『イクサガミ』第5話の感想です。

彩八の双葉に対する不器用な優しさ…。
尊い。
あらすじ
蠱毒の黒幕は、日本政府を陰から支える四大財閥。そして実行部隊は政府・警視局そのものだった…。
奇しくも同時に同じ真相に辿り着く愁二郎と大久保利通。
だが愁二郎はその調査のさなか、劇中最強クラスの剣士・櫻に追い詰められ因縁の決着を迫られる。
一方双葉は、守られるばかりで愁二郎の足を引っ張る自分に苛立つ。そして知立関にてその“強さ”を試されることになるのだった…。
出し惜しみ?知らねぇなあ!
折れた刀同士の頂上決戦

全6話というタイトな話数の中に、毎回2〜3箇所は目を見張るようなアクションシーンを盛り込んできた『イクサガミ』。その頂点がまさかの第5話で炸裂した。
愁二郎 VS 櫻である。
この殺陣の激しさと完成度は、まさに本シリーズのクライマックスに相応しい。
幕末と言う血の雨をくぐり、ようやくたどり着いた新時代。だがそこでサラッと用済み扱い…。後には惨めな余生が残るだけ。
そんな「時代の不条理」に対する憤りと、それでもサムライとしてしか生きられない二人の魂が太刀筋となって激突する!もう興奮の極致だ。
あと1話残ってるが、このバウトが本作最高のカードでもう間違いないだろう。櫻の活躍を原作から超・大幅に前倒ししたのは、この熱すぎる対戦を今すぐ描きたくて仕方なかったからに違いない。
藤井道人監督の「おいどんは…おいどんはもう辛抱たまらんでごわす!!!」と薩摩ガマンを暴発させる姿が目に浮かぶ(浮かばないけど)。
ストーリー性の盛り上がりのみならず、殺陣自体の完成度も劇中最高峰だ。
圧倒的スピードで刀を交わし合う愁二郎と櫻。刀同士がカチ合う金属音の連打が、二人の闘志の加速を示す殺意の32ビートと化す。
あまりに人間離れした速度のため刀の方が先に悲鳴を上げて折れるというハッタリの効いた演出も最高。愁二郎が鎖鎌を持ち出す意外性も素晴らしいし、長槍を経て再び折れた刀同士での一騎討ちに戻る展開はまさに「武士の末路」を象徴する演出でもう心の幕末汁が止まらない。
折れた刀とはつまり、明治時代における武士の姿そのもの。その惨めな武器で因縁の決着を付けようとするサムライたちの、なんと気高く、愚かで、哀れで、そしてクールなことか!
マジで最高過ぎる。
響陣=サンも面目躍如
伊賀同心の末裔にして一族最高の天才忍者…であるはずの響陣だが、Netflix版だと若干活躍の場が限られ「なんか胡散臭い兄ちゃん」に見えてしまっていた。しかし今回ついに念願の単独見せ場が炸裂だ。
追い詰められた警察署からの大胆な逃走劇。そのさなかにハリウッドお約束の「窓ガラスぶち破り脱出」まで披露して、なおかつニコニコしながら「ほないくで~」と余裕まで見せるユーモアまで完備。
俺たちの見たかった響陣がついにやって来た!
彼の超人的な身体能力を最大限に活かしたニンジャアクションは、剣術主体の他キャラとは一線を画す小気味よいアクセントとなっている。
なおどうでもいいが、原作では進次郎だったヘタレボーイの名前がNetflix版だと進之助に改変されたのは、日本語圏以外だと「シュウジロウ」と「シンジロウ」の音の違いが聞き分けにくい…という世界マーケティングを見越しての配慮だと予想するがどうだろう。いや、実際そうだったとしても本当にどうでもいいが。
優しさは強さ
物語のテーマを一身に背負うよ双葉

そんなこんなで既に物語は原作ルートを大きく外れ、Netflix版としてのルートを確固たる足取りで進んでいる。
これこれ!
この単なる「なぞり」に留まらない、独自路線を堂々進む映像化魂が見たかったんだ!
だが原作が持つ魂もしっかりと引き継がれている。それを証明するのが今回の双葉の行動だ。
進之助が知立関で札点が足りずに粛清されそうになったとき、愁二郎らは当然のように見捨てた。非情に見えるがデスゲームのリアリティとして受け入れざるを得ない判断だ。しかし双葉だけは、自らの命でもある札を犠牲にして進之助を救う。
これは「しんのすけがカワイソーだから」という感傷ではなく、双葉の勇気…つまり「自分の善性を失う訳にはいかない」という確固たる信念に基づいた行動だ。
そしてその信念こそが監視役の橡(つるばみ)の心を動かし、蟲毒のシステムに穿たれる最初の楔になっていく…。
優しさは強さ。
デスゲームという極限状況の中にあっても普遍的なその真理は、原作からNetflix版へとしっかりと受け継がれている。これって熱い。単なる剣戟アクションに終わらない、骨太な人間ドラマがここにある。
まいごの甚六
そんな訳でNetflix版ルートは既に原作から大きく離れている。
知立も越えてしまったので、原作で大きなターニングポイントになった「祇園三助による双葉誘拐イベント」は地理的にも展開的にも起きる可能性は既にゼロだ。
だからこそか響陣は別行動に走り、愁二郎の義弟である三助と四蔵に直接協力を仰ぎに行ったもよう。そしてまるで磁石に引き寄せられるかのように強者どもが東海道に集結する…まいごの甚六以外!
どうなるのコレあと1話だけど!?
まだ静岡にも着いていないのに、どう考えてもシーズン1で終わらせる気無いだろ!!
と言うか終わるのがもったい無さ過ぎて観られないよ最終話!観るけど!!

Netflixで観る作品を探してるなら、この記事がおすすめよ。

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