評価:
Amazonプライムビデオで新作『パパvs新しいパパ2』が配信開始されていた。
メル・ギブソンが凄いおバカな役で出ているコメディ映画のようだ。
メルギブ好きだしちょうど今日ヒマだし、いっちょ観てみようかな!
…と思ったが、よく考えたら1作目を観てないことに気付いた。
続編から観ていいのはバーフバリだけ!というポリシーの持ち主である自分は、そんなこんなでさっそく前作『パパvs新しいパパ』を観てみた訳だ。
もうね、くだらねえ。それしか言葉が見付からない。
続編を見る気は完全に失せましたよ。
あらすじはこんな感じ↓
優しくて誠実でちょっと気の弱いところがある男、ブラッド(ウィル・フェレル)。
彼は美しい妻サラ(リンダ・カーデリーニ)とその二人の連れ子と暮らしていたが、子どもたちと中々打ち解けられずに悩んでいた。
そこへ登場するのがサラの前夫ダスティ(マーク・ウォルバーグ)で、マッチョでイケメンでカリスマ性あふれる彼に子どもたちはすっかり懐いてしまうのだった。
サラとも寄りを戻す気マンマンのダスティに危機感を抱くブラッドは、どちらが本当のパパにふさわしいか果敢にもダスティに挑んでいくのだが…。
…みたいな話。
お、なかなか面白そうじゃん?という期待は、開始5分で儚くもぶち壊された。
子どもたちに中々受け入れてもらえないブラッド…という設定を説明するため、冒頭で「幼い娘がクレヨンで描く絵の中でブラッドの扱いだけおざなり」という場面が出てくるのだが、おざなりどころか絵の中でブラッドは目ん玉をナイフでブッ刺されている上に頭にホームレスの糞便が載せられているのだ。
「へ、へえ~…パパも描いてくれたんだね…」と苦笑を浮かべるブラッドだが、苦笑じゃ済まないだろこれ娘サイコパスだろ。明らかに常軌を逸しているじゃん。
しかし映画はこの場面をギャグとして描いている。
悪い予感がする…。これはまさか弱者がボコボコにされることで笑いを取るイジメ映画なのではないか…?
そして予感は的中した。
ダスティが登場してからは、容姿・話術・スポーツ・芸術すべてにおいて秀でている彼のオーバースペックぶりと、全面的に惨めなブラッドをしつこく対比することで笑いを取ろうとしてくる。
もちろん、ちっとも笑えない。ブラッドがイジメられて変顔するシーンを延々見せつけられるだけでむしろ不快だ。
と言うかダスティが言うほど人格者じゃなく、ブラッドを陥れるためにかなり陰湿な手を使ってくるのにイライラさせられる。
相手が怒るまで煽りまくる→相手がブチ切れて大声を出す→怒鳴られた自分を「被害者」として周囲にアピールする…みたいなノリ。
イジメっ子やパワハラ野郎が実際によく使う手だ。
笑えないを通り越してヘドが出るほど不愉快。
特にダスティが黒人差別をネタにしてブラッドを中傷するシーンは最悪だった。
人種差別と言えばアメリカのコメディ映画の鉄板ネタだが、それは不謹慎さという非日常感や行き過ぎたポリコレっぷりが滑稽さを生むからだ。
本作はヘタクソ過ぎてそのまんま不謹慎なだけになっている。マズいですよ!
超仲悪いブラッドとダスティが、共通の大切な存在=子どもたちのために一致団結する…という終盤の展開にはグッと来るものが無いでもないが、そこに至るまでが不快過ぎてもはや良いところを拾う気にすらなれない。
という訳で久々に正真正銘のクソ映画を引き当ててしまいましたよ、というお話でした。
ウィル・フェレルは伝説的超傑作コメディ『俺たちニュースキャスター』や『俺たちフィギュアスケーター』を手掛けた偉大なコメディアンだし、マーク・ウォルバーグも『TED』などで笑いのセンスが抜群であることは証明済。
そんな二人が共演した過去作『アザーガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』はアクションコメディとしても経済犯罪サスペンスとしても見応えのある秀作だった。
それなのに本作がここまで不愉快なシロモノになり果ててしまったのは、期待外れも含めて残念でならない。
続編?もう観ねえよ!!
↑腹筋崩壊必至の伝説的傑作
↑ウンコは自分で片付けろよマーク・ウォルバーグ!!
↑ウィル&マークの共演作。これは本当に面白かった。