今回は『ゴーン・ガール』です。

観る人の結婚観を粉々にするよ。
あらすじ

制作:2014年
監督:デヴィッド・フィンチャー
主演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス
元ニューヨークの都会派夫婦、ニックとエイミーは、経済的事情と親の介護を理由に田舎へ移住。表面上は穏やかな日々を送っていたが、結婚5周年の朝、エイミーが忽然と姿を消す。
家には争った形跡、血痕、そして謎のクイズ。
警察が捜査を進める中、メディアはニックの不自然な態度に目をつけ、世間の疑念は彼に集中していく。
悪意の精密機械
『セブン』や『ゾディアック』で炸裂してきたデヴィッド・フィンチャーの「冷たい美学」が、今度は夫婦生活をターゲットに。
画面はどこまでも整然としていて、登場人物の感情はどこまでも不穏。そのあまりに完成度の高い空気が、物語の不吉さを一層引き立てる。
唐突に挿入される残酷描写もフィンチャー節全開だ。
ロザムンド・パイクとベン・アフレックが演じる夫婦の、緻密な演技力に裏打ちされたダークサイドがやべぇの一言。人間のダークサイドの極致。
冒頭の何気ない会話が、後になって「意味が分かると怖い内容だった」と気付かされる仕掛けには脱帽だ。
愛と狂気の境界線
さらに言及すると、この映画は真相探しミステリーであると同時に「夫婦の定義」への哲学的な問いかけでもある。
結婚って何?
信頼って何?
愛って、何?
その答えは相手をどこまで支配できるかのゲームなのか。
血と嘘とメディアの炎上の中で、そんなシニカルな問いがじわじわと浮かび上がってくる。
とにかく、きわめて精巧に組み立てられた心理戦映画。
誰を信じるか。何を信じるか。その選択が、観客自身の倫理観を試す。
ラストに待ち受ける“あの展開”はブラックユーモアの極み。笑えないのに笑ってしまう。
結婚を控えたカップルにぜひおすすめ。
本来は観るべきではないかもしれない。いやでもやっぱ観た方がいい、どうなっても知らないけど。

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