映画

『オクジャ/Okja』噂の炎上映画がついに公開!

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おすすめ度
■ ■ ■ ■ ■ ■■□ □ □  7点


【あらすじ】
家族同然に育った食用豚のオクジャを取り戻すべく都会に乗り込んだ少女は、謎の動物愛護団体とイカレた巨大企業の闘いに巻き込まれていく。

カンヌ映画祭をブチ切れさせ、ホームの韓国でも村八分!
ここ数か月、映画界隈を騒然とさせてきた問題作中の問題作がついに公開されました!

まあぶっちゃけ映画の内容がどうとかではなく、ずっと続いていた配給会社VSネットフリックスの百年戦争のダシに使われただけなのですが。


何はともあれ『母なる証明』の鬼才ポン・ジュノ監督の最新作とあっちゃあ、これを楽しみにせずにいられようか。
いざ観るぞー!
観たぞー!
おもしろかったぞー!

 

※ ネタバレ警告※ 
以下の記事にて作品の結末に触れています!未見の方は注意!


不機嫌そうに口をへの字にしているシーンが多いですが、タレントを前にすると「あっ有名人だ!サインしてー!」とはしゃいだりするので本来は屈託のない無邪気な女の子のようです。


ポン・ジュノ監督は本作にあたり宮崎駿からの影響を強く受けていると語っているだけあり、映画序盤のオクジャとミジャの触れ合いシーンは確かにトトロ感満載。特に仰向けのオクジャの腹にミジャが寝そべるシーンとかはまんまですね。

その触れ合いタイムで重要な描写は、ミジャがオクジャに魚を採らせるシーンだと思います。オクジャが陸に巻き上げた魚を一匹一匹捕まえていくミジャですが、手の平サイズの稚魚を見つけると川に帰してあげてました。
動物を殺して食べるのは人間として生きる上で当然の行為ですが、自然と共生する気持ちも忘れない。ミジャの生活は人間本来の在り方として監督の主張が込められています。本作のテーマですね。終盤の伏線にもなっています。




オクジャ

ブタともカバともつかないなんとも言えないブサカワイさ。
その正体は大企業の都合から遺伝子工学で「製造」された理想の食肉用家畜スーパーピッグ。超豚。豚なのかよ


ミジャと引き離されたうえ無理矢理別のスーパーピッグと交尾させられ、あげく何箇所も肉を抉り取られたりしてとうとう発狂。ミジャのことも分からなくなってその腕を食い千切ろうとします。
強大な権力の都合でズタズタにされていく弱者はポン・ジュノ監督が自作で必ず描いてきたモチーフ。今回もかなり心にズシンと来るものがあります。

ルーシー・ミランド


ヒラヒラフリフリでピンクのドレス!
歯列矯正器具!
濃厚すぎるチーク!
キメポーズは「萌え萌えキュン♡」!
ありとあらゆる年甲斐無い要素をブッ込んだ怪人
まさにティルダ・スウィントンが演じるのためだけに作り出された存在です。
巨大企業ミランダコーポレーションのCEOとして企業イメージ向上に気炎を上げていきます。


が、そのモチベーションの出どころは双子の姉に対する強烈なコンプレックス
愛されたい!姉よりも優れた人間だと誰かに言って欲しい!と言うさもしい虚栄心に突き動かされているという所がなんとも哀れです。
そこまで姉に対抗意識を燃やしておきながらやってることは姉と同じ企業犯罪という所がますます不憫。

見た目のインパクトは凄いのに『スノーピアサー』の時ほどの強烈さには欠けるのは、どこか同情を誘う雰囲気があるからでしょう。


J

環境テロリストの首魁「J」を演じるのはポール・ダノ。


環境テロリストと聞けば悪名高いシーシェパードとかがどうしても浮かびますが、本作のこいつらはテロリストと言っても実にほのぼのとした連中で、とにかく人間は絶対傷つけないのが信条です。
メンバーもなんと言うか皆ぽや~んとしており、うち一人は「促成栽培で育った野菜なんか絶対食べないぞ!!」とか言って本当に何も食べず、栄養失調でヨレヨレになっています。
気のいい奴らなんです。


