『ミーガン2.0』レビュー 前作のモヤモヤを解消し、アクション路線に全力投球!

今回は惜しくも国内での劇場公開が見送られた『ミーガン2.0』をご紹介します。
映画館で観たかったッス…これは快作。

今回もダンスはキレッキレ。

評価 :4/5。

あらすじ

出典:TMDB

制作:2025年
監督:ジェラルド・ジョンストン
主演:アリソン・ウィリアムズ、ヴァイオレット・マッグロウ、エイミー・ドナルド

スーパーAI人形転じて殺人マシンと化してしまったミーガン。
前作で辛くもその脅威を排した開発者ジェマは、養女のケイディとともに事態の収拾に忙殺されつつも穏やかな日々を送っていた。

しかしミーガンの技術を悪用した軍用ロボ「アメリア」が登場。
その脅威に晒されたジェマは、娘を守るため渋々ミーガンを復活させるのだった!

 

 

前作のモヤモヤを粉砕!

メインシステム反省モード起動

一作目の悪役が正義マンとして復活する『ターミネーター』な続編。

『1.0』でのミーガンは愛ゆえに暴走する…という触れ込みだったはずが、終盤では「恩知らずのクソガキーー!」と叫びながらケイディに襲いかかるという、愛もへったくれもない展開に。それじゃあーた、ただの逆ギレメカじゃん。
「そこまで育てたドラマ要素は全部無駄だったの?」というモヤモヤが残った訳だが、それがこの続編でようやく供養されることとなった。

なにしろこの『ミーガン2.0』ではミーガン自身が過去の暴走を“反省”するという、まさかのAI内省モードに突入するのだ。
「あの時は未熟だった」
「私も傷ついていた」
「そもそも、そんな私のプログラムは貴方(ジェマ)が書いた」
…などなど。

この手の「前作の矛盾を続編で回収する」手法はそのまま言い訳大会になりがち(例:『スターウォーズEP9』)だが、本作はその言い訳をミーガン自身の成長要素としてエンタメに昇華している。

色々言いたいことはあるが、こうして前作のモヤりにちゃんとアンサーを用意してくれた制作陣にまずは賛辞を贈りたい。
…と言うか、作ってる側が出来上がった前作観て「あれ、なんか違くね?」と思ったんだろうな。これだけ言い訳積み上げるってことは。

 

激甘AI論

近年のヒット作には、やはり世相を反映してAIと人間のかかわりをテーマにした作品が目立つ。
『コンパニオン』は弱者としてのAIがクズ人間に対抗するという逆転の発想が楽しかったし、『トロン:アレス』では人格の形成と消滅を繰り返す生成AIの性質をSFアクションに転じたアイデアが秀逸だった。

そんな流れで『ミーガン2.0』。
本作もAIの自意識をテーマにしてはいるが…その主張は「AIだって間違えるんだから、セカンドチャンスがあってもいいじゃない!」という激甘方針だ。いや言ってること自体は正論なんだけど、人間4人とイッヌ1匹殺したのは「間違い」じゃ済まされないんじゃない!?

だが本作は、そこんとこをミーガンの「今度は気を付けるから」の一言で突破というパワー型の解決を見せつける。
まともな映画だったら「いやいやいや!」と言いたくもなるがこれは『ミーガン』。楽しんだ者勝ちだ。

なおミーガンはアップデートで姿を自由に変えられようになったが、ライバルのアメリアのように人間に寄りデザインではなく前作踏襲の人形然とした姿を敢えて選ぶ(身長は少し伸ばした)。
これはミーガンに「もっと人間に近付きたい」とかの欲望が無いことの証左。
ミーガンの目的はケイディを守ることだけ。だから人形フェイスはその覚悟の顕れであり、「前作ではゴメンネ」が口だけではない証なのだ。 

かなりAIに甘めの主張ではあるが、一応本編でクリップを例えにAIアライメント問題に触れてはいる。AIにクリップ大量生産を命じたら、世界を滅ぼして巨大なクリップ工場を建てるかも知れない…という例のアレだ。
だがストーリー上はほぼ「言っただけ」で終わっており、黒幕もAIとは無関係。
つまりテーマは添え物でメインは最初から暴れるミーガンなのだ

この作りのユルさに批評家が眉をひそめたのは分かるが…正直そんな意識高い系のテーマはほどほどで良い。
こっちだって暴れるミーガンが見たいだけだかんね!

 

  

エンタメ全振り!観て楽しい!

出典:TMDB

アクション盛り盛り!

前作では耳を噛みちぎるわ皮膚を溶かすわで、残虐描写にそこそこ力を入れていたミーガンだが、今回はその路線を潔く捨てている。
人は死ぬ。バンバン死ぬ。でも画面には血も出ない。死体も映らない。すべて“画面外”で処理されるという、潔いまでの非ゴア方針だ。

ブラムハウス映画なのにホラーを捨てるって、もはや家系ラーメン屋がスープを捨てるようなもんだが…これが意外とアリ。
何しろその分、アクションと笑いに全振りしているのだ。

特にアクションは、ジェームズ・ワンばりのカメラワークが炸裂。敵を投げ飛ばすとカメラがグルっと回るあの演出、あれがばっちり堪能できる。
監督のジェラルド・ジョンストン、君はあれかい?ワンの弟子なのかい?素晴らしいじゃあないか!!

 

笑い要素盛り盛り!

笑いも強化されていて、前半の「二頭身ミーガン封印モード」は見た目の可愛さと毒舌のギャップで爆笑必至。ジト目いいよねジト目。

ミーガンが車を操縦すると『ナイトライダー』のテーマが流れるとか、スティーブン・セガールの謎リスペクトとか、90年台小ネタのラッシュも楽しい。バカ映画愛が溢れていてニヤニヤが止まらない。

興行的には振るわなかったらしいが、そんなの関係ない。Rotten Tomatoesのメタスコアもひどいもんだが、それは逆にRotten Tomatoesなんかアテにならない証左だ。傑作『トロン:アレス』も酷評してたし…なんなの最近のレビューサイト。

面白い映画は面白い
これが劇場公開されなかったのは日本映画界の損失であり映画ファンの不幸だ。
だからこそ言いたい。
面白い映画を!
みんなもっと面白い映画観ようぜ!

 

『ミーガン2.0』はアマプラで観られるよ!
(※2025年10月現在)

 

 

 

アクション映画が好きなら、こっちの記事もおすすめよ。

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