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いまさらだけど『AKIRA』の凄さを紹介するよ!

ついに観ましたIMAX版『AKIRA』!
良かったワー°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

 

中学時代に『AKIRA』に出会って以来、私はその魅力に首ったけでした。

なけなしのお小遣いを貯めてレーザーディスクを買ったり。

学校の美術の時間に内臓丸出しの鉄雄を描いて先生をドン引きさせたり。

日常生活の中で「お前はどうする?」的な質問をされると
「やっとモーターのコイルがあったまってきた所だぜ!」
と意味不明の返しをして仲間内で不気味がられたり。

AKIRAがらみの黒歴史エピソードには事欠きません。

 

AKIRA

 

いきおい『AKIRA』本編なんか100回以上観てるのですけど、IMAXで見るとやっぱ格別でした。

超鮮やかな鉄雄の赤マント!
爆音で迫る異次元BGM!
クライマックスのアレも、IMAXの大画面で見ると迫力が違う!

至福の2時間でしたよー!!

 

そんなワケで今回は『AKIRA』の凄さを改めて紹介したいと思います。

「『AKIRA』がすごい」だなんて「牛丼はうまい」と同じくらい分かり切った話なのですが、IMAXのせいで熱が再燃したのだからしょうがない。

 

 

ポイント① 予見が凄い!

『AKIRA』は近未来の日本を舞台にしたSFアニメ。
謎の存在 "アキラ" をめぐる熾烈な超能力バトルが描かれます。

この "近未来の日本" ってのがミソ。
劇中の設定は2019年なので既に現実が追い越してしまっているのですが、ここで描かれる「2019年の日本」が実情とリンクしまくってるのだから凄い。
とても30年前の映画と思えない鋭さです。

 

白眉は2020年の東京オリンピックのくだりでしょう。

2020年に東京オリンピックが開催されることを言い当てているだけでも凄いのに、国民にいっさい見向きもされず全然盛り上がってないという有様さえ予見しているのが強烈です。

あげく劇中の「中止だ中止!」の落書きをなぞるように、史上稀に見るオリンピック延期…。
的中し過ぎてて怖い。

 

オリンピックがらみだけでなく、さりげないセリフの数々にもグッと来ます。
劇中の東京を「建設の熱も冷め、復興の喜びも忘れ去られ、いまや欲望に身を任せたバカどもの掃き溜めだ」と形容するセリフは特に心が痛い。

東日本大震災からの復興アピールが東京オリンピックの目的の一つだったはずなのに、利権に群がる俗物のせいで予算は400%という大幅な超過。
これネオ東京のことじゃん!

「前総理の税金政策の歴史的失敗」というくだりに至っては思わず吹き出してしまいます。
前総理どころかあーた、現実じゃ現総理ですよ!
歴史的失敗が現在進行形で続いてるんです!
悲惨!!

 

いちいち心に痛いセリフを吐く大佐さん。
なんか申し訳ない気持ちになってきます。

 

もちろん大友克洋は予言者でも超能力者でもない(はず)なので、いかに『AKIRA』が未来をいい当てようとも単なる偶然の面が大きいのは否めません。

しかし大友克洋の「日本人ってこういう存在だよね」→「だから将来はこうなってるはずだよね」という分析と省察が正鵠を射ているのもまた事実。
改めてその先見の明に脱帽です。

 

 

ポイント② 書き込みが凄い!

『AKIRA』はストーリーや舞台設定のみならず、その映像美も大きな魅力です。
具体的に言えば書き込みが凄い。いわゆる神作画。

 

特に冒頭のバイクチェイスのシーンは圧巻の一言です。
傾く車体、きしむサスペンション…。
極めつけに金田バイクの圧倒的カッコよさ!
何もかもが超クールです。

 

超有名なワンカット。カッコよすぎて死ぬ。
後世の作品に与えた影響も絶大です。

 

 

レディ・プレイヤー1(吹替版)

"後世の作品"の一例『レディ・プレイヤー1』

 

大友克洋のトレードマークである金属パイプの書き込みも、病的なまでに精細。
時に血管にも見えるパイプ群は生物と機械の境界存在であり、本作においてはただの背景以上の意味を持つ重要なアイテムです。
その点をしっかり見据えたうえでの描き込みが超絶インパクト!

 

もちろん、終盤の鉄雄暴走シーンも凄すぎます。
"力"を抑えきれず、巨大な肉塊に変貌してしまう鉄雄…。
全てを飲み込むべく肥大し続けるその姿は、人の理解を超えた何かであるという説得力が抜群です。
肉塊のボニョボニョ感は他じゃ絶対見られない神作画!

 

必殺の肉塊パンチ!
どこからが血管でどこまでが金属パイプかもう分からない。
機械と生物が融合したその禍々しさプライスレス。

 

 

ポイント③ セリフが凄い!

多くの名作がそうであるように、『AKIRA』にも数多くの名セリフが登場します。
最も有名なのはコレでしょう。

 

鉄雄「金田ああァァーーッ!」

 

 

金田「"さん" をつけろよデコスケ野郎ォ!!」

 

いったいなぜ『AKIRA』のセリフはこうも胸に響くのでしょうか?

通常のアニメでは登場人物らの口の動きは3音で構成されています。
しかし『AKIRA』劇中では、登場人物らの口の動きは7音構成。口パクの表情豊かさが従来のアニメと段違いです。

くわえて『AKIRA』の製作態勢は、声優が先に演技を収録し後からそれに合わせて作画を起こすプレスコ仕様。
これらのこだわりから "言葉を放つ登場人物" のビジュアルが非常に印象的に仕上げられている…というワケです。

セリフの一つ一つが異様に心に刺さるその理由が、こういった映像的インパクトとの合わせ技にあることは疑いようがありません。
『AKIRA』はセリフありきの物語なのです。

 

 

ポイント④ 音楽が凄い!

『AKIRA』の魅力を支える大きな要素にBGMも挙げられます。
芸能山城組による祭囃子をベースにした各曲は、一回聞いたら忘れられない印象深さ。

ドッドォ~ スゥ~↑ハァ~↓
ドッドォ~ スゥ~↑ハァ~↓

ダァーーン!
ダァーーン!
ダ! ダ!

などの謎シャウトは、もはや異様と言う言葉では表せないほど強烈なインパクト。

ここまで主張が強いBGMなのにそれだけが悪目立ちせず、むしろ『AKIRA』という伝説の中で調和している様は奇跡的なバランス感覚としか言いようがありません。

 

Akira: Original Soundtrack

いまや入手困難のサウンドトラック。
曲だけでなく劇中セリフの数々まで収録した名盤中の名盤。

 

というワケで『AKIRA』の魅力を振り返ってみようという記事でした。

この名作をIMAXで観られたのは、返す返すも僥倖だった…!
コロナ禍はもちろんファッキンですけど、4Kリマスター化された過去の名作をIMAXで追体験する試みはもっと流行ってもいいなと思いました。

 

 

 

劇場版とは異なる趣きの原作もぜひ。

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