■■■■■□□□□□ 5点
【あらすじ】
ハリーの後を継ぎキングスマンの正式な一員となったエグジー。
しかしそんな彼をよそに、秘密組織「ゴールデンサークル」によりキングスマンは壊滅的な打撃を受けてしまう。
助力を得るべくエグジー達はアメリカへ飛ぶ。そこにはキングスマンの盟友組織「ステイツマン」が待っていた。反撃開始だ!
『キングスマン』待望の続編『ゴールデン・サークル』を観てきました。
完全に続きモノなので、前作を観ていないと話チンプンカンプンなので注意。しかし逆に言えば前作で面白かった所を余すところなく再現しており、こういうのが見たい!というファンのニーズを満たしまくる心得た作風でした。言い換えればキングスマンらしさモリモリです!
キングスマンらしさとは
何と言っても面白ガジェットの数々が本シリーズの最たる魅力でしょう!
黒傘や黒カバンが変形するお馴染みのイギリスグッズを始め、今回は野球ボールやバットを模したアメリカグッズも多数登場。電磁投げ縄超カッコいい!
前作の片脚ブレードガールに相当するトンデモ人体改造キャラを抜け目なく登場させるのも気が利いています。あれバイオニックアームだよね。
空間を活かしたストーリー性のあるアクションシーンも健在で、どのシーンも切れとテンポが抜群に素晴らしい!
クライマックスには前作の教会のシーンを彷彿とさせる超絶長回しワンカットアクションもあるよ。どうやって撮ったんだこれ!?(((o(*゚▽゚*)o)))
そしてマシュー・ヴォーン節と言うべき悪趣味な人体破壊ユーモアもバッチリ押さえられています。
『キック・アス』では巨大電子レンジでオッサンを破裂させ、前作『キングスマン』では人間の頭が×××するシーンを威風堂々と描いたりと今までも散々好き放題やらかしてきたマシュー監督ですが、今回はハンバーガーを使った超グロい笑いを織り交ぜてきました。封神演義かよ!お腹すいてきた!
しかし言いたいことは多い…
映画秘宝でも指摘されていたことですが、いくら新しい話を描きたかったからってここまで前作の設定を更地にする必要があったのかなと。監督からの寵愛にめぐまれたキャラとそうでないキャラで落差が激しすぎます。
それに前作では「不良少年がいっぱしの紳士になるまで」という成長物語と「サミュエル・L・ジャクソンを懲らしめる」というスパイアクションががっちり噛み合って濃厚なドラマを形成していましたが、今回は何が話の主題なのかぼんやりしており必要度の低いエピソードが連なります。
そのくせ上映時間は2時間半の長尺…。アクションシーンの切れとは対称的に、ドラマの展開は冗長にも程がある印象です。
前作で面白かった要素をもう一度拝めて幸せでしたが、それ以上は無かった感じです。正直言って期待外れは否めません…。
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※ ネタバレ警告※
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!
悲しみ① 半端に復活したハリー
祝・ハリー復活!
『キングスマン』の面白さはイギリス映画界の至宝ことコリン・ファースが超絶バイオレンス映画にまじめに出演する!という点に依る所が大きいので、彼の復活は必然でしたね。これは素直に嬉しかったです!
しかし…その割にはハリーの扱いが中途半端過ぎます。
ブランクが長すぎて本来の実力が錆びついており、しかも幻覚にまで悩まされる…という設定自体は悪くありませんでした。完璧な紳士だったハリーに弱点が生まれ、エグジーがそれを必死でカバーしようとする。「前作と逆の構図」は続編の王道であり、本来ならもっと面白くできたはずです。
なのに何の説明も無いままクライマックスで完全復活しており、ハリーに何が起こったのか全く意味不明です。
あげく「なぜウイスキーが裏切り者だと見破れたのか」が一切語られないので、耄碌して仲間を撃ったジジイにしか見えないという点が予想以上に痛い。おかげでハリーが出てくるたびに彼に対しどんな感情を抱けばいいのか当惑してしまい、最後まで入りきれませんでした(´;ω;`)
悲しみ② ロキシー退場
前作では出番は控えめでも圧倒的な存在感を放ったロキシー。
ハーマイオニーを彷彿とさせる金髪優等生美少女でありながら恋愛要素一切無しという大変貴重なキャラでした。
なのに…導入部でまさかの死亡。ええええ!?
