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『ビハインド・ザ・カーブ』感想 地球は平面!な…なんだってーー!?

先日、GIGAZINEでこんな記事を見かけました。

 

 

知的謙虚さとは。

人間誰もが自分の考えを持っているものですが、そんな中でふと足を止めて
「私は本当に正しいのか?」
とか
「相手の言うことにも一理あるのではないか?」
など自省の機会をつくってみる能力のことです。

冷静さ…と言い換えてもよさそう。

 

その知的謙虚さの欠如は様々な問題を引き起こしますが、近年の世界はそんな欠如にあえて迎合する傾向がある…ゆゆしき事態だ!
…とまあそんな感じの内容の記事でした。

 

この記事を読んだとき、ある映画が思い出されました。
『ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-』
知的謙虚さを盛大にかなぐり捨ててしまった人たちの姿を描いたドキュメンタリーです。
今回はこの作品を紹介したいと思います。

 

 

ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-

2018年 アメリカ
監督:ダニエル・J・クラーク

 

評価 C

 

この21世紀にナント、地球は球体ではなく平面であると固く信じる一団がいる。
しかも少人数ではなく、何万人規模という一大コミュニティだ。

…そんな衝撃的な事実から幕を開ける本作は、その地球平面論者たちは実際のところ一体どういう人たちなのかを "フラットな" 視点で語るドキュメンタリーです。

 

科学が既存の常識を疑うことで発展してきたのは間違いありません。
10年前の通説が今じゃまったく通用しないことなど日常茶飯事です。

小児科医療の界隈でも、特に食物アレルギー診療なんか10年前と真逆の方針がヨシとされていますからね(*'▽')

それはもちろん、10年前の説がオロカでマチガッテイタという意味ではありません。
こうやって証拠を積み上げて適宜修正していく流動性こそが、科学の本質なのです。
今日正しいと思われていることだって、きっと10年後には過去の遺物になっているでしょう。でもそれでいいんです。それが科学なんです。進歩なんです。

 

そういう意味では常識中の常識である地球球体説を真っ向から疑うのは、常識を相対化している点である意味科学的な態度と言えなくもない…。
そんな風に思いませんか?

 

ところが地球平面論者が熱弁をふるって唱えるのは、どれも荒唐無稽のキワミの説。

「遠くの景色が見えるから地球は平面!はい論破。」

「太陽は大空のスクリーンに映し出された映像にすぎない!宇宙などない!はい論破。」

「何にも感じてないのに1700km/hもの速さで地球が自転してるワケないだろ!はい論破。」

などなど、聞いているだけで徐々に瞳孔が開いてきそうなヨタ話の連打です。
新たな証拠を積み上げるどころか、古代レベルの俗説に勢いよく逆戻り。これは科学とは呼べない…。

何にも感じてないから自転も公転もしていないだなんて、時速300km/hで走る新幹線の中で真上にボールを投げたら時速300km/hで真後ろにすっ飛んでいくとでも思ってるんでしょうか…(;^ω^)

 

地球平面論者の中心人物、マーク氏。
「世界のはしっこにはおおきいかべが立っているんだ!」

 

しかし映画が進むにつれ、地球平面論者らの別の側面が浮かびあがってきます。
地球平面論者はなぜか高い確率で陰謀論者なのです。

「ひこうき雲は毒ガス!陰謀だ!」

「予防接種はカネもうけのウソ医療!陰謀だ!」

「政府はすぐ差別はよくないとか言い出す!陰謀だ!」

「世界はイルミナティとかに支配されている!陰謀だ!何の目的でだって?そんなの知らん!!」

などなど。
どれも(事実かどうかはさておき)地球が平面だろうが球体だろうが関係ないことなのに、どういうワケだか皆さんこれらの陰謀論のとりこです。

 

要するに地球平面論者の正体は、世の中のすべてが信じられない気質の人達だったのです。
「思い込みの超激しい人たち」と言い換えてもよさそう。

この人達は、その気質が原因で家族や友人関係、職場で問題を抱えていることが多い。
みんな孤独なのです。

そんな孤独な人たち同士が出会ったらどうなるか?
もちろん「地球平面説」という共通項を接着剤に、孤独を分かち合える同志として強固なつながりが生まれます。

何万人規模で拡大し続ける地球平面論者のコミュニティの正体は、特殊な気質のせいで社会になじめない人達が寄り添ってできた集団だったというワケです。

 

勝負服のマーク氏。
一見して「あぁ…(察し)」となるセンス。

 

そんな見解を展開しつつ、
「彼らを社会からつまはじきにしてはいけない。彼らはいっそう孤独になるし、社会も彼らを失う。対話が必要だ。」
という、ちょっとポリコレ感におもねった態度で映画は終わります。

まあそうだよねー(*・ω・)
(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
と納得できる無難な着地点。

 

確かに地球が平面と思っていようが球体と思っていようが、本人が善良な人なら排除しなきゃいけない理由などありません
地球平面説が人畜無害である以上、どんなに荒唐無稽でも「好きにやらせる」のが正しいと私も思います。
地球平面説が居場所をつくりアイデンティティーを形成すると言うのなら、それを奪う権利など誰にもあろうはずがない。

 

…と言いたいところですが。
ただし反ワクチン。てめーはダメだ。
てめーは人畜無害とは言えない。

麻疹も風疹も侵襲性肺炎球菌感染症も。
かつては猛威をふるった病気を身近な脅威として感じずに人々が暮らせるのはワクチンのおかげです。
ひいてはワクチンを開発し普及させてきた人々の努力のおかげです。

その恩恵をたっぷり受けておきながら、先人たちの努力を陰謀呼ばわりする神経が分かりません。
それどころか「ワクチンは害悪!」と広めることで、みんなが長年かけて達成してきた医療の進歩をブチ壊そうとしている。

こいつはメチャゆるさんよなああぁぁーーーと激怒してた花京院の気分です。あ、イエローテンパラスか。

 

それにコロナ禍に関する風説のバラマキも勘弁して欲しい…。

試しにツイッターで「フラットアース」(※地球平面論者のコミュニティ名)で検索してみたら、たっくさんのアカウントがヒットしました。
それ自体はいいのですが、そのアカウントの多くが

「コロナ禍はウソ!」
「政府の陰謀!」
「マスクする人は情弱の被支配層!」

などと独特な自説を展開しているのには参りました…。まさに映画の通り。

この人達はおそらく身近にコロナウイルスの脅威を感じていないからこういうヨタ話を展開できるのでしょう…。
でもその状況を作ったのは誰?
医療者をはじめ、世の中の多くの、実に多くの人たちおかげじゃないの?
感染の恐怖と戦いながら毎日頑張っている人たちのおかげじゃないの?

 

その努力をウソ呼ばわりとは、不遜を通り越して醜悪です。
こいつはメチャゆるさんよなあぁー!(しつこい)

確かにマスクにどれほどの感染予防効果があるのかは諸説あります。でもだからって、予防措置自体を否定するのは社会にとって害悪そのもの。
これは地球平面説とは違う。人畜無害とは言えません。

地球平面説自体が仮に無害でも、こういう脅威と結びついてしまうのだったら排除もやむなしの気がします。

 

盛大に脱線してしまいましたが、何が言いたいかって言うと知的謙虚さは大事だねって話!
おわり!






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