今回は『パシフィックリム・アップライジング』です。

前作の規格外っぷりには敵わないけど、これはこれで。
あらすじ

制作:2018年
監督:スティーブン・S・デナイト
主演:ジョン・ボイエガ、スコット・イーストウッド、ジン・ティエン
異次元からの怪獣(KAIJU)襲来を、巨大ロボット「イェーガー」で迎え撃った人類。あの死闘から10年、世界は一応の平和を取り戻していた。
だが英雄スタッカー・ペントコストの息子ジェイクは、父の威光を背に自堕落な日々を送っていた。
そんな彼が、ある事件をきっかけに再びイェーガーの世界へと引き戻される。新世代パイロットたちと共に再び迫る脅威に立ち向かうのだが…その敵は、かつての怪獣とは一味違っていた。
見せ場山盛りの巨大ロボット賛歌
「重厚感って何?」とでも言いたげな軽やかさで始まる本作。
前作の鉄と油の匂いがスクリーンから漂ってくるような”重戦車ロボット”を期待していた向きには、開幕早々「これは…違うぞ?」と首を傾げる。だが巨大ロボット大運動会としては、むしろ悪くない。
まず目を引くのは、イェーガーたちの個性爆発っぷり。
前作ではインパクトこそあれ出オチ同然だったサブ機たちが、今回はまるで「俺が主役機だよな!?」とでも言いたげに暴れ回る。
ブレーサー・フェニックスのエレベーター式射撃体勢には思わず「良いゲッター線出てるよ!」と応援したくなるし、セイバー・アテナの二刀流には『武装神姫』みを感じる。
敵側のオブシディアン・フューリーに至っては、厨二病を1万1千回転まできっちり回した結果、炎をまとうチェーンソードを振り回すという最高のムーブを披露。肩ミサイルの発射ポーズだけで白飯三杯いける。
キャスト陣もなかなかの粒ぞろい。
ジョン・ボイエガは“元・問題児”という設定を全力で楽しんでおり、スコット・イーストウッドは「親父譲りの顎のライン」で画面を引き締める。
ジン・ティエン演じるシャオ社の女社長は、前半と後半でメイクが変わりすぎて「誰やお前」状態だが、怪獣映画における“美人科学者枠”としての役割はしっかり果たしている。あと菊地凛子の赤木リツコ化は個人的にご褒美。
やはり前作の重厚さは無い…けど
ただしどうしても気になるのはやはり“軽さ”だ。
前作のような「タンカーを武器にする重量感」や「エルボーロケットの溜め動作に宿るロマン」は残念ながら本作にはない。
映像はシャープでスタイリッシュだがトランスフォーマー的な軽快さが先行してしまい、ロボットの質量感が希薄なのだ。
ジプシー・アベンジャーのデザインも洗練されすぎていて、あの無骨なジプシー・デンジャーが恋しくなる。
とはいえ、これはこれでアリだ。
ロボットが暴れて、都市が壊れて、トム・モレロのギターが鳴る。それだけで心が躍る人間には、十分すぎるご馳走。
富士山の位置?細けぇことはいいんだよ!
“偉大過ぎる前作の影”に苦しみながらも、ロボット愛とサービス精神で突っ走った努力作。
ジプシー・アベンジャーに最初は違和感があっても、終盤には「お前も悪くないな」と思わせてくれる。グラビティ・スリング、ありがとう。

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