今回はNetflixで配信開始となった復讐アクション『イコライザー2』の感想記事です。
前作は「ナメてたホームセンター店員が実は殺人マシンでした映画」として満点すぎる出来でしたが…今作はいかに!?
イコライザー2
2018年 アメリカ
監督:アントワン・フークア
出演:デンゼル・ワシントン、ペドロ・パスカル
評価 D
とりあえず映画の内容以前に、一つ申し上げたいことがあります。
おいこらNetflix、どういうことなんだよ!
日本語吹き替えが入ってないじゃないかヽ(`Д´)ノ
私にとって大塚明夫じゃないデンゼル・ワシントンなんか、白黒じゃないパンダも同然です🐼
圧倒的コレじゃない感。
『イコライザー2』の日本語吹き替え版自体が存在しないのかと思いきや、普通にAmazonやマイクロソフトストアではレンタル出来るし。なんなのさ!
そんなワケで、しゃーなしで字幕版で観ましたよ『イコライザー2』ブツブツ。
そしたらデンゼルの旦那本人の声も案外悪くなかったよ。(なんなんだこの前置き(;^ω^))
で、肝心の内容はと言えばう~ん…。
前作が良すぎたせいか、どうにも期待外れの印象を拭えない出来でした。
前作ではホームセンター店員だった主人公のマッコール。今回はタクシー運転手に職替えです。
乗客らの人生を垣間見るのを楽しみにしつつ、案外まじめに運ちゃんやってるマッコール。ネットの評価にも敏感。
しかし乗客が何らかのトラブルに巻き込まれているのを察知すれば、夜バージョンのマッコールが降臨!
法の目の届かない悪人どもに、鍛え上げた殺人スキルで今日も裁きの鉄槌を下します。
お馴染みの「腕時計で皆殺しタイムアタック」も健在。30秒と決めたら必ず30秒以内に相手を全滅させるブルータルな几帳面さが炸裂だ!
そんなこんなで「観客の見たいマッコール」は一応押さえられているのですが…。
映画全体の構成はかなりイマイチ。散漫です。
世にはびこる不正や悪を是正=イコライズするのがマッコールの使命。
しかし今作『イコライザー2』ではマッコールが悪人を血祭にあげる天誅エピソードがブツ切りで、全体のテンポが非常に悪いです。
たとえば冒頭のトルコ特急車内のくだりや、インターンをレイプしたクソ金持ちボンボンどものくだりは…全部カットしても同じストーリーが成立してしまう有様。ブツ切りすぎてエピソード自体が無意味です。
アクションのキレは相変わらず素晴らしいですが、あっても無くても一緒のエピソードが多すぎて何の話だかよく分からない状態に。
それを言ったら一作目の『イコライザー』も孤立した天誅エピソードの連続ではありました。
が、こちらではそのエピソードの量的な積み重ねがマッコールに覚悟を固めさせるという物語的な機能がありました。いわば "イコライザーの誕生" という話のタテ糸が、孤立していた各エピソードをしっかり束ねていたワケです。それで全体的なまとまりが出ていた。
でも今回『イコライザー2』では、最初からマッコールは必殺仕事人として覚醒しています。だから個別の天誅エピソードを重ねても "本日のマッコール" 以上の意味がなく、話の本筋に一切かかわらない孤立エピソードに。
結果として映画全体の構成がすっごいまとまり悪くなっちゃってます。
マッコールのキャラ造形も浅くなってる印象。
今回は黒人青年マイルスを登場させることでマッコールの父性を強調した作りになっていますが…いかんせんこのマイルス君に前作のクロエ・グレース・モレッツちゃんほどの存在感がなく、話に説得力がありません。
マッコールの愛妻家的な面も強調されていたので「俺にもし息子がいたらこんな感じなんだろうか」的な気持ちをマイルス君に重ねていたのは分かりますが、どうにも薄っぺらい…。
それに前作では悪人を容赦なく惨殺するけど「ブッ殺しちゃってごめんね」的な哀れみを見せていたマッコールでしたが…。
今回はそれも無く、マッコールが殺すの大好きおじさんに見えてきます。
たとえばペドロ・パスカルに対する態度。
彼を倒したらその妻も娘も路頭に迷うし、怒りと悲しみの矛先はいずれマッコールに向くでしょう。そんなことは当のマッコールにも容易に想像できたはずですが、その点についていっさい葛藤がない。
「ムカついたから絶対ころす」それだけです。
笑顔で少女を抱き上げつつ、その父親の延髄を一切ためらいなく切断するマッコール。ちょっと怖いです。いやだいぶ怖い。
あとすいません…これは私の知識不足なのでしょうが、マッコールがラストに結婚指輪を右手の薬指から左手の薬指につけかえた意味が分かりませんでした。
何かそういう風習あるの?
「まだ妻を愛してるよ」的なポーズなのかも知れませんが…それは右手に付けてたときからそうなので違うっぽい。
誰ぞ知ってたら教えて下さい!