:https://www.themoviedb.org/


プロディジー島は制御不能の血みどろ劇場と化した。
ゼノモーフは野放しとなり、社員を片っ端からミンチに。さらに各種エイリアンが混乱に乗じて脱走。おおはしゃぎで殺戮しまくる。

そんな中、ハイブリッドたちは「大人」への反逆を決意。自分たちをモノ扱いしてきた人間たちを圧倒し、支配者として君臨するのだった。

そして―――完結せず!!
全8話という構成を信じた視聴者の希望は無惨に打ち砕かれた。
中盤の中だるみ回も「まあこういう回も必要だよね」とおおらかに受け止めてたのに、伏線は放置、謎は山積み、そして「つづく」!

これは納得いかねーー!!

とは言え最低限の区切りはつけてくれた。
ノア・ホーリーの「エイリアン怖いよね映画だと思ったでしょ?」からの「ざんねーん!これ哲学トークだから!」への転進は賛否両論必至だが、我がブログはできる限り好意的に受け止めたい。

 

 

脅威とは何かの再定義

新人類として覚醒するウェンディ

ユヴァル・ノア・ハラリはベストセラー著作『サピエンス全史』で語っていた…近い将来いずれ人間と機械は融合するかも知れないと。だがその結果誕生するのは「人間+機械」の足し算存在ではなく、全く別の「第3の何か」だと。

その「第3の何か」が覚醒した。
ウェンディは人間でも機械でもない、支配者という名の神性存在へと変貌を遂げた。
電子機器を操り、ゼノモーフをペット化し、人間をひき肉にすることに何のためらいもない。

そして「人間は殺すけど兄はオッケー」という一貫性のないスタンスが、逆に神話的なわがままさを醸し出す。ゼウスもびっくりの気まぐれっぷり。

ウェンディはもはや人間を超越した。
本人もそう思ってるし、行動でもそれを証明した。エピソードタイトルのThe Real Monstersをみっちり体現した形だ。
『エイリアン:アース』は神の誕生プロセスを描いたドラマだったのかもしれない。ゼノモーフはその神に仕える使徒。血の洗礼を受けた新世界の幕開けだ。

 

永遠に子どもの牢獄

円筒形の牢獄が繰り返し登場した今回、それはハイブリッドたちが囚われていた「永遠に子ども」という束縛の象徴だ。だが彼らは自力でその牢獄を脱出する。
自由のために。
そしてその自由には代償が伴う。そう、大人の血だ

『エイリアン』シリーズが繰り返し描いてきたのは創造物vs被造物という神話的構図だったが、今回は大人vs子どもというより生々しい対立が前面に出た。

カヴァリエは子どもの可能性ばかりに目を向け、反逆性という本質を見落とした。
彼自身も幼少期に父親を殺していたことが今回判明。カヴァリエもまた成長のプロセスを失った「永遠に子ども」だったのかもしれない。だからこそハイブリッドに執心したという深層心理が垣間見える。

だがそのハイブリッドたちは、終始上から目線のカヴァリエを「大人」と定義して拒絶。

ウソばかりつく「大人」に嫌気がさしたハイブリッドたちは、ゼノモーフの純粋な破壊衝動に傾倒していく。
これは人類の「子ども時代」の終わりを意味するのか…?

 

  

投げっぱなし伏線!

ノア・ホーリーの『エイリアン』スクラップ&ビルド!

