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『XX』感想 4名の女性監督が描く耽美な地獄絵図

おすすめ度





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□  6点
Netflixのブラウザ版ではおすすめ映画のポスターがトップページにバーン!と表示されのですが、本作がおすすめに挙がると天井から垂れ下がるバケモノみたいな女が画面にいきなり大写しになるので滅茶苦茶ビビります。
もうちょっと配慮してくれよ!
という訳で、そんなに主張するなら観てやるよ!と鑑賞して参りましたNetflixで配信中の『XX』。
ザ・怖い映画!と言うよりも残酷度高めの文芸作品って感じでした。

4人の女性、4つの短編

いわゆるオムニバスである本作は、
ある秘密を知ってしまったために何も食べられなくなってしまう少年とその家族を描いた『The Box』
娘の誕生日パーティーを予定通り進めるため、その裏で起こった大惨事を母親が躍起になって隠ぺいしようとするブラックコメディー『The Birthday Cake』
キャンプに遊びに来た若者4人がお約束通りひどい目に遭う『Don`t fall』
息子の変貌ぶりにおびえる母親を描いたオカルトホラー『Her Only Living Son』
の4つの短編から成っています。
4名の異なる女流監督がそれぞれ手掛けているようで、その中には傑作『インビテーション』を監督したクサマ・カリン女史もいるよ!
それにしてもサムネイルがドクロをあしらったキスマークだったり「女性監督!」をやけにフィーチャーしてきますね。
女性監督なだけにタイトルの『XX』は染色体の話かな。
4編中2編が母親と息子のディスコミュニケーションをテーマにしているのは確かに女性ならではの観点でしょう。女性にとって子供のことが理解できなくなるのは根源的な恐怖なのかも知れませんね(そんなの男でも怖いけど)。なんとなく『少年は残酷な弓を射る』を思い出します。
本作、ポスターのおっかなさの割にバーン!とショッキングな映像的でビビらせる演出には乏しいです。すんごい怖いホラーを期待して見ると肩透かしを食らうこと必至。しかしそこはかとなく気品がある映像美は見応えがあり、特に1話目の「家族みんなでお食事シーン」や4話目の「爪のシーン」などはインパクト大でした。
ただ短編の合間の人形劇…あれはどうかと!おぞましくも美しいシークエンスではあるのですが、なんと言うかあまりに唐突&チープ過ぎて「グランギニョルにハマった女子高生が文化祭向けに頑張って作った」かのような印象。悪い意味での中二病感が出てしまっています。無い方が好みだったな~…。
ひょいっと観られるホラーの小品。なかなか良かったですよ!

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