時期ダークナイトにロバート・パティンソンが抜擢されてからはや数か月…。
コロナ騒動のせいで未だ撮影再開の目途が立っていない新バットマン。
一体いつ観られるんだYOとやきもきしていましたが、はたと重大な事実に気が付きました。
俺、ロバート・パティンソンの映画を一本も観たことがねぇ。
これは良くない。
新バットマンの予習のためにもパティンソンの出演作をなにか一本は見ないと。『テネット/TENET』にも出るし。
パティンソンと言えば美女とイケメンがちんちんかもかもするヴァンパイア映画『トワイライト』が有名ですが、こんなティーン向けのアイドル映画なんかいくらバットマンの予習でも見たくありません。ザリガニの交尾シーンの方がまだ楽しそう。
いや、クリステン・スチュアートは好きだけどさ。
なにか無いのかパティンソンの出演作で面白そうな映画はー。
そう思って行き着いたのが、今回紹介する『グッド・タイム』でした。
予測不能の展開とドキュメンタリーチックな生々しさが冴える、緊迫感にあふれた一作。パティンソンやるじゃん。
グッド・タイム
2017年 アメリカ
監督:ベニー・サフディ
出演:ロバート・パティンソン、ベニー・サフディ
評価 C
知的障害の弟を持つコニ―(ロバート・パティンソン)は、最底辺の人生から脱出するため銀行強盗を企てる。
しかしほとんど思いつきで実行した強盗は当然ながら即失敗。
コニ―だけは辛くも逃亡するも、弟は逮捕され投獄されてしまう。
最愛の弟を救うため、コニ―は大胆な行動に出る…!
…というお話。
本作の特徴はなんといっても、考えナシに行動し続ける主人公の突き抜けた無謀っぷりでしょう。
上手くいく訳ねーだろ!と言いたくなるような珍アイディアも「これだ!」と即実行に移してしまうコニ―…。
当然ことごとく裏目に出て地獄まっしぐらです。
この悲惨な泥沼っぷりは『ブレイキングバッド』とかと似た空気を感じますね。
「で、成功したとしてその後どうするつもりだったの?」
→何も考えていませんでしたァ~
というコンボにも参ります。徹頭徹尾その場の思いつきで行動する。
このチンピラ特有の浅はかさだけで一本映画撮っちゃいました感が凄い。安っぽいのに重厚なテクノポップが、BGMとして"その夜"の雰囲気を盛り上げる演出もステキ。
しかも全編通してカメラがやたらと役者の顔面に寄るんですよね。
画面が常に誰かの顔のドアップと言っても過言ではない有様。いきおい常に暑苦しく、登場人物らの焦燥がダイレクトに伝わってきます。もう汗臭さがただよってきそうなレベル。
なお監督のベニー・サフディは次回作の『アンカット・ダイアモンド』でも同様の演出を貫いています。中々尖った持ち味ですよね。
残念イケメンのコニ―。
少しは考えて行動しろよ!…と思ったけど考えてコレだった。
コニ―以外にもマトモな人間が誰一人出てこないのも印象的です。みんなバカ。
特に、コニ―にいきなり高額の保釈金をねだられる恋人役のジェニファー・ジェイソン・リーはインパクト絶大です。
おばさん…と言うよりむしろ初老の域に差し掛かっている御婦人なのに、若いコニ―に「ねぇ~旅行行こうよ~」としなだれかかる姿が何とも言えない底辺感を醸し出します。
実母相手に電話越しに泣きじゃくるところとか「ああ、こういう人いそう…」と思わせる絶妙なメンヘラっぷり。
出番は一瞬ですが、本作の世界観を饒舌に語る名キャラです。
その場の思いつきで行動し続け、当然ことごとく失敗してさらなるドツボに嵌っていくコニ―。
悪夢の一夜の先に彼が辿りつく、地獄の終着点に注目です。
観ていて楽しい気持ちになる映画ではありませんでしたが、よくこんな話思いつくな~と感心せざるを得ないエッジの効いた一本。
顔立ちは端正なのに感心するほどクルクルパーという特異なキャラを演じきったパティンソンの確かな力量もはっきり分かりました。これでバットマンも安心だ!
あ、『テネット/TENET』が先か!