今日はNetflixオリジナル映画『プロジェクト・パワー』の紹介記事をお送りします。
お薬飲んでスーパーパワーをゲット!でも何の能力かは飲むまで分からない!最悪死ぬかも!
…という、X-MENに課金ガチャ的な要素を掛け合わせたアイデアの一作です。
いかにもアメコミ映画っぽい話ですが原作は無し。映画のオリジナル設定。
マーベルでもDCでもない新たなヒーロー映画のスタンダードを俺が作ってやる!というNetflixの野望が垣間見え、いつもながらこの強気っぷりにはホレボレするってもんよ!
ジェイミー・フォックスやジョセフ・ゴードン=レヴィットら過去のアメコミ映画出演経験者をあえて揃えてきた点にも、その含みが感じられます。シンプルに豪華だしね!
…でも映画の出来は悪い意味で凡庸。
突き抜けて悪いわけではないけど、面白いところもない。つまり退屈でした。
プロジェクト・パワー
2020年 アメリカ
監督:ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン
出演:ジェイミー・フォックス、ジョセフ・ゴードン=レヴィット
評価 D
ニューオリンズの下町に突如流行し始めた謎のドラッグ。
「飲むと5分間だけ超絶パワーが得られる」
「しかし飲むまで何の能力か分からない」
「最悪、変な能力が発現して自滅する」
力に魅せられた人々の間でドラッグは爆発的に普及し、町の治安は瞬く間に悪化していく…。
ドラッグとその背後の陰謀をめぐり、三人の主人公の運命が交錯する!
というお話です『プロジェクト・パワー』。
人体発火能力や怪力など、画面を楽しくしてくれる超絶パワーが次から次へと目白押し!
「なんか派手なアクション映画みたいなー」という気持ちへインスタントに応えてくれる、良い意味で軽いノリのB級アクションでした。洗濯物たたみながら観るのにちょうどイイ感じ。
超絶パワーと言えばまず発火能力だよね!
しかし裏を返せば悪い意味で軽薄でもあり。
端的に言って脚本や設定がガバガバです。
キャストを含め素材の良さをまったく引き出せていない。
まず何といっても物語の主軸である"パワー"を全然話に活かせていません。
登場するいずれのパワーが、仮に無くても同じ話が展開できるという有様。
「体が倍以上に巨大化する」というキャラは、特にその巨体を活かすことなく爆死します。
「怪力を発揮する」というキャラは、一応怪力は発揮しつつも戦闘ではまったく芸なく撃たれて死にます。
「体の骨を刃物状に変形させて戦う」というキャラは、普通にナイフで戦った方が強そうに見えます(まあそれは元ネタのマロウもそうでしたが)。
きわめつけが「皮膚が周囲の背景と同化し、生身の光学迷彩で透明になれる」というキャラが、透明のまま自転車に乗って逃げるくだり。もちろん自転車部分は丸見え。ギャグでやってるにしても気が利いていない、失笑必至のがっかりシーンです。
せっかくの超能力バトルなのに、超能力自体がこんなにぞんざいな扱いってどうなの(;´・ω・)
あと主役の一角であるドミニク・フィッシュバックちゃんが魅力なさすぎ問題。
ドラッグ売買に手を染めたばっかりに事件に巻き込まれていく女子高生…という役回りですが、とにかくビジュアル的に魅力がない。
ルッキズムと言われればその通りなのですが、作品の楽しさに水を差すレベルなのでどうにも看過し難い…(;´・ω・)
しかもこの子、ドラッグ売買に手を染めたことに対する反省は最後までナシです。
あたしにはカネが必要なのよ!というお決まりの開き直りがあるだけで、自分のせいで何人も死んでるのだという認識とは最後まで無縁。
発言や行動にもまったく知性が感じられず、ビジュアル面・キャラクター面の両方で魅力が無さすぎます。
ジェイミーとジョセフはさすがの貫禄でガバガバな脚本に何とか華を添えてくれますが、ドミニクちゃんの顔が大写しになるたびにゲンナリして視聴止めたくなる有様でした…。
あとラストのジェイミー・フォックスの必殺技のとき、ドミニクちゃんだけ生き残った理由が何回見ても分からん。
向かって左の子がドミニクちゃんなんですけど…。
アクション映画の主役を張れるオーラは正直まったく感じません。
あと「本当のパワーはクスリなんかでは得られない。自分の中にこそ本当のパワーがあるんだ。」というベタな説教も
ピンチだ!
→クスリを飲んで乗り切ろう!
というくだりを100回繰り返した後に言われても何の説得力もありません。
億万長者に「世の中カネじゃないよ」とドヤ顔で言われている気分。
というワケで、2年くらい前のNetflixオリジナル映画にありがちだったグダグダ脚本のB級映画でした。
「Netflixオリジナル×超能力」という似た生い立ちでデキが良かった『オールド・ガード』の直後だからこそ、凡庸さが悪目立ちしちゃってる感じ。残念。
今回の感想は以上です。