『ピースメイカー シーズン2』最終話感想 泣かせる友情と音楽愛…だがこんな終わり方で納得できないよ!

『ピースメイカー シーズン2』最終話の感想です。
冒頭の穏やかなデートシーンとか、フォクシーシャザムの本人出演とか、グッと来るシーンは多かったけど…。

こんな終わり方は受け入れられないわね!!

 

↓前話感想はこちら。

今週のあらすじ

出典:TMDB

しょんぼりするピースメイカー

留置所に引きこもるピースメイカーはすっかり塞ぎ込み、ハーコートらの面会も拒絶し続ける。
一方、リック・フラッグ(父)は念願の量子ポータルを手に入れ、レックス・ルーサーの悲願である全メタヒューマンを異次元に追放する計画を進める。
その過程で多大な犠牲が生じ、アーガスの組織内に亀裂が生まれていく…。

 

はしゃぐリック

朱に交われば赤くなる、とはこのことだ。
かつてはメタヒューマン部隊を率いて戦っていたリック・フラッグ(父)が、悪ハゲの毒気にすっかりやられてしまった。
タスクフォースXのメンバーには割と同情的&責任感をもって接してたくせに、今はもう量子チャンバー内で部下が何人死のうが全然気にしていない様子。

こんな奴が「正義側」なら、自分にも現実にも落胆しきりのピースメイカーがションボリなのも無理はない。

 

 

過去イチ泣かせる心理描写

友情と別れ、そして絆

最終話を見終えてまず思うのは、このシーズン2は「アクションより心理描写に全振りしてたな」ということだ。
ジェームズ・ガン印のド派手な爆発や血みどろの肉弾戦を期待していたが、逆に言えば“泣かせ”のために全てを調整した潔さがある。

特にこの最終話は心理描写が一段と繊細。
ハーコートとサーシャの友情。
キーヤとアデバヨの決別。
そして極めつけは、ピースメイカーを仲間たちが奮い立たせる場面
ここで流れるOP曲ことフォクシーシャザムの“Oh Load”は、彼の奮起を演出するのにこれ以上なくbeautifulな選曲だ。本人出演までしてくるあたり、最終話の“泣かせ”演出に全力投球しているのがわかる。

 

筋肉中年の純情

ピースメイカーのハーコートへの純情も胸を打つ。
「恋人同士にならなくてもいい。ただ一瞬でも心が通じ合った事実があればそれでいい」──この想いは、彼のキャラクターを一気に人間臭く、そして愛おしく見せる。筋肉と銃弾の塊のような男が、実は“心の通じ合い”というささやかな奇蹟を求めていた。ここに至って彼は(彼自身が自分をそう認識していたような)ただの暴力マシンではなく、観客が共感できる“人間”として完成したのだ。

そしてラスト。彼らが対アーガス組織「チェックメイト」を結成する場面。
これは11thストリートキッズが“自分たちの物語”を選び取った証明でもある。
アクションよりも心理描写に重きを置いたこのシーズンの総決算として、非常に美しい幕引きだった。

 

  

リックの小悪党化

出典:TMDB

どうしちゃったのリック(父)?

一方で、どうしても引っかかるのがリック・フラッグ(父)の豹変ぶりだ。
もっかい言っちゃうけど、ついこの前までブライドたちメタヒューマン部隊を率いて戦っていた男がこの体たらくなのは納得できない。
ルーサーと組んだ途端に、いきなりゴリゴリの排外主義者へと変貌。いや変貌というよりこれは“感染”に近い。ルーサーという思想ウイルスに染まり、思想も行動もすっかり乗っ取られてしまったかのようだ。

しかもそのやり口が小悪党臭い。
量子ポータルを手に入れたのはいいが、使い道が「全メタヒューマン追放」という雑で乱暴な計画。
しかもその第一号にピースメイカーを選ぶあたり、完全に公私混同。メタヒューマンですらない彼を異次元に放り込むのはただの復讐だろ。
「国民の安全のため」と本人は言い張るが、実際は「俺の気が済むかどうか」が基準になっているのは明白である。

 

「正義」のあやふやさの象徴

この展開、シリーズ全体の思想的な流れを考えると皮肉が効いている。

『ピースメイカー』という作品は常に「正義とは何か」「誰のための暴力か」を問い続けてきた。
だが最終話で描かれたのは、正しさや大義を語る者がいかに簡単に“私怨”へと堕ちるかという現実。リック・フラッグ(父)はその象徴であり、「正義の看板を掲げた小悪党」の典型例になってしまった。

この“思想感染”の描写は、シリーズ全体を通してのテーマ──「正義と暴力の境界線」──をさらに濃く浮かび上がらせる。
だが同時に、いち観客としては「パパリック、マトモだったのに…」という失望を拭いきれない。

  

 

え、ここで終わりなの!?

正直、最終話を見終えた瞬間の感情は「え、ここで終わり?」だった。
ジョン・シナの多忙っぷりやDCユニバースの再編を考えれば、このシーズン2でピースメイカーの物語を綺麗に締めくくるものと勝手に思っていた。
だが実際はアンチ・アーガス組織「チェックメイト」の結成という新たな火種を残し、さらにリック・フラッグ(父)の復讐劇までぶち込んできた。そしてとっ散らかったまま完結。

心理描写の濃さとキャラクターの人間臭さは見ごたえがあった。
ピースメイカーの純情、仲間たちの友情と決別、そして“心が通じ合う瞬間”の尊さ。これらも確かに胸に残った。

だが同時に「コレジャナイ」感も強い
シーズン3のアナウンスもなく、余韻というより“未消化”のまま放り出された印象が残る。

泣かせに全力投球したかと思えば、最後は小悪党の私怨で幕を閉じる。まるで高級フレンチのコースを食べ終えた後に、デザートが駄菓子屋のうまい棒だったようなアンバランスさだ。

──それでも、妙に忘れられない。
ピースメイカーの物語がこれで終わるハズはない。今はそう信じて待つしかないだろう。

 

 

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