あれほどの訓練、あれほどの修羅場を潜ってきたロキシーがそんなに簡単に死んじゃうの!?
成績的にはエグジーを凌いだあのロキシーがこんな扱いでいいの!?
「ボクがかんがえたさいきょうのすとーりー」じゃないからってブーブー言うつもりはありませんが、ロキシーを退場させてまで描きたかったのが半端な復活を遂げたハリーではやるせないよ!
ア〇ルセックス担当だった女王をメインキャラに格上げする前に、ロキシーにせめて納得いく死に際を用意して欲しかった…。
悲しみ③ 麻薬乱用って軽い罪?
ジュリアン・ムーアが悪ノリ全開で演じるラスボス・ポッピーが、全世界の麻薬に特製ウイルスを仕込む。するとちょっとでも麻薬を使ったことある人間は全身に青筋が走って死亡フラグびんびんに!
『キングスマン』らしい荒唐無稽でナイスな設定です。かくして全世界で数億人の麻薬常習者が人質になったのでした!
しかしハリーとエグジーの活躍により解毒薬が配布され、麻薬常習者は助かります。めでたしめでたし。って全然めでたくないよ!なぜ麻薬常習者の皆さんが無罪放免なのか意味分かりません!
そりゃ確かに全員死ぬ必要は無いけどさ、ゴールデンサークルがあれほど強力な組織になったのは麻薬買う人間が支援してきたからじゃん!
言い換えればロキシーもJBもマーリンも、みんな青筋ビキビキだった麻薬常習者たちが間接的に殺したんだよ!
それなのにラストでは助かったよ!嬉しいな!結婚式挙げよう!という浮かれポンチぶりでもうドン引きです。
ノー反省。こいつら絶対またやる。
アメリカ人の麻薬に対する意識ってこんなもの!?「これからはお酒にしましょうね」じゃないよ!
『レクイエム・フォー・ドリーム』と『悪の法則』を各100回観て感想文を提出しなさい!
悲しみ④ カッコ良いのに扱いが…ウイスキー
本作最高のキャラ立ちを見せたウイスキー。超カッコよかったです!
あの投げ縄アクションやリボルバー乱れ撃ちが最高過ぎます。Netflixユーザー的には『ナルコス』のアイツで分かる面構えもベリーグッド。
しかし何このラストの扱い!
ポッピーを応援してきた麻薬常習者の皆様は無罪放免なのに、心に悲しみを湛える戦士が精肉機でミンチにされるって何事!?
しかもエグジーとハリーのキングスマン組はウイスキーに2,3回命を助けて貰ってるのに、敵と見なすや否や説得もせず二人がかりで成敗。
卑怯じゃん!チャーリー戦で片腕封じた紳士ぶりはどこへ行ったんだよ!
せっかくの超絶長回しワンカットアクションも画的にはカッコ良いのに乗り切れず、むしろこの卑怯者ぶりでキングスマンの二人が嫌いになりました…(´Д⊂)
何が「マナーが紳士をつくる」だよ…(TДT)
何が「マナーが紳士をつくる」だよ…(TДT)
悲しみ⑤ つづく…
映画秘宝によればマシュー・ヴォーン監督は3部作目と、チャニング・テイタムことテキーラを主役に据えたスピンオフを構想中だとか。
確かにチャニング・テイタムはまったく見せ場ありませんでしたね…。『ヘイトフルエイト』の時と言い、出オチキャラが多くない最近!?
でもこんなにグダグダになるなら続編はもういいかな(´・ω・`)
ゆっくり1作目の感動に浸らせておくれ…。
↑安いけど、どうせなら4K Ultra HD版が欲しい!
早く出てくれー!悟空ー!!