『特捜部Q 檻の中の女』 北欧からやって来た、静かで熱い王道刑事ドラマ

今回は『特捜部Q』シリーズを紹介します。

静かで渋い刑事ドラマ。良き。

評価 :3/5。

あらすじ

出典:TMDB

制作:2013年
監督:ミケル・ノルガード
主演:ニコライ・リー・カース、ファレス・ファレス

北欧デンマーク、首都コペンハーゲン。
ある捜査の失敗で部下を死なせたカール・マーク刑事は、懲罰人事として警察署の地下に新設された“特捜部Q”へ左遷される。そこは未解決事件の再調査を名目にした、いわゆる窓際部署だった。

相棒に配属されたのは、アラブ系移民のアサド刑事。彼もまた人種的な面で上層部から「扱いにくい」評価を受け、左遷されてきたのだ。

文化も性格も正反対の二人は、5年前に起きた失踪事件を再調査することになる。そして事件の裏に潜む凄惨な真実へと迫っていくのだった…。

 

 

正統派刑事ドラマ

北欧ミステリーと言えば『ドラゴンタトゥーの女』!
あの陰鬱で湿った空気感と、全員何かしらのトラウマを抱えてそうな登場人物たち…。ハリウッドのサスペンスとは一味違う、重さと暗さが魅力の一作だ。

『特捜部Q』シリーズもその系譜に連なるが、こちらはより“警察小説”寄り。つまり、陰鬱さの中に相棒モノの熱さが潜んでいる。

まず主人公カール刑事。こいつがまあ、見事なまでの“仕事中毒で人間関係クラッシャー”。上司にも部下にも煙たがられ、唯一の話し相手は観葉植物という孤独っぷり。
だがその執念深さと正義感が、誰も見向きもしなかった事件に再び光を当てる。
北欧のダーティハリーだ。

そんなカールの相棒アサドがまた良い。
イスラム教徒で移民という設定が、現代ヨーロッパ社会の空気を象徴する。
彼の穏やかさとユーモアがカールの暴走を絶妙に中和していて、バディものの醍醐味を体現してくれる。

カールがアサドの煎れたコーヒーに文句を言うの定番ネタも良き。バディものとしての軽妙な友情がにじんでいてニヤリとさせられる。
 

 

被害者も加害者も深く描く

そして本作の真骨頂は、加害者と被害者の“人間性”を徹底的に掘り下げる点にある。
この一作目『檻の中の女』では復讐というテーマを軸に、ある人間の人生がどのようにして狂っていったのかを丹念に描く。
犯人は単なる悪人ではなく、被害者もまた可哀そうな善人ではない。
その空気感があまりにリアルで、観ていて胸が詰まる。

アクションは控えめ、爆発もなし、カーチェイスも皆無。
だがその分、静かな緊張感と心理戦がじわじわと効いてくる。まるで冷えたコーヒーのようなクセになる味わい深さが、このシリーズの魅力だ。

本作は北欧を中心に人気爆発で『キジ殺し』『Pからのメッセージ』『カルテ番号64』…と続編が次々作られている(途中で主役の役者が交代したけど)。
いずれも重厚なテーマを通底させつつ、ミステリーとして完成度の高さを保っているのが凄い。

そして2025年には、Netflixドラマとしてまさかのリブートを果たした
えっ…?北欧版も続編まだ出てるのに…?
と若干混乱するが、どっちも面白いのでヨシ

 

 

 

ミステリー映画が好きなら、こっちの記事もおすすめよ。

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