ポール・ダノと言えば『それでも夜は明ける』での完全無欠な糞野郎ぶりがインパクト強すぎて、どうせ本作でも胸糞キャラなんだろ分かってるねんでー!と身構えて観てしまいましたが何と意外や意外、めっちゃいい奴でした。
まあ所詮はテロリストだしキレると暴力的になったりもするので聖人君子では決してありませんが、本作はミジャ以外狂人しか出てこないのでむしろすごくマトモに見えます。
梯子から流れるように降り、そのまま歩きながら変装を解くシーンは不覚にもシビれました。
いいじゃん…ポール・ダノいいじゃん
エンドロール後に痛快なオチがあるよ!




ジョニー・ウィルコックス

本当は動物を可哀想な目に遭わせたくないんだー、と言いながら自分の名声のために結局は悪事に加担していく弱い男ジョニー。悪役と言えどもどこか哀れなのはティルダ・スウィントンとも共通ですね。超ヘルシー。

ただ見た目の派手さに反して物語上の重要度はイマイチ。ジェイク・ギレンホールは勿体無かった気がします…。

そう言えばポール・ダノ×ジェイク・ギレンホールは『プリズナーズ』に引き続きの共演でしたね。でも『オクジャ』と言い『プリズナーズ』と言い一緒に映ってるシーンが一切無いので全然共演感が無いね!




食肉工場は動物にとってはホロコースト

映画の前半でミジャがソウルに乗り込んだとき「灰色の雑踏のなかミジャの真っ赤なジャージだけが映える」というシーンがありました。
ホロコースト映画の金字塔『シンドラーのリスト』を想起させるカットです。
でも別段戦争映画でもないのにおかしな話だなー。ま、たまたまだろ。と思って気にもしていませんでしたが…。


これは伏線でした


映画終盤に出てくる『いのちの食べ方』ばりの地獄の食肉工場では、屠殺の順番を待つスーパーピッグが地平線の彼方までひしめき合っています。
ミジャの機転によりその中から何とかオクジャだけは救うことが出来ましたが、結局ほかのスーパーピッグの運命は変わらないまま。強烈な後ろめたさを抱えつつ見殺しにしてその場を去ろうとするミジャとオクジャ。

その眼前に、ひとつがいのスーパーピッグが小さな何かを押し転がしました。見れば元気な子豚です。私たちはもう死ぬしかないけど、どうかこの子だけでも!この子だけでも連れて行って下さいお願いします!という訳です。
この悲壮感。ホロコースト映画に通じるものがあります。


スーパーピッグは遺伝子組み換えで生まれた新種の動物であり、実は人間並みに知能が高いことは映画序盤で語られています。
そんな彼らが精肉工場で文字通り家畜として屠殺を待つだけとは地獄としか言いようがない。まさにガス室送りを待つ強制収容所のユダヤ人と相似形です。
ミジャはこっそり子豚を連れて帰ることにします。その決意に呼応するかのように、スーパーピッグたちの悲壮な咆哮が夜空にこだまするのでした。

ポン・ジュノ監督作としては素直すぎる仕上がりか

という訳で前半と終盤でトーンにかなり極端な差がある本作。しかしラストはなんとハッピーエンドに。ポン・ジュノ監督なら「元の生活に戻れたよ良かったねエンド」だけは無いだろうと予想していましたが見事に外れました。

ジュノの旦那ならもうひと捻り来るぞ!と身構えていましたが、結局「資本主義の欺瞞」と「食肉の是非」という、有体に言ってしまえば陳腐なテーマに終始しているのは若干肩透かしです。環境テロリスト側に肩入れし過ぎなのも公平さを欠きすっきりしない印象。



しかし映画自体の出来は冴え渡っているし、ユーモア溢れるエンドロール後のオマケもあって見終わった後の印象は意外にもとても爽やか
Netflixがカンヌ映画祭に対してドヤ顔するには十分な傑作でしょう。この先ますます付け上がること間違いなし!いいぞもっとやれ!



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