『スカイライン/奪還』B級の天井をテンションでぶち抜く、バトルシップ級のはちゃめちゃSF

謎の元気で話のしょうもなさを吹っ飛ばす理想的なB級SFね。

評価 :3/5。

勢い任せ過ぎるストーリー

制作:2017
監督:リアム・オドネル
主演:フランク・グリロ、イコ・ウワイス、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ

出典:TMDB

突如として空を覆い尽くした巨大なエイリアン宇宙船、そして地上に降り注ぐ青い光。
その光に吸い寄せられた人類は脳を抜き取られ、エイリアンの生体兵器へと変換されていく。文明は崩壊寸前だ。

そんな絶望的な状況下で、主人公となるのはロス市警の刑事マーク
彼は息子ともどもその巨大な宇宙船に捕らわれてしまう。

絶望的な密室から脱出し、愛する息子も取り戻す。
そして、ついでに地球も奪還する!

──と、ここまでのあらすじだけ聞けば「ああ、よくあるSFディザスター・パニックね」と誰もが思うだろう。
だが本作の本当の凄みは、その極限状況下で繰り広げられるムチャクチャな「戦い方」にある。

宇宙船内という閉鎖空間から始まり、なぜか中盤から東南アジアのジャングルへ。
主人公たちはエイリアン相手に重火器ではなく、己のとナイフ、根性で立ち向かっていくのだ。

 

  


アクション偏差値だけ異様に高い突然変異SF

本作を語る上で避けて通れないのは、その脚本の奇妙な低空飛行ぶりと、アクションシーンの異様な高クオリティのギャップだ。

プロットははっきり言ってガタガタだ。
エイリアンの襲撃が開始されてからわずか数分で、観客は「なんでそうなる!?」というツッコミを5分に一度は口にすることになる。
もはやこれはSFではなくS(それ)F(ふざけてんの?)と呼ぶべき代物だ。

しかしその低偏差値脚本を、圧倒的な肉弾戦が力技でねじ伏せていくのが面白ポイント。
特に物語の中盤、東南アジア某国でイコ・ウワイスが合流してからのギアの入り方は凄まじい。
それまで「エイリアンVS人類の重火器」だった戦いの構図が、唐突に「エイリアンVS『ザ・レイド』の住人」へと華麗な変貌を遂げる。

これにより「重火器が通用しないエイリアンも、ヤヤン・ルヒアンの牛刀には勝てない」という、どこをどう突っ込んだらいいのか分からない謎の戦闘ヒエラルキーが確立。
まるで「もう設定とかどうでもいいからとりあえず格闘シーンやろうぜ!」という、監督の心の叫びがそのまま映像になったかのようだ。

 

 


愛すべき「力技」が貫く傑作

当然、冷静な目で見れば欠点だらけだ。設定はガバガバ、展開は強引。

だがこの映画にはそれを凌駕する「熱」と「勢い」がある。
父と子の絆、そして「殺られたら殺り返す」という人類最古の復讐精神を、CGと肉弾戦の全力投球で描き切ったその姿勢。ぼくは敬意を表するッ!

あと到底大ヒットとは言えない本作からの、頑張って頑張って製作費をかき集めてなんとか続編『スカイライン/逆襲』を完成させた根性も尊敬。

エンドロールのささやかな小ネタも含め、全編が生暖かい目で見守りたくなるような、愛すべき「力技」に満ちた一作だ。
『バトルシップ』好きは是非。

 

 

アクション映画が好きならこの記事もおすすめよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました