
ネタバレ全開記事なので注意よ!
『エイリアン:アース』とは何だったのか

『エイリアン』一作目の二年前を舞台にした『エイリアン:アース』。
サーガの新章を告げる大風呂敷で登場したが、フタを開ければ”原作改変大好きっ子”ノア・ホーリー節が炸裂。
結果として仕上がったのはエイリアン風SFドラマだった。
従来の『エイリアン』に期待される三種の神器──
・グロくて恐ろしいモンスター
・次々と血祭りにあげられる犠牲者
・生存を懸けた死闘
これらを待ち構えていた観客には、かなりの肩透かしだろう。
正直、私もその一人だ。
だが設定流用の別作品と割り切れば、これは意外と悪くない。
映像美も演技もハイレベル。そして何より考えさせる深みがある。言わばゼノモーフの代わりに哲学が襲ってくるタイプの作品だ。
というわけで全話放送終了のこのタイミングで、ハイブリッドたちの行方と次シーズンへの妄想をつらつらと。
ハイブリッドとは何者か

『エイリアン:アース』に登場する“人間っぽい”存在は4種。
①人間 :人間100%/機械0%
②シンセ :人間0% /機械100%
③サイボーグ :人間50% /機械50%
④ハイブリッド:人間??% /機械??%
主人公たちはこの“ハイブリッド”。見た目は人間、でも中身はフルメタル。
脳まで機械化されている点がサイボーグとの決定的な違いだ。ハイブリッドは人間+機械の足し算ではない。融合なのだ。
そんな彼女たちは人類の進化なのか、それとも脅威なのか。
最終話の空気感からすると、どうやら後者っぽい。
ウェンディ:神になった妹
人類にとっての上位捕食者であるゼノモーフを手足のように操り、ネットワークにも侵入自在。
物理とデジタルの両面で無敵となったウェンディは、もはや“進化した人間”というカテゴリに収まらない。最終話の「Now, We rule.」は、彼女の神格化を宣言する一言だ。
彼女が何を求めているのかは不明。たぶんまだ本人も分かってない。だが自分たちを弄んだ企業連盟に優しくする気は無いだろう。
兄ハーミットとの関係が、彼女の”人間性”をつなぎとめる最後の糸かもしれない。
ニブス:人格改変された怪物
人格を尊重されることなく、都合の悪い記憶はポイ!されたニブス。
結果、人格はさらに歪み残虐性がフルスロットルに。
プロディジー社兵士の顔面を素手で握り潰すシーンはホラー度高し。怖いよニブス!
「大人の都合」で人格をいじられた子どもが、どんな怪物になるか。
彼女の育成責任者デイムは、今後そのツケを払うことになるだろう。
カーリー:反抗期の天才
ウェンディに対抗心むき出しのカーリー。
最終話ではちょっと態度が軟化したが、あれで引っ込むカーリーではないだろう。
ゼノモーフを操る力は今のところウェンディの専売特許だが、カーリーが「先輩」に追いつくことは十分考えられる。
おあつらえ向きに現存ゼノモーフも2体。
これはもう「どっちが強いかバトルで決めようぜ」的展開もあり得るのでは。残虐ポケモン、爆誕の予感。
スライトリー:罪を知らぬ者
家族を人質に取られ、恩人アーサーをフェイスハガーに捧げたスライトリー。
罪悪感は…あんまり感じてなさそう。
だがウェンディのような超越者としてではなく、単にことの重大さをまだ分かってないだけの逃避に見える。
今後、目玉タコに寄生されたアーサーが彼の前に現れたとき、スライトリーがどう反応するか。
そこで彼の”人間性”が試されるだろう。
スミー:距離感バグってる人
ピーターパンの元ネタ通り、今のところキャラの掘り下げが浅く“なんか変な人”で終わってるスミー。
スライトリーにやたらボディタッチするのでそういうセクシャリティかと思ったら、ウェンディにもぺたぺた。ただの距離感バグだった。
スライトリーに同情した結果アーサーの命を奪ってしまった彼は、すでに罪悪感をしっかり感じている様子。
今後の精神状態が心配だ。
エイリアンたちはどうなるのか

最終話時点で5種のエイリアンはいずれも健在。
人類にどんなご迷惑をおかけするのか、楽しみ…いや、戦々恐々である。
ゼノモーフ:文房具で退治される破壊神
サイゼリヤと言えばミラノ風ドリア。そして『エイリアン』と言えばゼノモーフである。
だが本作でのゼノはかなり奥ゆかしい。
最初の2話で脅威感を出し切った後は、ウェンディに文房具で退治されたり、そのまま彼女の使い走りになったりと散々な扱いだ。
このままでは”破壊の化身”の名が泣く。
ウェンディが企業に反旗を翻したように、ゼノもウェンディに反旗を翻してほしい。
そして再び殺戮の神として降臨してほしい。
目玉タコ:察しが良すぎる超知能
カヴァリエの手のひらメモ一枚で10進法を理解する超知能眼球。
超知能というより”察しが良すぎる”タイプでは。
そして最終話でアーサーの死体に寄生して、ついに念願の人間形態を獲得。
羊の脳であれだけやれたんだから、アーサーの脳ならもっとヤバいことができるはず。知能派モンスターとして脅威を発揮し、ゼノモーフ支配装置とか作りそう。
でも正直、触手で歩く眼球のままでいてほしい。可愛いから。
その他のエイリアン:死亡フラグ製造機
吸血ゴキブリ、触手植物、溶解ハエ。
いずれも危険だが、ゼノや眼球に比べれば”攻撃力高めの動物”レベル。閉じ込めておけばまだマシ…と思いたいが、『エイリアン』シリーズにおいて「閉じ込めたから安全!」は死亡フラグ。
特に吸血ゴキブリは繁殖の兆しあり。
今のうちに手を打たないと、次シーズンで「ゴキブリ帝国爆誕」になり兼ねない。
全体として、『エイリアン:アース』は従来シリーズの設定を流用したまったくの別作品だった。
ゼノモーフを期待して観ると肩透かしだが、ハイブリッドたちの葛藤と進化を描くドラマとしては見応え十分。
次シーズンではゼノの逆襲とハイブリッドの暴走に期待したいところ。
人類の未来は、今日も不穏だ。
なお…これ執筆時点の2025年9月でなんとシーズン2制作の公式アナウンス無し。
おい…まさかとは思うが、おい…!
頼むぞノア!!

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ぜひ見ていって。

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