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『スペース・フォース』感想 スティーヴ・カレルが宇宙開発?波乱の予感しかしねぇ!

Netflixドラマの新作『スペース・フォース』が配信開始されました。

 

宇宙軍に配属された中年の軍人を描くコメディドラマで、主演はスティーヴ・カレル。

実は自分、スティーヴ・カレル大好きでして。『俺たちニュースキャスター』のおバカちゃんの頃から大ファンなんです。
ほかにも『40歳の童貞男』や『ラブ・アゲイン』などでの情けなくも愛されるおじさんっぷりが超お気に入り。

最近は『マーウェン』や『マネーショート 華麗なる大逆転』などシリアスな作品に多数出演している彼。
コメディアンながら確かな演技力を持ち合わせていることは間違いなく、いわゆる実力派と言えるでしょう。

とは言え『俺たちニュースキャスター』のブリックたんが目に焼き付いているこちらとしては、またカレル氏に抱腹絶倒させられたいというのが本音。
いきおいカレル久々の正統派コメディである本作には非常に期待を寄せていました。

 

 

俺たちニュースキャスター (字幕版)

我が人生最高のコメディ映画。
向かって右端に若かりしスティーヴ・カレル。

 

 

そして本作の仕掛け人がポール・キングなのにも期待値を上げさせられます。
何しろポールと言えば大傑作『パディントン』を監督した御仁。
『パディントン』のやわらかい社会風刺とテンポの良い笑いのバランスには本当に唸らされました。
彼の新作ってだけで全裸待機待ったナシです。

 

そんなこんなで期待値爆上げの本作。
さっそく感想を述べてみようと思います!

 

 

スペース・フォース

2020年アメリカ 全10話
監督:ポール・キングほか
出演:スティーヴ・カレル、ジョン・マルコヴィッチ

四つ星大将への昇進を果たした叩き上げ軍人のマーク。
そんな彼へ課せられた次なる任務は「2024年までに月面に軍事基地を設置する」という大統領の思い付きから飛び出したムチャ振りだった。

技術顧問のマロリー博士をはじめクセの強すぎる面々を率い、マークの宇宙への挑戦が始まる!

 

評価 C

 

面白かったです。
面白かったんだけど…なんと言うか…中途半端な感じでした。

『ライトスタッフ』みたいなソリッドな宇宙開発ドラマが展開する訳ではもちろんないし、職場系コメディとして『ブルックリンナインナイン』ほどハジケている訳でもない。
何と言うか、どっちつかずなんですよね。

 

一応家族ドラマ的な面もあるのですが実に薄っぺらく、正直無くてもいいレベル。
ドラマとしてはリアリティが無いしコメディとしては笑いが足りない、みたいな感じで見ていて尻の座りが良くありません。
正直、微妙な一作です。
少なくとも高い期待に応えてくれる作品ではありませんでした。

 

とは言えカレルが画面に出てくるだけで楽しいので見て損する気分はナシ。
カレル演じるマーク大将が時にガンコ過ぎて視聴者をイラっとさせますが、決して憎めないラインに落ち着くのは持前の愛嬌によるところでしょう。
さすがのべテランっぷりです。

 

 

 

 

マーク大将と最初仲悪いけど、やがて唯一無二の相棒になっていくマロリー博士。彼を演じるジョン・マルコヴィッチも素敵でした。

ジョンマルと言えばもう出る作品すべてで変人を演じているザ・変態職人。
そんな彼が本作『スペースフォース』に登場すると聞いたときはてっきりトラブルメーカー側と思いましたが…なんとまさかの常識人枠です。
…と言うかマーク大将がおバカちゃん過ぎてツッコミに回らざるを得ない感じ。

独特の皮肉っぽいセリフ回しが印象的で変人は変人なのですが、基本良い人だし毎回マークを助けてくれる。
第6話で披露した意外な歌声は印象的でした。

主役二人のキャラ造形がしっかりしているから、ドラマ全体のまとまりが悪い一方で枯れ専バディものとしてはしっかり楽しめます。
これはグッドな事実。

 

 

 

 

脇役の面々も概ね魅力的。
アジア系ってことを延々マークにいじられるチャン博士(でもぜんぜんめげない)。
そのチャン博士と「最初仲悪い→ア、アンタのことなんか別に好きじゃないんだからね!」のコンボを決める真面目系女子のアリ大尉。
「アジア系とアフリカ系はアメリカで一番少ないカップル」というチャンのウンチクが伏線になっているのは見事でした。

マークのボケちゃった父親を演じるフレッド・ウィラードもいい味出していました。
フレッドはこの作品への出演を最後に亡くなったもよう…大往生ですね。
スティーヴ・カレルとは『俺たちニュースキャスター』でも共演したベテランコメディアンでした。ハリウッドの志村けんみたいな立ち位置だったのでしょうか。R.I.P.

生意気まっさかりの女子高生エリンも可愛く、オッサン同士の友情がテーマの本作において一縷の清涼剤として働いてくれます。

明らかにトランプを意識したクソ大統領(画面には出てこない)も皮肉が効いていますね。

ただしトニー、てめーはダメだ

 

 

この顔である。

 

 

自称・公式広報官の嘘松ツイッタラー。
やたらとデカい声で喋り挙動も大げさなので、画面に出るたびウザくてウザくてしょうがない。

この手のお邪魔キャラは小っちゃいエピソードで花を持たせて「実は結構イイやつでした」的な場所へ落とすのが定石ですが、それもないのでただのスベりキャラに。
呼吸するだけで視聴者の胃壁を荒らすゴキブリ野郎です。

劇中でもクソ扱いだけど、作劇的にも断然アウトですよこんな奴!
第一、最初の最初でクビになってるのになんで平然と全話出てくるんだよ!

こいつがドラマ全体の質と評価を下げているのはもう間違いありません。
と言うか、エロくもグロくもない本作がなぜ「15歳未満の視聴は推奨しません」扱いになってるかと言えば、トニーが事あるごとにファックファックと繰り返すからですよ(たぶん)!
ファック!トニー!

 

Netflixドラマのお約束で、最終話は「え、これどうなるの!?」と言いたくなる場面で唐突に終わるクリフハンガー仕様。
でも…2期があっても正直もう見ないかもな~。

 

あとめっちゃどうでもいい話だけど、第7話で出てきた言い回し「あなたとってもマクガイバーね」にグッときた。
その場にあるものを活用して苦境を乗り切ったマークへのヨイショとして出てきたセリフだけど、マクガイバーって2020年の今日でも市民権あるんだね。
好きだったなー『冒険野郎マクガイバー』。

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