『イクサガミ』第2話感想です。

原作に無い独自路線が良い感じに光ってる!
あらすじ
デスゲーム「蠱毒」の火蓋は切って落とされた。
最初の難関であった天龍寺の乱戦をからくも脱出した愁二郎と双葉は、一路東京を目指す。
そこへ只者ならぬオーラを放つ怪しげな男、柘植響陣(東出昌大)が現れ、互いの利益のためにと愁二郎に同盟を持ちかけるのだった。
一方、貫地谷無骨は調子に乗って無関係の村人相手に殺戮の限りを尽くす。そしてそれを見かねたロン毛剣士、菊臣右京(玉木宏)が止めに入るのだった…。
アクションがフルスロットル
抜けない愁二郎
トラウマで抜刀できない、という時代劇の主人公としてはあまりにもファンキーなハンデを背負ったまま「蟲毒」にエントリーした愁二郎。その状態でいきなり最強枠の無骨とぶつかってしまい、そのまま『イクサガミ』・完!…になるかと思いきや双葉の機転で辛くも脱出。
「そろそろ本気出してくれよ!」と無骨でなくても言いたくなるギリギリのところで、今回は最高のカタルシスを用意してくれた。
後半、ついに人斬り刻舟を取り戻す愁二郎。その爆発は凄まじいの一言に尽きる。
特にあの居合切りで相手の首を斬り飛ばす描写!
「あまりの速さに生首だけ一瞬宙に残って、胴体が先に倒れる」──この超クールな演出は”人斬り”の再来を告げる鮮烈な説明だ。
トラウマを克服する…と言うより感情の爆発でトラウマを圧倒するという荒療治っぷりを発揮した愁二郎。その爆発とは、虫けらのように殺されていく戦闘力Fランクの元・武士たちの哀れな姿を眼前に、怒りのあまりヨダレを放出しながらブチ切れるというもの。
この原作に無いエピソードにこそ、Netflix版『イクサガミ』の魂が宿っているように感じる。
つまりこれは時代に置き去りにされた者たちへの哀歌であり、滅びの美学の物語なのだ。生きていても死んでいても、存在を否定された者たちの怒り。このドラマ版ならではの哲学がどこに向かうのか、ぜひとも見届けたい。
右京VS無骨

「蠱毒」序盤戦にして、早くも戦闘力Sクラス同士の激突が見られて眼福至極である。
バトルロワイアルらしくなって参りました!
右京が放つ端正な“剣術”と、無骨の野卑な“暴力”。この対比の中に、両者の来歴と思想が存分に盛り込まれている。ストーリー性豊かな、まさに理想的な剣戟アクションだ。
アクションプランナー:岡田准一…の面目躍如である。
右京の流れるような太刀筋の美しさに対し、無骨の汚ねぇ戦い方は本当に絵的に汚ねぇ。特に窮地で繰り出した“あの一手”は、よく映像化しようと思ったな…と若干引くぐらいのダーティさだった。発想が『ザ・レイド』か何か。
とにかく原作では「ナレ死」に近かったこのカードが、これだけの説得力をもって映像化されたことに感動を禁じ得ない。最高の瞬間だった。
しかし! でもでも! 右京の必殺技である太刀四十二箇条の技名は叫んで欲しかった!
必殺技名コールはエンタメの最重要栄養!この一点だけは、慎みつつも制作陣に苦言を呈したい。
超絶作り込み
思い出される『将軍/SHOGUN』の偉業

第1話では超絶キャスティングと大規模アクションに目を奪われたが、こうして続けて観ると『イクサガミ』は衣装や背景のディテールもハンパじゃないことに気付かされる。
登場人物一人一人の着物の質感や汚れ、荒れ果てた村々の作り込み。そして何より、一般的な地上波放送ドラマとは一線を画す流血描写の容赦なさ。
演出のキレもキャスティングや映像の豪華ぶりも、並のドラマとは桁違いだ。この力の入れようは、やはり最初から世界マーケティングを見越しての展開だろう。
そうなると脳裏をよぎるのは、昨年2024年に世界を熱狂させた『将軍/SHOGUN』だ。『将軍/SHOGUN』はFXドラマという海外土壌でありながら、ほぼ日本人キャストのみで撮りあげたという異色の歴史大河ドラマ。そのストーリーは、関ヶ原の戦いをモチーフにした定番中の定番だった。
だがこの「定番=ありきたり」な題材がエミー賞&ゴールデングローブ賞をダブル受賞の快挙を成し遂げたのは、その「定番」をスケールやテーマの面で見事にアップデートしたからに他ならない。
斬新イコール奇抜ではない。王道の再定義もまた斬新さなのだ。それを圧倒的クオリティで証明して見せたのが『将軍/SHOGUN』だった。
時代劇の本気アップデート
この『イクサガミ』も同じ斬新さを目指していると見た。
ただし『将軍』が歴史大河のアップデートだったのに対し、『イクサガミ』は時代劇が本来持つアクション性とエンタメ性のアップデートを目指しているように見える。
カッコいい剣戟と殺陣、そして衣装や小道具などが語る時代感。それらを現代の映像基準に、そして世界で通用するクオリティに本気でアップデートしようとしているのだ。
主人公が感情の爆発でトラウマを乗り越えるという少年漫画的な展開に、壮絶な殺陣や戦場シーンなどのハリウッド的なスケールをぶち込んでくる本作。
時代劇というジャンルの最先端をぶっちぎる本作の行く末を、ぜひ刮目して見守りたい。
…やべぇな、一気見はもったいないから1日1話ずつ見ようと思ってたけど、止まらない…。

次話感想はこちら。

Netflixで観る作品を探してるなら、この記事がおすすめよ。

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