今回は『フォールアウトS2』第3話感想です。
あらすじ

人助けの精神で怪我人を救ったルーシーだったが、連れて行った先はイカレ武装集団「リージョン」の本拠地。彼女はあえなく拘束されてしまう。
あげく助けた相手は2秒で処刑。いつも通り、ルーシーのお行儀の良さがいかに無意味か晒された形だ。
一方B.O.S.は核融合技術を盾に反乱を企てるも連邦のパラディン・ハークネスの「ナメてんじゃねーぞ」先制パンチにあっさり屈し、指導者クイントスはマキシマスに当り散らす。
面白くないマキシマスはハークネスへと接近するのだった。
血みどろローマごっこ
マコーレー・カルキン降臨

ルーシーが迷い込んだのは、自分たちを古代ローマの末裔だと思い込んでいるトチ狂った武装集団だった。
アメリカの荒野でローマ帝国を標榜するだけでもお笑い草だが、その中身は殺人・拷問・なぜか初夜権という、どこから突っ込んでいいのか分からない頭ハッピーセットぶり。
この雑コスプレ集団の有様こそが、文明の残りカスをデタラメに拾い集めたポスト・アポカリプスの滑稽さを象徴している。
そしてこの残虐なバカ騒ぎの指揮者として、まさかのマコーレー・カルキン(45歳)が登場。
ローマ帝国が文明の原点なら、『ホームアローン』は“笑い+バイオレンス”の原点。この「分かってやってる」悪ふざけ感が最高すぎる。
彼の演じる饒舌で残虐なアホは、まさにこのシリーズのシニカルな面を体現している。
笑っていいのか引くべきなのか判断に困るあの空気感。これを成立させられる俳優という点で、これ以上ないほど正しいキャスティングだろう。今回限りの登場っぽいのが本当に惜しい。
NCR=新カリフォルニア共和国
そして今回、静かに印象的だったのがグールの行動だ。
これまでルーシーの倫理観と真っ向から対立してきた彼だが、実は“倫理観が壊れている”のではなく、“合理性が極限まで研ぎ澄まされた結果”だったことが示唆された。
「3人殺して1人救う」
この行動が正しい行いかどうかは、誰にも断言できない。
だがグールは今回、NCRの残党(たった二人)を売ってルーシーを救う。ルーシーにとっては恩人の行動だが、NCRにとっては裏切り。
その狭間で揺れるグールの表情は、200年の孤独と合理性の果てに生まれた複雑な価値観を語る。
ローマごっこ勢の血みどろ茶番の横で、不死身の賞金稼ぎが繊細に葛藤する。この“同一世界観での奇妙な温度差”こそフォールアウトの真骨頂だろう。
ぶれぶれマキシマス

「連邦についた方が得じゃね…?」
さて一方、今週の不憫大賞はマキシマスに進呈。
B.O.S.でチヤホヤされてるかと思いきや上司のクイントスからはゴミのように扱われ、あっさりと連邦側のハークネスに乗り換えようとする。この「ボクに優しい方になびくよ」精神の潔さよ。
だが彼はどこまでも「ブレる」男。
豪快なハークネスと意気投合して、このまま連邦サイドの勝ち組兵士になるかと思わせた矢先、ハークネスによる子供グール虐殺を阻止するため背後から脳天粉砕。出会って数分で友情(?)を築き、次の瞬間には即殺である。
クメイル・ナンジアニ、まさかの2週退場。
だが…責める気にはなれないな!
この行動が露見すればB.O.S.と連邦の全面戦争は避けられない。自身もまた、その両方から追われる可能性が高い。
「今のB.O.S.のままで居ようかな」
「連邦側のB.O.S.に鞍替えしよっかな」
「でも子供を殺すのはイヤだな」
どの道も貫けない彼のブレっぷりが、戦争の引き金を引いた(かも知れない)わけだ。
だが、ここで彼を責める気にはなれない。
マキシマスは自分の立場が危うくなると分かっていても、子供を救うためにハークネスを殺った。兵士としては完全アウトだが、人間としては拍手喝采だ。
“自分の中の越えられない一線”を守った瞬間…。
マキシマス、ちょっと見直したぞ。
彼がどんな言い訳を並べてこの窮地を脱するのか、あるいはさらに深い泥沼にハマるのか。
今後もそのブレっぷりを見守りたい。

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