『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』あまりにもしょうもない実話ベース 人間の本質は愚かさなのか

今回は『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』の紹介です。

タイトルがある意味もうネタバレって言うね。

評価 :2/5。

あらすじ

出典:TMDB

制作:2019年
監督:ダニエル・シャイナート
主演:マイケル・アボット・Jr、アンドレ・ハイランド、ヴィル・ブリテン

アラバマの片田舎。
とある中年男性たちが、売れないバンドの練習と称して酒と爆音と悪ノリにまみれる夜を過ごしていた。
メンバーは三人。ディック、ジーク、アール。冴えないが、どこか憎めない連中だ。

だがその夜、ディックが謎の重傷を負い病院に置き去りにされたまま死亡
残された二人は警察の追及を逃れるため、証拠隠滅とアリバイ工作に奔走する。
ディック・ロングは、なぜ死んだのか?

 

 

田舎の夜は静かに狂う

敢えてジャンルで言うならブラックコメディだが、笑いの質は“笑っていいのか戸惑う系”の最上級
『ファーゴ』の田舎ノワールに『ジャッカス』の知能指数を掛け算したような異形の合体事故だ。

ディックの死因が明かされる瞬間の、あまりにしょうもなく、あまりに人間的な「唖然さ」かげん。
究極の「ここ笑うとこ?」だ。

 

 

バカは罪じゃない。でも…

語り口もまた絶妙で、田舎町の空気感を活かした間の取り方が秀逸。
登場人物たちは善人でも悪人でもなく、ただ判断力が著しく低いだけ。だがその低さが逆にリアルなのだ。

誰もが「自分はこんなバカじゃない」と思いたいが、酒とノリと“男の友情”が三拍子揃えば誰だってディック・ロングになり得る

愚かさの中に、確かに宿る人間味。
バカの悲劇を描いたどうしようもない映画である。だがそのバカさ加減がどこか愛おしい。彼らの必死の隠蔽劇は滑稽で、哀しくて、そしてどこか共感を誘う。
人はなぜ秘密を抱えるのか。なぜ真実から逃げるのか。その答えはディックの死因と同じくらい下らなくて、でも否定できない。

 

 

 

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