出典:https://www.themoviedb.org/


「破壊の神・ゼノモーフ」を「便利な殺戮ペット・ゼノちゃん」に再定義した『エイリアン:アース』は、シリーズの定石を意図的にぶち壊した問題作だ。
正直これをどう受け止めていいのか、私自身が困惑している。

ノア・ホーリーは原作改変の達人だ。
『レギオン』ではX-MENを精神疾患スリラーに、『ファーゴ』ではコーエン印のサスペンスを別物に。
今回もその得意技を存分に発揮した形だ。

ゼノモーフは登場するが途中からウェンディの手足となり、物語は「大人への反逆」と「人間超越」の哲学ドラマへと舵を切った。
 

 

あまりにも張りっぱなしの伏線

だが最終話なのにこの片付きの悪さはどうか。脱走エイリアン関連だけでも

  • ゼノモーフ:2体に増えたよ!
  • 目玉タコ:アーサーの肉体ゲット!頭脳使い放題!
  • 溶解液ハエ:何匹かチリトリで回収されたけど巣にはまだいるよ!
  • 吸血ゴキブリ:しばらく出てないけど繁殖力強いよ!
  • 植物:今回初登場だけどどうなったか分からないよ!

と、しっちゃかめっちゃかの極み。何一つ解決せず
しかもユタニ社の本隊が迫る中、プロディジー社幹部はウェンディに拘束・監禁されている。ウェンディが彼らをどう始末するのかも不明。

続くにしても、もうちょっと「第一部完!」的な整理をつけてくれても良かったんじゃない!?

とはいえ、ここまで来たらもう付き合うしかない。
『シーズン2』が制作されるのはほぼ確実だろうし、伏線整理は(時間経って脳内が整理されたら)改めて記事にしたい。

とりあえず今はゼノモーフの前歯むき出し笑顔を思い出しつつ、ウェンディの行く末に思いを馳せて余韻に浸る。

 

 

 

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コメント

  1. 匿名 より:

    エイリアンアース面白くて一気見したけど、ヤッパリゼノモーフは人類とは
    相容れない恐怖の存在という一貫性は最後には貫いてほしいと思ってる。
    今はウェンディの言う事聞いてるけど、その内制御不能になることを予想し期待する。
    でも目玉エイリアンは面白い、ゼノモーフにも最初取り付こうとしてたので
    ゼノモーフvs目玉エイリアンの構図も面白いし
    ゼノモーフに入り込んで乗っ取って最強になるのも面白い。

    にしても科学者にしても経営者にしてもポンコツだらけなのが残念。
    リスク回避を全く考慮しないとかプロマネ的にあり得ない。
    人類側としてはリプリー的存在、安心薬としてウェンディが育ってほしい気はするけど、今のところ真逆行ってるのが面白いけど心配。人類に勝てる要素無くなるやん。
    シーズン5位は考えてるぽいのでまだまだ波乱がありそう。面白いけど映画とは別の世界線として見ておいたほうが心の整理がしやすそう。

    • motima より:

      》映画とは別の世界線として見ておいたほうが心の整理がしやすそう
      まったくその通りですよね。
      ゼノモーフ=恐怖の象徴感が消滅して「設定だけ流用した別作品」路線が確定した印象。

      》ポンコツだらけなのが残念
      まあそれこそ『エイリアン』シリーズあるあるなので、私的にはむしろしっくり来ます。
      そうは言っても、自称天才のカヴァリエが最初から最後までバカ人類代表にしか見えないのは頂けないですね!

  2. 匿名 より:

    また自意識過剰でアイザック・ニュートンの名まで名乗ったにも関わらず
    ポンコツ科学者もどきだったアイザック。
    不死身で強いはずのシンセであっさり死亡も残念ポイント。
    シーズン2以降で新たな体にメモリー復元して蘇ることを期待。

    あと宇宙船でエロエロだったテンも匂わせながらあっさり死亡もウ~ン。
    美人副船長と共に更にエロ描写と物語があるかと想いきやあっさり死亡。
    宇宙船破壊工作の謎を解き頭が切れるキャラと思ったのに。

    アーサーはとにかく悲劇の科学者で可哀想すぎたけど目玉エイリアンになって
    今後どう暗躍するのかは楽しみ。

    • motima より:

      》アーサーはとにかく悲劇の科学者で可哀想すぎた
      本当にその通りで。一人で2種類のエイリアンの宿主になるのは映画史上的にも稀では。
      イカレた世界ではマトモな奴ほど酷い目に遭うというメタファーかも知れませんね。

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